Shadow!
脱出できない状態からおよそ3時間後。ヨルカは軽く不機嫌モードになっていた。ただログアウトできないだけならまだ良かったが、ちょうどリアルで予定を入れていたのである。
「もうここ出たら絶対訴えてやる……」
ヨルカはずっと付近を彷徨う。しかしやはり何も出てこない。定期的に首元に痛みがあるがそれが何によるものなのか検討すらついていない。
「そうだ!首を押さえておけば何かわかるんじゃ……」
そう言って手を首に回してガードし続けること10分。いつもは首に感じてた痛みを指に感じる。
「これで攻撃みたいなものって分かったけど姿は見えない…透明なやつなのかな…」
痛みの仕組みが分かったところでとりあえずひと段落ついたとヨルカは座り込む。長時間のプレイに疲れていたヨルカはそのまま眠ってしまい、ある重要な通知を見逃してしまった。
ヨルカが寝てから1時間ほど経って目を覚ます。それから伸びをして立ち上がろうとするが不思議なものが目に入る。それはモンスターテイムの選択画面だった。実はそもそもこのクエストは初めに見た影が鍵となっている。そこに影があるときは自分自身の影が映らない。逆にそこに影がなければ自分自身の影のように擬態されるようになる。例の首の痛みも影によるものだったのである。そしてヨルカが座るときにその疲れから倒れ込むようにして座った。そのため擬態していた影を叩きつけることになったのである。
「よく分からないけどまぁいいか。」
ここまで苦労して逃すのもどうかと思い躊躇なくYesを押す。
「スカアハをテイムしました。」
「スカアハ?よく分からないけどとりあえず帰ろう。」
リアルの予定をほぼすっぽかしたことになっていると焦り、何も確認をせずログアウトする。
「疲れたぁ。母さん怒ってるよなぁ……」
リアルでのヨルカが恐る恐る部屋を出て母のいるキッチンへと向かう。
「あら?今日はもうゲーム終わりなの。」
「えっ!?もうって…あれ?まだ5時半!?」
ヨルカがログアウト時に確認しなかったものは2つある。1つはテイムしたモンスターについて。もう1つはあのクエストについてだった。今すぐ戻って確認も考えたが疲れが想像以上でその気力はなく、夜にまた確認することにした。そこでようやく自分が何故クリアできたのか、そして時間が切り離されていたエリアであったことを知る。
「あっ。うん。はい。もういいや何でも。とりあえずモンスターを確認しよう。」
軽く現実逃避しながらテイムした相棒について確認する。
〈モンスター情報〉
I.名前/スカアハ
II.成長/Lv1
III. ステータス
HP/5
MP,ATK,DEF,AGI/なし
IV.スキル
【潜影】
【潜影】
条件:スカアハのテイマーであること。
効果:対象を選択。その後その影の中へと入りHPドレインをする。
代償:ドレイン量1につき、MP10の消費。
「これフリスタちゃんだったら最強なんじゃ…」
確かにその通りであるが、上級魔法使いであれば誰が使っても協力であることには変わりない。それはヨルカも例外ではない。
「これなら多少は1人での戦闘もできるかな!」
ヨルカは本来の目標も達成できその結果に満足し、早速その辺のモンスターたちを相手にスカアハの試運転を始めた。




