Become a devil!
ミナとサタンの戦闘は意外と早く決着がついた。ミナの【破壊ノ剣】は数が多くても関係ない。サタンと距離さえ詰まっていれば一瞬で残りHPを1にできる。ミナの使うものと比べて圧倒的に数が少ないサタンの【闇門】はミナを止めるには不十分だった。残ったHPについては【破滅ノ剣】で削り切れる。結果、ミナの圧勝となった。
「思ったより簡単に終わったけど…」
ミナはサタンの心配をしていたがすぐに起き上がったサタンを見て安心する。
「とりあえず確認っと…【堕落】……?」
クエストクリアにより獲得したサタンの新しいスキル。ミナはスキルの確認を済ませると足早にレーランのところへと戻った。
「おっ、おかえりー。どうだった?」
「新しいスキル獲得したんですけど…」
「けど?」
「なんというか効果を見てもイマイチ理解できないんですよね…」
「それじゃあこのあと試しに行く?PvPでも。」
「えっいいんですか!?」
「うん、私もミナちゃんと戦ってみたいし。」
「じゃあお願いします!」
2人は足早にPvPエリアへ向かい、模擬戦を開始する。
「それじゃあ早速、堕落!!」
サタンのスキル発動とともにミナが黒いモヤに包まれる。そして周囲をどこからか現れた悪魔たちがミナを守るように囲う。
「なるほど、そういう感じか。フェンリル、暴喰!」
レーランは発動に時間がかかるスキルだと予測し、フェンリルを使いミナに攻撃を仕掛ける。ところがレーランの予想は外れる。いや、正確には合っていたのだがあることを読み違えていた。それは周りの悪魔たちの強さだ。数は4匹と少なめではあるが1匹の強さが【闇門】とは比べ物にならない。その辺のクエストの中ボスくらいなら余裕で務まるだろう。そしてそんな相手に勝てるほどまでにテイムモンスターを育てているプレイヤーはこの世界にはいない。フェンリルはダメージを与えることなく散ることとなった。同時に黒いモヤが晴れ、悪魔のような見た目をしたミナが現れる。
「今度はこっちから行きます!」
「させないよ!下克上!」
レーラン自身が取得している唯一のスキル。ほとんどのプレイヤーはこのスキルを発動されれば勝つことを諦めるだろう。簡単に言えば特定範囲内の2人の装備、ステータス、スキルを5分の間入れ替える。ただし思いの外使いこなすのが難しいスキルでもある。相手によっては使いにくい装備やスキルを使うことになるのだから当然だ。
「あれ?なんで……」
【下克上】は発動とともに自身の脳内に範囲内のプレイヤーのリストが浮かぶようになっていて、そこから対象のプレイヤーを選択する。しかし、“ミナ"というプレイヤーはリストに存在しなかった。そして、ミナと4体の悪魔によって模擬戦は終了した。
「ミナちゃん、さっき何したの!?」
レーランは試合の終了とともにミナの元へ駆け出し問い詰める。そんなレーランにミナは【堕落】の詳細を見せる。
【堕落】
条件:サタンのテイマーであること。
効果:テイマーをサタンと一体化し、モンスターとして扱う。4体の配下となる悪魔を召喚する。4体のステータスは以下の通り。
・HP/5000
・MP/0
・ATK/10000
・DEF/1000
・AGI/2000
自分とは最悪の相性を持つそれに、レーランは意識が遠のくようだった。




