Subspace!
ユギンが村雨に挑んでいるそのころ、フリスタ自分のテイムモンスターを手に入れるべく探索を続けていたのだが。
「なかなか見つからないな。みんなはもう見つけたのかな…というか私ってそもそもモンスターって必要なのかな?」
フリスタは今の自分には問題点がさほどないことをふと思い出す。強いて言えばMP以外は心許ないってことはあるものの、それをカバーし切れるだけのスキルや仲間がいる。ならば、テイムモンスターを見つけるよりも他のスキル獲得に時間を当てるべきだと考え直し、情報を集めるために掲示板へと向かった。
みんなが順調にモンスターをテイムしていく中ヨルカは、探索するよりもどういうモンスターを狙うかを考えていた。
「うーん、私の場合はやっぱり攻撃系のモンスターがいいな。もし分断とかされるときついし。フリスタちゃんは【キャノン】があるから多少は凌げるだろうけど私はそういうの無いし…」
ヨルカのプレイは割と一般プレイヤーと似通っている。"天裏ノ魔刀"も含めたトッププレイヤーたちは大体一般プレイヤーよりも違う点が多い。それはいわゆる個性とも呼べるものだ。しかし、ヨルカについてはスキルが少し秀でているだけで基本的には普通のプレイヤーと変わらない。だからこそ特有の強みが無く、いざというときに他のメンバーよりも辛い場面が出てきてしまう。
「んー、もういっそその辺のモンスターで火力高めのやつをテイムしようかなー。」
あまりにもこれといったモンスターが見つからずにいるため諦めようとしたそのとき。隠されてた転移陣に気付かず足を踏み入れてしまう。転移後、ヨルカが目を開くとまるで雲の上のような場所に立っていた。
「うーん、よく分からず飛ばされたけどここどこだろう…」
ヨルカしばらく周辺を探索するが何も出てくる気配はない。最終的には疲れ果ててそのまま寝転がる。雲の上はすごくふかふかしていて感触はとても心地よい。しかし、雲ということもあって水分を含み少し湿っている。そのため、ずっと寝ていたいとは思えずすぐに起き上がる。
「これ以上ここにいても仕方ないし…転移!……ってあれ、発動しない?」
他の場所へ移動しようとしたヨルカは初めてここではスキルが発動できないことに気づく。
「困ったなー。一旦ログアウトするかなー。」
ログアウトするかもう少し様子を見るか迷っているとだんだん辺りが暗くなってくる。もう数分待って何も出てこなければログアウトしようと思ったところで遠くに人影が見えた。薄暗くてよく見えないため目を凝らすが近づいてくる様子はない。ならばこちらから行こうと足を踏み出す。しかし、その距離が縮まることはなく、ヨルカも不振に思う。そのまま変化がない時間が続き戻ろうとログアウト画面を開いたときにヨルカの首に激痛が走る。
「っタァー…って何もない…?」
慌てて首に手を当てるが特にダメージエフェクトが出てるわけでもなく余計に不気味になってくる。
「もういいや、多分私にはできないしログアウト…ってあれ?画面がない…?」
諦めることにしてログアウトを試みるが、何度やっても画面が出なくなっている。
「これっていくら何でも酷くない?」
見たところHPゲージも減っていない。恐らく痛みの原因を突き止めなければここから出ることはできないのだろう。実はこのときに先程の人影も消えていたのだがヨルカはそれに気がつけなかった。




