第2章 王国対戦 2-17 王国対戦 ログザイ vs センチュリア 後片付け
まったくまともな戦闘にならなかった対センチュリア聖王国。
戦場の後片付けをログザイ王国兵に任せて、向こうのエリスティアからの希望から仕方なく通信をする事になった。
『このたびはご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ありませんでした』
「いや、王国大戦中ですし、迷惑というほどの攻撃も受けてませんから。
ただただ、つまらない戦闘だっただけです」
『こちらの報告を聞いたところ、シズマ達は寝坊したとかで決めた時間までに準備できていなかったとか……』
「そうだったな。あなたも準備が終わるまで待ってろと言う方なのか?まぁ、2,3分は待ってやったけどな、こっちの兵の退避時間のためにだけど」
『いえ、待ってもらう方が戦う者として恥ずかしい限りです。そのまま時間通り戦っていただいて問題ありません』
向こうもシズマ達の行いがおかしいことには気付いていたようだ。
よくあんなのをトップに据えて部隊を運用していたものだ……たまたま運が良かっただけなのか……
「よくあんなのに部隊を任せていたな?あんなのだったらもっと昔に壊滅していてもおかしくなかったと思うが」
『あのメンバーで部隊を組ませたことがないのです。シズマとトーマが居るときは私も出ていましたから……』
「だからか……自分が一番上になると途端にだめになるヤツ。部隊の指揮官がそうだと確実に壊滅するパターンだな」
『ソウデスネ』
「どうせ部下の言葉も聞かない奴らだったんだろ?しかもパワハラ野郎で……
だから誰も起こしたり進言したり出来なかったんじゃないの?」
『ソウデスネ』
「宗教で権力持つと堕落する話しは、異世界モノでも定番ネタだよね」
『ソウデスネ』
もう通信の向こうにいるエリスティアは目に光もなく焦点が合っていないようだった。
そうでなくても大型兵装33機が一気に失われたら、今の現状他の国が攻めてきても対応出来なくなるだろう。
そんな状況を護衛騎士が私怨でやったとなれば、国の運営に問題が出てくるだろう。
同じ所に居る苦労人のメルシアさんもさぞ大変だろうなぁ、と思う所。
「とりあえず大型兵装は徹底的に破壊はしていないから修理できるはず、修理費用がいくらかかるか知らんけど。
こちらの王国の工兵に補修して歩ける程度にはしてもらったから、いずれは帰り着くと思う。」
『重ね重ね面倒をかけて済みません』
「それは国王の方に言ってくれ。メルシアさんにもこれから大変だろうけど頑張って、と伝えてくれ」
『いずれまた謝罪に伺わせていただきます。それでは失礼します』
センチュリア聖王国は今回の王国対戦の表舞台から消えるだろう。
これでこちらへの無駄な被害が一つ減った……よしっ。
「メルシアさんに優しいお言葉をかけるんですね?」
「いや……あの人が倒れてもセンチュリアがまた面倒なことになりそうだから、防波堤として頑張ってもらわないと……」
何やらアスカさんから黒いオーラが出ていたが……なんとか抑えられただろうか。
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センチュリア聖王国への帰路についた大型兵装のコクピットの中でシズマは怒りに震えていた。
「……ちゃんと準備が出来ていれば俺が勝てたのに……」
少なくともシズマ達3機は戦闘開始できるだけの時間を与えられそれでもボロ負けしているのに、まだ自分達が勝てると思っているというのだった。
離れて観ていたログザイ王国とセンチュリア聖王国の兵の判断としては、わざわざ攻撃を受けてくれたファントムに相手にもされていないくらいだったのに……
自分の実力が正しく判断出来ず、権力を持っている自分が強いんだと思い込んだ結果である。
3機も居ながら連携も取らずに猪突猛進に突っ込んで行く姿は情けなく、本当に上位プレーヤーであり指揮官なのかと疑いたくいものだった。
センチュリア聖王国への帰路の途中、周囲の兵も腫れ物に触るように遠巻きに見ているだけだった。
これでシズマ達の機体に腕があればどれだけ八つ当たりされたことだろうか……腕を切り飛ばしてくれた敵の大型兵装に感謝している者も居るくらいだった。
ただでさえパワハラ上司で人気が無いところにこの失態で、「もう護衛騎士から外されるだろう」とまで噂が流れ、彼らの野営の準備されないほどに見捨てられていた。
「くそ、ふざけやがって。これでも上位プレーヤーなんだぞ。
ましてやセンチュリア聖王国の護衛騎士なんだ敬って当然だろう。世話もさせてやってたんだ、文句を言われる筋合いはない」
どこまでも自分本位のため利益のある者としかまともに付き合いがないため、護衛騎士から外されればほとんどのプレーヤーが付いてこないだろう。エリスティアもこの失敗で謙虚になってくれればと思っていたのだろうが裏目に出てしまった、というところであろう。
『……@x¥?……』
「何だ?」
コクピットの中で何か声が聞こえてきた。余程大きな音でもしないと外からは聞こえないはず……
『……力が{@+……』
「ん?力が?」
『……力が欲しいか?……』
「”力が欲しいか?”って?そりゃ欲しいさ。でもそんな使い古されたフレーズで言われてもなぁ……」
『そうかい?じゃあダイレクトに。
こちら側に付かないかい?
もっと性能のいい大型兵装を提供できるし、ファントムだっけ?例の大型兵装と戦える場を設けてあげるよ?
今、例の大型兵装と戦える人材を探してるんだ』
コクピット内の通信機からではなく、何もない空間から音が作り出されているような感じで声が聞こえる。
普通ではない状態だった。現実世界だったら心霊現象として記録してどこかに投稿すれば金一封もらえるかも知れない位だ。
「なんで、そんな人材を探してるんだ?」
『この王国対戦を長引かせたいんだよ。ただそれだけだ。
現状、例の大型兵装が強すぎ、下手したらすぐに終わってしまう。他の強い三カ国だけで争ってもそう長くならなそうだし。
なんで、早く終わるとちょっと困るんだよ』
「それに乗っかってこっちに何のメリットがあるんだよ?」
『ストレス発散の場がもらえる。強い大型兵装がもらえる。それなりの報酬も準備してる。こんな所かな?』
「……」
ただでさえ例の大型兵装に叩き潰され鬱憤が溜まっているし、周りからの見る目に耐えられなくなってきている。
それならまた自由に暴れられる方が面白いかも知れないとは思いながらも、今の護衛騎士の座を失いたくもない……と思っている。
すると……
『今すぐでなくていいよ。いつまでも時間をあげられる訳じゃないけど、センチュリアに戻って待遇がはっきりしてからでいいよ。
こっちに来てくれるつもりがあるなら、このアドレスにアクセスして。集合場所を書いとくから』
「分かった。まぁこれまで通りの待遇って事は無いだろうし、かなり自由に出来るなら行くかもしれない」
『何人か連れてきてくれるとうれしいね。身一つ出来てくれればいいよ。こっちで準備しとく』
「そうか。しばらく待っててくれ」
途端に通信が切れたように周辺の雰囲気が変わった。
一般的な通信機能以外の何かが使われたのだろうか……面白い相手の気がする。
暴れられる場を設けてくれるなら付き合ってみるのもいいか、とシズマはもう付いていくつもりになりかけている事に気が付いた。
……顔も笑っている……これまでにないくらいに……こんなのは随分久しぶりだった。
もう、誰に声をかけるか考え始め、コクピットに静かに引き籠もった……
次回予告
ログザイとセンチュリアの対戦前日にDX王国のゼフィリアがまた侵攻してきた……
気付いていないログザイの代わりになぜかイツビシが防衛するのだが
次回 2-18 王国対戦 DX vs イツビシ




