“ビイズバニキズホセ街道運動” その1
転送ゲートができてからは実家——王城とか本邸とか——で家族と会う必要がなくなった。代理人に今年もやらせていただきますと挨拶させて私たちは直接ラブパレードのスタート地点に向かうだけとなった。空を飛ぶ必要もないので子供を連れた移動も簡単だ。
では何が問題なのかと言うと、飛行隊が中継地として利用していた場所の人間が、自分たちは軽んじられていると解釈するようになった点が1つ。もう1つは家族と関わらなくなったことでますます叛逆、抵抗の意思ありと疑われるようになった点である。要するに痛くもない腹を2つも探られるようになった。
以前から少しずつダトベの雰囲気を変えてきた。
どこでもそうだけどここにも色々な勢力がある。
メインは2つ。元々ここに住んでいたダトベの人々。ギュキヒスが侵略してきて支配し、そこで勢力を拡大してきたギュキヒスの人々。
サブが2つ。南で国境を接している隣国ネラズグレの人々。ギュキヒスはそことダトベの土地を巡って争ってきていて、今はギュキヒスのものになっている。ダトベ独立すべしという動きの中には隣国の切り崩しという狙いも見え隠れしている。そしてレシレカシ。ギュキヒスと隣国、どっちも弱体化させてダトベを独立させ、ギュキヒス、ダトベ、隣国ネラズグレを分断させることで個別撃破する。目標は大陸の統一である。
自分でもどうしてこんなことに巻き込まれてしまったんだと思わなくもない。私が毎年、ラブパレードで顔を出していることで王都の人間がこの土地でも大きい顔をするようになっていた。すると地元の人間の反感を買う。私がパレードの参加をやめて関わりをやめると、それでも結局、私が領主を殺したことで勢力争いが起こり、王都の人間が大きい顔をするようになる。放置すると内乱が起こり、内乱は私の実家の勢力を衰えさせて、隣国の勢いを増すことになる。実家が嫌いとはいえ、弱体化したら私も困る。困らないためにはレキシカシ側に強くなってもらわないといけない。
私としては実家とレシレカシ、どちらの味方になるか選ばなくてはいけない。それならレシレカシに乗り換えるしかない。毎年のレシレカシへの寄付金も減ってきてるしね。
ダトベ城に着いた私は人を集めた。
メイドたちや子供たちのほか、このダトベで仕事をしているレシレカシの運営もいる。総勢で子供を除くと15人。
手を叩いて注目させてから言った。「そういうわけでね。ダトベだけじゃなく、基本的にレシレカシに付いた方が得だぞということにしていきたいんだよね。まずはラブパレードに沿って全員を説得させていこうと思います」




