手紙
【――こんばんは、恭さん。恭さんと俺の仲ですし、堅苦しい挨拶とかはなしにしますね。
まさか、自分がこんな台詞を言うことになるなんて夢にも思いませんでしたけど……きっと、恭さんがこれを読む頃には俺はこの世にいないっす。
……さて、何から話しましょうか。正直、話したいことがありすぎて、全部詰め込んじゃったらとんでもない量になるっす。控えめに言っても、文庫本一冊くらいの量にはなるかと(笑)
けど、そこまでお付き合いさせるつもりもないのでなるべく手短に済ませますね。やっぱり、まずは出会いから。入社初日、緊張しっぱなしで右も左も分からずあたふたしていた俺を優しく和ませてくれて本当に嬉しかったです。いつもですけど、あの時の優しい笑顔は特に印象に残ってます。
それと……恭さん、あの日盛大なミスをやらかしてましたけど……あれって、俺のためっすよね? 不安と緊張でつぶれそうになってた俺を安心させるために、上司である恭さんが自ら大きなミスをしてみせてくれたんですよね? その時は分かりませんでしたが、後になって流石に分かりましたよ。どんなにうっかりしてても、恭さんがあんなミスをするはずないって。全く、お人好しにもほどがありますね。俺、知ってるんですからね。その件で、恭さんが大目玉を食らってたの。
それからも、恭さんはずっと優しかった。上手く出来た時は褒めてくれて、失敗した時は励ましてくれて、それでも挑戦したことを褒めてくれて。今だからぶっちゃけますけど……正直、ここが自分に向いてるとは今でも思ってないっす。でも、それでも続けてこれたのは……他でもない貴方がいたからです、恭さん。だから、改めてありがとうございます。
そして、これが一番言いたかった……と言うか、言わなきゃ駄目なことなんすけど……どうか、自分を責めないでください。俺が死んだのは、俺が弱かったから――だから、自分のせいで俺が死んだなんて、絶対に思わないでください。……まあ、だったら死ぬなって話ではあるんすけどね。
それから、最期に――俺の恋心に、真っ直ぐ真剣に向き合ってくれて、本当に嬉しかったっす。恭さんと出逢えて……恭さんを好きになって、本当に良かった。本当に、幸せでした。だから、どうか――
――どうか、幸せになってくださいね。恭さん】




