Underwater battle!
奈美が眠っている中、運営による再メンテナンスによってFRWに起きていたエラーは解消された。プレイヤーの中にはメンテナンス終了まで起きていた者もいたが、大半のプレイヤーは再メンテナンスにはかなりの時間がかかると考えていた。それもあってサーバーに過負荷がかかることなく、今度はスムーズな再開となった。
奈美は目を覚ますと、掲示板でエラーの解消を知ると何も考えずにゴーグルを手に取る。
「奈美ー、まだ寝てるのー?遅刻するよー。」
奈美の母の呼びかけで我に返り、その日が学校であることを思い出す。そっとゴーグルを元の位置に置くと、残念そうに支度をし学校へ向かった。退屈ではないが好きではない授業を終え、駆け足で帰宅する。今度こそ何も予定がないことを確認すると、ゴーグルを取り付け電源を入れる。
「戻ってきたー!えっとみんなはまだログインしてないのか。あっ、お詫びが届いてるけどこれはあのアイテムかな?ステータス調整はみんなと相談した方が良さそうだから後にして……」
ミナは今最も気になっていることを確かめるため、二層にいる天神龍の所へ向かった。最近では避けて攻撃ではなく、避けつつ攻撃するようになり、一体にかかる時間は大幅に減少していた。
「慣れてきたからだいぶ時間は短縮できたけど素材はどうなるんだろう?」
ミナが気になっていたのは強化素材のことだった。素材によっても上げやすいステータスが変わるということは、ステータスの種類分素材が分かれるということでもある。普通のモンスターならまだしも、天神龍でも別れるとなるとステータス上げがこの上なく辛くなるのだ。ミナは獲得した強化素材を確認すると、そこにはATK強化素材と書かれていた。他のステータスも上げられなくはないが効率は最悪である。
「まぁこればっかりは仕方ないか。上がらないよりはいいし。」
ミナは渋々その強化素材を天闇龍ノ剣に使用すると、ミナのATKは2上昇した。数字だけ見ればかなり小さいものだが、今のミナにとっては驚くべき数値だった。ステータスがここまで来ると、ステータスを1上げるのにもかなり苦労する。にも関わらずたった一回で2も上がるというのは、他の同レベルの者からしてみれば信じられないようなものだった。
「これなら!」
ミナは一旦夕食等を済ませるためにログアウトする。それに入れ違う形でヘルがログインする。ヘルもミナと同様にアップデートの内容を把握すると、そのまま五層へと向かってしまった。自分は遅れて参加したため、他のメンバーはもう六層に行ってると思ってしまったのだ。だが、六層に勧めているプレイヤーは未だに誰もいないということをヘルは知らない。
「えっと、これでいいのかな?」
ヘルはスポーン地点とは真反対の海岸へと移動し、専用画面を操作しボス戦に挑む。ボスはなかなか姿を現さないが、ヘルは決して気を抜いていなかった。それでもヘルは一瞬で海中から放たれた一直線の光によって消されてしまった。
「今のってもしかして海中にボスがいるってこと?」
ヘルはあやふやな推測を確信にするため、再びボス戦に挑む。そして今度は自滅覚悟で海に飛び込む。当然海中では息は持たずそのままHPゲージもジワジワと減っていく。しかし、そんな中ヘルは確実にそれを見た。蟹のような姿をした巨大なモンスターを。海底に進み、視界と意識がぼやける。ぼやけは次第に強くなっていき、やがてヘルのHPは0となった。




