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妖精の森編『空と森とフェアリーGO』

久しぶりだな…

 

月明かりが射し込む部屋のなか。

少女は、空を眺めながら一人呟く。


「あ〜ぁ。えいすけくんには悪い事したなぁ。

この事知ったら嫌われちゃうかなぁ?

……まぁでもここに残っても意味ないし、えいすけくんにはこの世界を見て欲しいからね。

それに、あの様子だといつかは城を出て行っただろうし、それが早まっただけだよね。うん。はい、自己嫌悪終了!」


その少女は、夢の世界でそう呟く。

何処か寂しげに、だがその口元には笑みを浮かべて。


「あぁ。楽しみだなぁ〜。

貴方はこの世界で何を成すのかなぁ?

期待してるよ。私の大好きなえいすけくん?」


空には、一つの大きな夢幻の混沌が眠っていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【英輔視点】


大蛇に食われそうになったと思ったら、大蛇が龍に食われたぜ!

……えっ?何コレ?どういう状況なの?

突然の出来事に俺が困惑していると、目の前の龍が話しかけてくる。


『大丈夫じゃったか?人の子よ。』


荘厳な雰囲気を纏った、しかし優しい声色。

その巨大な存在は俺に目線を合わせるように頭を下げて、話しかけてくる。

その様子から目の前にいる龍は味方っぽいし、危険も蛇がいなくなくったというか目の前の龍に喰われたし、体も五体満足だし。


……なんか助かったっぽい?


傷といえばさっき転んだ……華麗に止まった時に擦りむいた傷位だし。


その事実を確認した途端、死に直面していたという緊張感が糸のようにプツリと切れてなくなった。


「はぁ……助かったぁ…まじで死ぬかと思ったぁぁぁ……」


緊張感の代わりにやってきたのは大きな安堵の感情。嬉しさと先程までの恐怖が綯い交ぜなったような不思議な感情だった。


俺は深く息を吐いてその場に座り込む。

見てみると足はがくがくと震えており、心身ともに疲弊していたことが伺えた。

その様子を見て龍は軽く頷いてこちらを見て、その後俺の後ろを眺める。


その先には、大蛇が通ってきたであろう草木の倒された長い一本道が出来上がっていた。


『随分と走り回ったようじゃのう?

人の子には辛かったじゃろうな。疲れているのなら休んで良いぞ?妾がここらをみておいてやろう。』


おおう。めちゃくちゃ親切やんこの龍。

こんなに強そうな龍が守ってくれるなら絶対安心だな!

あぁでも、刀衣を探さないといけないしなぁー?

この森早く抜けたいからもう行こうかな?


そう刀衣のところ……に?


……アレ?あれれ〜?おかしいぞ〜?

刀衣の霊圧が消えたな……って、こんなことやってる場合じゃなくて、まじでスキルから反応消えたぞ……?


なんだ?

魔物に追いかけられる前まではしっかりと感じていたのに……

どうして消えたんだ?


消える……存在がない……死……?


……やばいな。死んでたらほんとうにやばい。


予定変更だ。この森を早く抜けよう!


「龍さん。気持ちはありがたいんだけど、ちょと急ぎで此処を抜けなきゃならないんだ。

そういう訳でこっちの崖の方に行きたいんだが、向こうに渡るルートを知らないか?」


『ほう?表情からしてなにか訳ありな様子じゃな?』


龍は目を細めて此方を向き続きを話すようにと促してくる。

そんな動作がいちいち美しくてずっと見ていたくなるが、刀衣の方が優先度が高いのでスルーだ。


「あぁ。俺の親友の刀衣ってやつを見つけなきゃいけないんだ。

さっきまでスキルで大体の方向は分かってたし、刀衣も簡単に死ぬ様な奴じゃないから大丈夫だろうと思ってた。

だけど、突然スキルで居場所が分からなくなって……

だから刀衣に何かあったんじゃないかと心配で……」


『ほーう?そうかそうか……ふむ?』


そう言って龍は何か考える様な動作をする。

滅茶苦茶に綺麗なんだけどこの龍……!

すげぇわ。なんというか、俺では敵わない様な風格漂ってる。

思わず魅入っちゃうぐらいには綺麗だ。


しかし、先ずは刀衣の事だ!


『それならば、妾が向こうまで送ってやろうか?

あと、妾の名前はりゅうでは無くクラレアじゃ。わかったか人の子よ?』


「まじか!送ってくれるのか?!優しいかよクラレアさん!

俺の名前は広畑英輔だ!よろしく!」


『お、おう?お主は変なテンションをしておるな?人の子よ?

……まぁ良い。取り敢えず向こうに渡るから妾の背中に乗ってくれんか?』


「おう!わかったぜ!」


いやぁーまじ助かるわー。龍様様だわー!


俺が乗りやすいように背を低くして、例としては犬の伏せみたいな格好になってくれているクラレアの背中に飛び乗る。

飛び乗ると、クラレアの体には鮮やかな色をした鱗がついている事がわかった。

その鱗は触れただけでわかる程に硬く強靭で、どんなものでも傷をつけることは出来ないだろうと思わせるものだった。


『……あまり触るでないわ人の子よ。くすぐったくてかなわん。』


そういってクラレアは身じろぎをすると此方をジトっと見てくる。

かわいいかよ。


「すまんすまん。凄い綺麗な鱗だったからつい……じゃあ、向こうまでよろしく頼む!」


『まぁそういうことなら見ても良いが……じゃあ、行くぞ?

しっかりつかまっとれよ?……とう!』


そう言うとクラレアは一瞬の後に天高く舞い上がり飛翔を始める。

そこからは森全体が見えた。

その景色は今まで見たこともないようなもので、辺り一面が青々とした木々で埋め尽くされていて、自然の力強さ、生命の輝きを感じられる雄大な景色だった。


「すげぇな……」


『そうじゃろう?この森は美しいじゃろう?』


思わず感嘆の声が漏れる。

それを聞いたクラレアは何処か嬉しそうな様子で答えた。

少しの間そうやって眺めているとやがて向こう岸が見えてくる。


『人の子よ。着地するからつかまっとれよ!』


クラレアは俺にそうやって言ったものの、全く衝撃を感じないぐらいすっと地面に着地し、少し自慢げにふふんと俺を見てくる。

いやぁー。いいもん見れたな!


『着いたぞ人の子。ここで良いな?』


「あぁ!ありがとなクラレア!助かったぜ!

じゃあ、ちょっと急ぎだから悪いけどもう行くな!

ホント助かったよ……またどこかで会おうな!」


『それなんじゃがな?

人の子よ。……お主この先どうやって行くつもりじゃ?

もう、その親友の場所もわからんのだろう?

それに、お主今回は妾がおったから助かったが、次あんなのに出会ったらどうするんじゃ?

最悪逃げられるだけの算段はあるのか?』


クラレアはじっと此方を見ながら問いかけてくる。


……考えてなかった!


そうだ。刀衣の場所ひとつもわかんないんだった!

やばっどうしよ?どうやって探そうか?


「……あ、あんな強いのはそうそう会わないんじゃ?」


『あれはまだ弱い方だぞ?』


「……どうしよ?」


あれで弱いとかまじか。

じゃあ俺どんだけ弱いんだよ……?

あれか?この世界の住人は全員伝説の野菜人並の強さを持ってるってことか?


……この世界こっわ!

俺はなんて世界にこの身一つででようとしてしまったんだ……


「えーと……」


どうしようかと考え込むが、一向に答えは出てこない。

俺には強い力もないし、強い仲間もいないし……


そんな様子を見て哀れに思ったのか、龍がため息をついて話し出す。

そ、そんな可哀想なものを見る目を向けるのはやめてくれぇ!


『はぁ〜。何も考えとらんかった顔じゃな?

親友を助けようとするのも良いが、その手段はしっかりと考えんといかんぞ?

死んだら元も子もないし、妾が助けた意味もなかろう。』


「う〜ん、正しく正論だぁ……」


『そうじゃろうそうじゃろう。

それでな?そんなお主にいい話があるのじゃ。

……お主、妖精ゲットしに行かんか?』


そう言ってニヤッとクラレアは笑う。


え?妖精ってあれだよね?

よくラノベ系で出てくる妖精の話だよね?


「え?そんなちょっとコンビニ行く?みたいな感覚で妖精ゲット出来んの?」


『あぁ……こんびに?というのがなにかは分からんが、妾が居れば大丈夫じゃ。これでもこの森の守護龍やっとるからな。ちと待たれよ?』


そう言うと龍は、何やらうんうんと唸ったかと思うと空中から、球状のうっすらと七色に光る透明な石を一つ出した。

それにしても、クラレアさんこの森の守護者的な龍だったのか。どうりで強いわけだ。


「これはなんでございますか?クラレア様?」


『どうしたんじゃ気持ち悪い。そんな言葉遣いせんでも良いわ!』


「おぉそうか!いや、偉い人には敬意を払えと言われてるからな?じゃあ、こっちで話させてもらうぜ!で、これはなんだ?」


俺のテンションについていけなくなったのか、何も言わずに続きを話すクラレア。


『……これはな、妖精を捕まえる為の魔晶球でな、これを出会った妖精に投げつけることで捕まえられるのだ。』


「なんか10万ボルトの電撃を出す黄色いネズミが出てきそうな感じだなそれ?」


『何言っとるんじゃお主?そんなネズミおるわけなかろう?』


クラレアはそういって何言ってんだって感じて首をかしげる。

いやだってこんなんまるっきりポケ○ンだろ!

因みにこれは余談だが、俺はクチ○トが好きだ!

戦いの時にこっち向いてるところとか可愛い。あとは後ろ口のアンバランスさが最高だ。

ただ、クチ〇トさんは弱いんだよ、って……

よし。オーケーこの話は終わろう。このまま話し続けたら一生かかる。


『まぁよい。じゃあ、妖精の住処まで案内するぞ?良いな?』


少しの間フリーズしていた俺に奇っ怪な目を向けるクラレア。


「オーケー。了解だー!

……じゃあ、フェアリーGOしに行くか〜!」


『変なこと言う人の子じゃのう?本当に。

……そうじゃな、妖精の住処に着くまでちとかかるでの。妾が何か話してやろう。』


「おっ本当か?助かるぜー!」


……こうして前回の冒頭に戻る。



いつの間にか夏休みが終わりかけていた……

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