Adaptability!
「はい、これが依頼の物よ。」
カルデから渡されたのは2本の鎌。どちらも色は黒く、グイッと曲がった刃はまさに鎌そのものである。
「初対面なのになんかすみません。あっ、あとこれ……」
「あー、お礼は別にいいわよ。私もなかなか作る機会がなかったから作ってみたかっただけだし。」
「えっ、でも……」
「うーん、どうしてもって言うなら早速それを使ってきて欲しいかな。貴重な意見になるし。」
「なるほど、分かりました!」
「ねぇカルデさん、それってPvPでもいいんですか?」
「えぇ、と言うかむしろそっちの方が助かるかも。」
「ヘルはPvPでも大丈夫?」
「うん。」
「じゃあ行こっか!」
なんだかんだミナが自分から誘うのは初となるPvP。
「それじゃあ始めるよ!」
「おーけー!」
「3、2、1、スタート!」
特に他のプレイヤーがいるわけではないのでミナ自身のカウントによって試合が始まる。
「サタン、闇門!そして堕落!」
いきなりの展開にヘルは目を疑う。【闇門】から出現する悪魔たちがヘルに襲いかかる。ヘルは動きはぎこちないが確実に1匹ずつ倒していく。だがそのぎこちなさが見られたのはほんの数秒だった。激変したヘルの動きは一振りで数体の悪魔を倒す。あのユギンとレヴンの2人がかりですら手に負えなかった物量をヘルは2本の鎌で斬り刻んでいく。ミナの最大の武器を集中力だとするなら、ヘルの最大の武器を恐ろしいほどの順応性だった。デビュー数秒にして彼はプレイスキルだけなら双鎌を使う者の中でトップレベルとなる。ヘルの殲滅量に召喚量が追いつかなくなってきたところでモンスターとなったミナが現れる。
「破壊ノ剣!」
ミナが初めて習得したスキル。ミナ自身の攻撃はやはり外れることなくヘルに直撃する。武器のおかげで多少は戦えるくらいになっていたヘルのHPは一瞬で残り1となる。
「破滅ノ剣!」
ミナのほぼ必殺コンボ。だがミナはこの先に待ち受ける展開を全く予想していなかった。近距離での攻撃は全て鎌によって捌かれてしまう。とは言えヘルの攻撃もミナの集中力によって躱され続けている。だが、【堕落】によって召喚された4体の悪魔も倒されてしまっている。
「このままじゃ…そうだ、堕落解除!」
このままではジリ貧となるミナは、もう一つの武器である発想力により1つの作戦を導き出す。ミナは普通のプレイヤーに戻り、サタンが現れる。
「堕落!」
ミナはもう一度黒い影に包まれる。同時に4体の悪魔が出現するが、ヘルは瞬時に斬り捨てる。ここまで来ればあとはミナに攻撃するだけ。しかしミナにその攻撃が通ることはなかった。実は【堕落】のスキル発動の際に要する時間中はミナ自身はダメージを受けないようになっているのだ。いくら順応性が高くても予想外の行動に対処はできなかった。そのまま動揺を抑えることができず、再びモンスターとなったミナによってヘルの残りわずかなHPは削り取られる。




