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魔法使いザラッラ  作者: 浅賀ソルト
“評価不定”の2つの自立
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ブユ族内での地位を整える

 そのあと黄銅の子ドラゴン——なんでこんな派手な色なのか不思議だったけど、南のジャングルの中だと目立たない色なんだそうな——は尖塔の周りを飛んで兄弟の白ドラゴンを応援し始めた。白い方は怖がっていたけど最後には空に飛び出し、なんとか飛行に成功した。2匹は一瞬だけ並んで飛んだ。白ドラゴンはそのあとすぐに地面に下りてしまったけど。

 続けてキリュ゠チャはまた2匹を尖塔の上に運んだ。また白と黄銅を1匹ずつだった。白の方がずんぐりしている。北国の竜だからかもしれない。今回も黄銅の方が先に飛び、それに励まされて白い方が飛んだ。最後の3組目のコンビは白が先に飛んだ。黄銅の方は結局その日は飛べずにキリュ゠チャに回収されて地面に下ろされてしまった。

 最初に飛んだ子供ボラキュクケは言葉を覚えて、古代語で、「飛んだ」「飛んだ」と何度も口にした。

 人間たちも子供たちに寄って、なんとか古代語で「飛んだね」「えらいえらい」と褒めた。

 ボラキュクケはドヤ顔になっていた。調子に乗っている子供というのはドラゴンであっても分かりやすかった。

 1匹は喋り始めると残りの姉妹が喋り始めるのも早かった。

 この調子だと巣立ちはすぐなのかと思った。が、言葉を覚えて話せるようになるにはそこからまだ時間がかかり、巣立ちまで7週間か8週間はかかった。人間よりは早いけど、孵化したらすぐに巣立ちがきて娘とお別れするのかと思っていた私たちには思いのほか長い心の準備期間が用意された。拍子抜けした。

 まあ、長くてよかったと思う。

 ドラゴンの子供たち全員が私の子供全員と仲良くなり、子供特有の人懐っこさですぐに遊ぶようになった。大型犬とか子馬と遊ぶ子供といった絵面になっていた。言葉が通じなくても遊べるのは子供のいいところだ。7歳の娘はドラゴンが相手でもやっぱりボスになって全体を仕切っていた。1歳0歳の子供にもドラゴンの子供は興味を示し、背中に乗せたり、そのまま空を飛ぼうとした。さすがにひやひやした。


「ドラゴンの子供、思ったよりかわいいな」

 城の広間で遊ぶ上の子3人と6匹を見ながら言った。隣にはネゾネズユターダ君がいた。

「そうだね。みんないい子だ」

「誰にするか決めた?」

 ネゾネズユターダ君は直接は答えなかった。「皮肉なもんだね。性格がよくて人懐っこいからこそ姉妹と離されるなんて」

「本当にね」私は言った。「あ、けど、彼女も好きよ」私は別の黄銅の子——オーチャンノーニューヒャー——を指差した。

 ネゾネズユターダ君は笑った。「だと思った」

「え? 何が?」

「君って、おとなしい子も結構好きじゃん。ピュゴダ゠グスみたいな」彼は5歳の息子の方に視線を向けた。

 彼は離れたところで、同じくおとなしい性格のオーチャンノーニューヒャーとひそひそ話をしている。時々くすくす笑うので、私としては何の話をしているのと混ざっていきたくて仕方なかった。

「まあね。誰に似たのかな」

「君だと思うよ。元の性格はおとなしいんじゃないかな。きっと」

「じゃああなたは元の性格は社交的で派手なの?」

「たぶん」ネゾネズユターダ君は否定しなかった。「本当に小さい頃の記憶だと、あんな風にガキ大将をやってた記憶がある」その視線の先には、全員に集合をかけて鬼ごっこを始めようとするパビュ゠ヘリャヅがいた。

「へー」イケイケのネゾネズユターダ君を想像して思わず笑ってしまった。「まあ、けど、心当たりもあるかなー」人差し指を唇に当てて天井を見た。

 彼はいつものように私の肩に腕を回す。「それはよかった」

 横から男が前に出てきた。ヂゲリュツ城で責任者として色々と仕事をしてもらっているブユの男である。

 私が目を向けると彼はかしこまった。「族長が来ています」

「ん。向こうで面会するわ」

 この面会は事前に約束があった。ブユ族の反ザラッラ派粛清完了の報告である。私も立ち会うことになっているが、実際に聞くのはこの責任者の方だ。

 私はヂゲリュツ城の再建された執務棟に移動した。


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