Blacksmith!
カランという音と共に店へ入る。
「いらっしゃい、ヨルカちゃん。」
「どうもカルデさん。今空いてる?」
「空いてるけど、どうしたの?」
「この子の装備を作って欲しいんだよ。」
「そちらは?」
「初めまして、フリスタって言います。」
「フリスタちゃんね、私は鍛冶屋のカルデよ。で、そっちで寝てるのは素材集め専門のロウ。よろしくね!」
実は、この世界での装備は消耗品に近い。基本的には彼女のような鍛冶屋などに整備をしてもらいつつ装備を使うのが基本である。しかし、ミナの装備はそもそも破壊ができないもののためそもそも整備の必要がない。フリスタの場合は、杖に攻撃するプレイヤーはまずいないのに加え、防備は布でできており多少の心得があれば誰でも修復できるのだ。ユギンは少し特殊なタイプで軽い整備くらいなら自分でこなせるプレイヤーだった。だから彼女のようなプレイヤーはもちろん、このような店にも縁が無かったのだ。
「にしても双杖を使ってるなんて珍しいわね。MP補助をつけても不便だろうに……」
「それはこの防備が役に立ってるので。」
フリスタは自分の防備について説明する。
「ねぇヨルカちゃん、これ私がやることあるの?」
双杖の問題点であるMPが解決されている以上、正直これ以上手をつけられるような所は無いと感じるのは当然のことである。
「うん、スキルの予備動作が少ない武器を作って欲しい。」
「え?予備動作を…?」
「そう、できる?」
「できるけど新しく素材集めなきゃだから…おーい、ロウ!起きて!」
「…ん…ん?あれ、久しぶりだなヨルカ。あとそっちの2人は?」
「ヨルカちゃんのお友達のフリスタちゃんとユギンくんよ。それで、フリスタちゃんの武器を作って欲しいってことだから素材集めてきてー。」
「いいけど、相変わらず人使い荒いな……」
「俺も手伝おうか?」
「え、いいの?」
「あぁ、採掘はあんまりだけど護衛くらいなら。」
「悪いな、よろしく頼むよ!」
そうしてフリスタとヨルカとカルデは雑談しながら待ち、ユギンとロウは採掘に行くこととなった。
「あっ、お帰り…ってなにこの量……」
帰ってきたユギンとロウがカルデに出した素材の量は普段の約3倍のものだった。
「いやー、ユギンのおかげでいつもより奥に進めたからな。なんなら専属よ護衛役として雇いたいと思うくらいだったよ。」
「へぇ、そんなに……」
カルデは驚いたようにユギンを見る。
「ねぇヨルカ、ユギン、ちょっと思ったんだけど。」
「ん?どうしたの?」
フリスタは2人に小声で脳によぎった提案を話す。
「うん、いいかもね。」
「ああ、俺もいいと思う。」
「じゃあ決まりで!」
2人の賛同を得たところで、フリスタはその案を実行へと移した。




