第1章 大型&中型モンスター掃討作戦 1-25 監視 in モニタールーム6
9月4日 AM7:00
ヒュドラ戦が終わり、サポートチームの監視もひと段落して皆また大きなため息をつく。
「「はぁぁぁぁぁぁぁ」」
「マネージャー……ヒュドラとしては集札といっていい結果ですね。頭一つしか復活しませんでしたから」
「そうだね。プレーヤー4,50人でもあの大型兵装の戦力には足りないな。
もっと広大なフィールドであれば100人200人でも足りないだろう、1000人でも……」
「装甲もかなりの強度でしたね。
ヒュドラの頭部の直撃や噛み付き、果ては中級の水魔法の直撃でも揺らぐ程度で凹みもしないとかありえませんけど。
神田さんはどんな設定してるんですかね?」
「射撃精度についてもすごかったね、外れはしてたけど。
約1000mの距離から動くヒュドラの頭に半数の7発も当てるなんて、ここのプレーヤーには無理でしょう。
どれだけ高度な演算をしてるんだ? アレ」
相変わらずのトンデモ性能にため息しか出ない……
「テスト機って話だからかなり盛りまくりなのかな。
この後打合せがあるから聞いてみるよ。
そういえばテスト機のデータを送ってくれるって言ってたけど来ていない?」
「……ちょっと待っててください」
開発部門 神田チーフからのメールを確認し、サポートチームの共有フォルダに大型兵装のスペック表を移してもらった。
手元に表示させてみるがちょっと信じられない数値だった。
ぱっと見ただけでもあまりにも性能が低すぎるのだ。
「これってあってるの?」
「マネージャー……開発部門の神田チーフからのメールに添付されてるファイルですから間違いないはずですけど」
「うーーーん、これも打合せで聞いてみるしかないか。」
9月4日 AM9:00
例の大型兵装についての報告会を行うことになった。
参加者はサポートチームマネージャー 編くん(通称)、開発部門チーフ 神田、(じんでん)ゲーム運営部門トップ 部長 (通称)、ゲーム運営部門のアドバイザー 博士 (通称)となった。
ストーンゴーレム2体、グリフォン・ヒポグリフ11体、ヒュドラ(8頭)1体を攻略させた際のデータを分析して、分かったことについての報告である。
当然通常のプレーヤーの戦闘力の比ではないことはすでにデータを見なくても分かってはいるが、ゲーム画面では見ないところのデータを開発部の方で解析した結果が注目されるところだろう。
サポートチームが録画しておいた各戦闘の映像を流し始め、サポートチームマネージャーである編くんが司会進行を行う。
「まずは戦闘時の映像を見ていただいて……っと、ちなみに先輩はゲーム内からの参加となります。
見ればまぁ分かると思いますが、戦闘能力や武器、装甲の強度など、これでもかというほどとんでもない数値になっています」
「そうじゃのう……アップデートで追加した大型兵装と比べるとステータスが桁2つくらい違いそうじゃのう」
「……そんなもので済めばいいですけどね。」
「戦闘能力についてはプレーヤーであるナム氏の能力もあるので搭乗者が変われば多少の変動があるでしょう。
武器についていえばこれでも極一部で、まだまだ様々な武器がありそうです。コストの面で使用したくないというのもあるとか聞いています」
「装甲の強度は?」
「今のところ傷はついていないみたいですね。
ヒュドラの頭部の直撃などや中級クラスの水魔法でも傷はつかないほどの強度のようです。
ただ、衝撃についてはプレーヤーは気にしているようで、あまり衝撃を受けると動かなくなることがあるようです」
「装甲は大丈夫でも内部構造にダメージを受けてるっていう設定のようですな。
その方がちまちま装甲が破損したからお金をかけて交換するというような手間をかけず、部分ごとに一括交換で済むから管理の手間も減っていい」
「うちも何かのゲームでその構造を活かしたいですね」
とりあえず例の大型兵装の基本性能については確認程度にとどまった。
現物を正確に計測機で調査できるわけではなく、機体データはこちらのサーバーにあるわけでもなさそうなので直接アクセスもできない、ということでほぼ感想のみのような報告となった。
この後開発部門 神田チーフより報告があった。
「直接大型兵装の機体についてではありませんが……
影さんの聞き込みにより大型兵装のプレーヤーが使用している演算ユニットがATD RD 5 4400TとRD 9 4800Xだったそうです。
うちのゲームはプレーヤーが使用しているPCに一部処理を割り振ることでサーバーの処理を軽減し、その対価としてプレーヤーの能力をいくらか上げるようになっているのは周知されているわけですが……
あの大型兵装はRD 5 4400TやRD 9 4800Xでは到底割り振られるはずのない量の処理が割り振られていたことが確認されました」
「「「はいぃぃ どういうこと?」」」
「各プレーヤーに処理させている量をリアルタイムに計測していますが、あの大型兵装に関していえば小さなサーバールーム並みの処理が行われています。
当然間違えてそんな量を処理させた日にはプレーヤーのPCはまともに動かずクレームが来ているでしょう。
クレームが来ていないということは普通に動いているんでしょう」
「それだと演算ユニットは別のものが使われているということじゃろうか?
それでも今販売されているような演算ユニットだとそんなレベルで処理はできはせんじゃろ?」
「そうです……
現存する民生向けの演算ユニットではそんな量の処理はできません……」
皆が愕然とした顔をし驚いていた。
次回予告
大型兵装について報告を行ったところ、演算ユニットについての異常性が報告された……
演算ユニットについてそれぞれが考える。
次回 1-26 監視 in モニタールーム6(続)




