↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神保町の古本屋2階でヒュッゲ満喫していたら、北海道の父と沖縄の母のせいで俺の『自己流相殺術』がバグり始めた件について  作者: 風風風


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/13

第2話 祖母の手料理と、突然のハンバーグ

祖母の家(父親の実家である古本屋)の

2階で暮らす

主人公のヒュッゲ満喫した暮らしぶりです。

主人公は、

作家志望(夢みてるだけ?)の無職。

祖母が

外出する時だけ店番しているだけの

居候いそうろう。

「今を幸せに生きる」をモットーに、

定職に就かず、

暴飲暴食や爆買いなど欲望のままに

日々を

謳歌する26歳の主人公の日常です。

どんなに羽目を外しても、

彼独自の

相殺処理に着想を得た「自己流相殺術」で

チャラにできる

という独特なマイルールを持って自由に

生きています。

夕方、腹の虫が鳴きだした零が

1階に降りていくと、

台所から香ばしい匂いが漂ってきた。

祖母が

珍しくフライパンを振っている。


「零、

 今日はハンバーグ定食にしたから。

 デミグラスソースも自家製だよ」


零は思わず身を乗り出した。

祖母の手料理は普段は

「あるもので済ませる」がモットー

なだけに、

これは異例の大盤振る舞いだ。


(ハンバーグ定食……しかも

 自家製デミグラス。

 これは間違いなく

 本日のメインイベントだ)


零は脳内電卓を素早く起動する。


「無職の身で

 祖母に食事を作ってもらうという

 申し訳なさ、マイナス60。

 だが待て、

 これは違う角度から見るべきだ」


零は箸を並べながら、

こじつけの理論を組み立てていく。


「祖母の料理を『美味しい』とちゃんと

 味わい、

 感想を伝えることは、

 高齢者の生きがい支援という立派な

 福祉活動だ。プラス100!

 さらに、

 この食事の時間に祖母と会話することで、

 家族の

 コミュニケーションコストを実質ゼロで

 達成している。プラス50も追加だ!」


湯気の立つハンバーグが目の前に置かれると、

零はごくりと喉を鳴らした。


焼き加減も、ソースのつやも完璧だ。


「いただきます」


箸を入れると肉汁がじゅわっと溢れ出し、

零の顔が思わずほころんだ。


今日の収支は、

早くも黒字が確定しつつあった。



【 デミグラスソースと、至福の完済宣言 】


ハンバーグを一口食べた瞬間、

零は思わず唸った。


「うま……! この自家製デミグラス、

 市販のやつと全然違う。

 玉ねぎの甘みがしっかり出てる」


祖母は向かいに座り、

湯呑みを傾けながら

満足げに目を細める。


「あんたがちゃんと

 美味しいって言ってくれるだけで、

 作った甲斐があるよ」


零はご飯を頬張りながら、

心の中でさらに計算を進めていく。


「祖母の

『作った甲斐があった』という言葉、

 これは

 家族間の精神的黒字を生み出す最高の配当だ。

 プラス80を追加計上する。

 ハンバーグ、副菜のきんぴら、味噌汁……

 この定食全体のクオリティは、

 下手な定食屋を凌駕している。

 つまり、

 これは『外食費の節約』にも貢献している

 わけで、経済的にもプラス40!」


零は最後の一口まで丁寧に味わい、

箸を置くと深々と頭を下げた。


「ばあちゃん、ごちそうさま。最高だった」


「そう? じゃあまた作ってあげる」


祖母がそう言って

台所へ戻っていく背中を見送りながら、

零は満腹感に包まれてため息をついた。


「無職としての罪悪感なんて、

 この美味しさの前では誤差の範囲だ。

 今日の決算は、

 圧倒的黒字で完済……いや、むしろ

 繰越黒字だな」


窓の外はすっかり暗くなり、神保町の

古書店街には

静かな夜が訪れていた。

ノートパソコンは

今日も開かれることはなかったが、

零の心は

ハンバーグの余韻とともに、

満ち足りた温かさに包まれていた。


©2026 [風風風]. All rights reserved.

明日、20:40 に、第3話を投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。