Solicitation!
「はぁ、手も足も出なかったね…」
「うん…」
「まぁあれは無理もなかったけどな。」
数分前。第一回FRWイベント決勝戦。
『ではこれより、第一回FRWイベント決勝を開始します!3、2、1、スタート!』
「破壊の剣!」
試合開始とほぼ同時にミナから放たれた閃光は、見事に固まっていた相手メンバー全員を呑み込む。が、それはほぼ無意味に等しかった。確かにHPは1になるが、言ってみればそれだけである。その後に回復することはもちろん可能なのだ。つまりミナはこの試合では役には立てなかったと言える。しかし、それだけならフリスタとユギンが多少上手くやるだろう。ところが、実はこのイベント、運営にも想定外の事態が起きていた。このイベントの形式はトーナメントだが、組み合わせはくじで行われていたのである。その結果、強弱のバランスは最悪となり、決勝で弱いパーティと強いパーティがぶつかる事態が起こり得るようになってしまっていたのだ。
「でも【破壊の剣】を使わなかったらもう少し耐えれたのかなぁ。」
「いや、多分キツかったと思う。相手は本当の上級者たちって感じだったし、ユギンも本物のスキルは使えないし。」
「もっと鍛えなきゃ…ってそういえば私のステータスってなんで上がらないんだろう……」
ここでミナは素朴な疑問を抱く。
「えっ?上がってないって、その装備を手に入れてからは結構経ってるよね?」
「うん…」
ミナが初のクエストで装備を手に入れてからは2ヶ月ほど経つがステータスは全く上がっていなかった。フリスタのような装備であれば話が変わるが、普通の装備ならモンスターやプレイヤーと戦っていれば自然と強くなっていく。
「参考までに俺はこの2ヶ月だったらどれも50は上がってるぞ?」
「えっ、なんで私だけ…」
「それは天神龍の装備だからだよ。」
「「「!?」」」
唐突な声と共に現れたのは1人のプレイヤーだった。
「えーっと、あのー…天神龍系統…ってなんですか?」
あまりならない言葉とよく分からない現状で、質問が途切れ途切れになる。
「例えばあなたの装備は天闇龍でしょ?そういうやつ、って言ってもあと一つしか知らないけどね。」
「あの、色々と教えて頂けるのは嬉しいんですがどちら様ですか?」
「あーごめんね。私はヨルカ。ある人に頼まれてあなたたちに交渉して来いって言われたんだけど…早速本題に入っていいかな?」
「私はいいですけど…ミナとユギンは?」
「私も大丈夫です。」
「同じく。」
「じゃあ交渉…というかお願いなんだけど、私たちのギルドに入ってくれない?」




