十話 ―そして地下三階?―
ブックマークありがとうございます。
嬉しかったので短いですが1話分です。
地下二階と地下三階の違いがきっとあると思っていた時期がスレイヴにもありました。
特に代わり映えのしない壁や蝋燭を見つつ、降って最初のフロアには地下二階と同じ敵、ブラッディ・オークとブラック・スライムが居た。
相変わらずこっちに気がつくと、足早に襲ってくる。
もしかしたら、攻撃力が上がっているかもしれないと思い、緊張もしたがボーンとロゥーパ達が長剣でバラバラにしてしまった。
うわー……地下二階なみに弱いっ!
「敵が変わらないのか……」
『そういう時もあるだろう』
いやそうだけどさ。
ただ、地下三階も地下二階と同様で内部が大きいかもしれないし、もしかしたら宝箱もあるかもしれない。罠だってあるかもしれないし、強敵だっているかもしれない。
もはや、かもしれないという希望的観測だが、何らかの違いくらいはあってほしい。勿論強い敵や、罠はお断りだが。
とりあえずボーンとロゥーパ達に索敵と前進をさせつつ、俺が周囲に気をつける方法で進む。
そんな時にブックが暇なのか語り始めた。
『昔の話だが、転送トラップなんてのも楽しいぞ。一瞬で壁に埋まったりする』
「楽しくないから! それ確実に死ぬよな?」
『大丈夫だ。一瞬だけは生きている』
「結果的に死んでるだろ!」
ブックは何故か分からないが、罠の話だけは嬉しそうに教えてくれる。罠のどのへん魅力があって、ブックにここまで嬉しそうな話をさせるのだろうか……。
「もっと楽しい話題はないのか?」
流石に壁に潰される話や、串刺しにされるトラップの話を愉快に話されても嬉しくも何とも無いので、話題を変えさせる。
『楽しい話題か……難題だな』
「どういうことだよ……」
『貴様と私では価値観が違うからな』
「そうだな」
『私は私の面白い話しかしたくはないからな』
「自己中心的だな」
『当たり前だ。私はそういう生き方を渇望している。今も、そしてこれからもな』
「そうか……」
それを自信満々に言えるブックは、もしかしたらすごい大物なのかもしれない。
地下三階をぐるっと回ってる最中にトンでもない所に出くわした。
「地下四階への道で良いと思うか?」
俺は唖然とした顔でブックに尋ねる。
『これは驚いた。浸水しているではないか』
そう、今目の前にある地下へ行く階段は水に浸かっているのだ。しかも完全に水の中だ。ここを進むには潜水するしかないよな。
流石のボーン達も、ここが通れるのか疑問を浮かべているようだ。
ロゥーパAが気になって興味心身で水に浸かるが……プカーっと浮いた。
「浮くのかよ!」
思わず突っ込む。
サボテンもどきが必死で階段を降りようとするも、どうがんばっても先に進めないようだ。お前の体の中は空気でも詰まっているのか?
面白がってBもCもザブーンと水に突っ込むが、浮いてしまう。
浮いたロゥーパ達は為す術もなくワチャワチャと暴れている。どうしようもないなこれ。つか、触手を使えよ。どうにかなるだろ。
ボーンがヤレヤレと水に入り、ロゥーパ達を救出する。しかしこの水。一応ただの水って事で良いのか……な?
「この水は安全なのか?」
『ただの水の様だ……。しかし貴様の様に呼吸が必要な魔物にはこの先は進めないな』
「そりゃそうだな……行けるとすれば……ボーンくらいか?」
奴なら呼吸云々より骨しかないし。
俺がそういってボーンに「どうする?」と促すと、珍しくボーンが首を振る。
おや? もしかして水が苦手なのか?
「珍しいこともあるな。ボーンが拒否したぞ」
『水の中では動きが遅くなるからな。戦闘を考えれば妥当だろう』
まあ、そりゃそうか……。潜水して長剣振り回せって言う方が無茶でもあるな。
「他にも道がないかまだ調べる所もあるし、ここは一旦別の所に移動だな」
『それが賢明だ』
仕方ないのでここは保留にする事にした。勿論、直ぐにでも地下四階に行くというわけでもないしな。
それから、数回豚やスライムと戦い。ブックの地図を埋めていく。そうして一時間くらいして先ほどとは違う降り階段を見つけた。こちらは浸水はしていない。
「こっちは大丈夫の様だ」
『良かったな。これで迷宮の中で溺死は免れたぞ』
「勝手に殺すなよ……しかも溺死かよ」
『私も水に浸かればどうなるか分からないからな』
そりゃ紙だしな……。そこで俺はひらめいた。
「そうか……つまりブックを水に浸してどうなるか観察すれば良いんだな?」
『それはナイスアイデアだ。ならば私は貴様を今すぐここで爆発させてやろうか?』
「冗談だ! つか、爆発ってなんだよこえーよ!」
『フン……何も貴様達だけが強くなっているわけではないからな』
忘れてたが戦闘をしてなくてもこいつはこいつで、一緒に居ることで魔力を確保してるのか……? 前々からの話ぶりからして……そんな気がするな。
「そういえば、お前はどうやって魔力を確保しているんだ?」
『貴様が倒した魔物から拝借している』
へぇ、それは楽で良いな。
……うん? 貴様って俺のことか?
……いや、この場合全員からだよな?
「……つまり俺達の成果ってわけだ?」
『違うな……耳が遠いようなので、もう一度教えよう。貴様の倒した魔物からだ』
「……もしかして、それで俺の魔力が上がりにくいとか……そういう事?」
『そうかもしれないな? 安心しろ、その分、私は強くなれる』
俺は少し考えて…………悩んだ挙句…………ため息をついた。
分かってるさ、そりゃ。ブックが強くなれば、その分安心感はあるしな……。でもなぁ……。それはそれ、これはこれじゃね?
そうして俺は壁を思いっきり殴る。これでもかと殴り始めた。
「やっぱり理不尽だああああああ!」
ボーン達は「またか」と言いたげに、自ら自傷行為をする俺を見てため息をついた。




