Dangerous bets!
レヴンとヨルカが踏み入った島はかなり小さく普通、の探索であれば30分ちょっとで終わるくらいのものだった。
「ここまで狭いってことはかなりの小ギルドの可能性が高いけど、レヴンはどう思う?」
ヨルカの質問にレヴンはボヤくように答える。
「あぁ、どうやら最悪な相手と当たったようだ。」
「最悪とはひどいなー、レヴンさん。」
声と共に1本の木の裏から出てきたのはキサラだった。レヴンとヨルカは知っていた。今の状況どころか、"天裏ノ魔刀"全員で挑んでもキサラにダメージすら与えることをできないことを。
「どうする?」
「簡単に見逃してはもらえないだろう。ここは少し様子を」
「え?別に宝を持っていかないんだったら見逃すよ?」
「「え?」」
レヴンの言葉を遮ったキサラの発言に2人は驚く。その様子を見たキサラは話を続ける。
「まー僕を倒せる人はいないけど、僕から攻撃して倒せる人も少ないからねー。だからそっちが逃げてくれると僕も楽なんだけどー、どうやらそうもいかなくなっちゃったみたい。」
レヴンとヨルカの背後に2人のプレイヤーが出てくる。キサラのギルド"参神"の残りメンバーであるメルとアヒルである。アヒルはまだしも倍以上離れたステータスを持つメルには到底敵わない。加えてキサラとは違い自ら敵を屠ることも可能である。そんなプレイヤーが上級者プレイヤーである2人をみすみす見逃すはずもない。
「ふぅ、それじゃあ一つ交渉だ。」
「交渉?それはどんな?」
「俺たちが持ってる宝一つとそっちの宝を交換しないか?」
「んー、それって意味なくない?いや、待てよー。あーそういうことねー。メルとアヒルはどう思う?」
「私はキサラの判断に任せるよ。」
「俺もキサラに任せるぜ!」
「うん、それじゃあその交渉乗るよ。」
レヴンはキサラの元へ歩み寄り、先ほど獲得した宝と“参神"の宝を交換する。"参神"がこの交渉に乗った理由、それは自分たちにメリットしかないからである。実はイベント開始直前に公開されたルールの詳細によると、自分たちの宝は何個持っていようが最終点数には換算されないのだ。そして今の状況、レヴンたちにしてみれば、"参神"の宝も先ほど得た宝も価値は同じである。反対にキサラたちにしてみれば、自分たちの宝1個は0点なのに対してレヴンの持っていた宝は1点。加えてキサラからまともに宝を奪えるものはおらず、残り個数も脱落には程遠い。ならば損傷は少ない方がいいというわけだ。交換を終えレヴンたちが島を出ようとする。
「やっぱり待った、その交渉私は認めない。」
メルの発言がレヴンとヨルカを引き止める。
「えー?なんで?いいじゃん損ないんだし。」
「けど相手は得をしていない、これでは交渉じゃなくて借りになってる。だからこっちからも情報を一つだけ伝える。」
「あーなるほどー。流石メル、頭いいなー。」
正直、レヴンたちにとってはキサラたちと戦わなくて済むことがメリットだったが貰えるものはありがたく貰うことにした。




