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私たちは繭の中  作者: hayase
カタメウオの呪い
9/23

美少年ヒロ

家の前までヒロを見送ったあと。


自転車を降りて押して歩いてるシュウヤに合わせて、自身も自転車を降りたコテツはシュウヤの横に並んで話しかけた。


「なぁ、なんでオレ、おまえに蹴られたんだ」

「おまえがちゃんとヒロを守ってないからだろ。なに知らない女、ヒロに近寄らせてるんだよ」


シュウヤはムッと眉間にシワを寄せた。


「わ、悪かったって」

「ヒロはかわいい顔してるんだから、俺らで守るって約束だっただろ」


ヒロこと、七澤(ななさわ)ヒロミは、かわいらしい容姿を持つことで学校中の有名人だ。

本人に自分の容姿に対する自覚はないようだが、シュウヤとコテツは小学生のころから協力して、変な人がヒロに近づかないよう守ってきた。


小学校の低学年の頃なんかは、登下校中、少し目を離したすきに怪しげな大人に声をかけられること数十回。

やたらとヒロへの頼み事が多い先生たちには「手伝います!」と積極的なアピールと見せかけた妨害。

休み時間や放課後、目をギラギラとさせた女子たちをヒロから引きはがしたこと数えきれず、と。

ヒロの平和な学校生活を守ってきたつもりだ。


「あぁ。ところでヒロ、めっちゃ顔色悪かったけどなにかあったのか?」


シュウヤは首を振った。


「ヒロの様子が変になったのは水面が大きく波打ってからだと思うんだけど、それらしき理由は俺にもわからない」

「ふぅーん。ま、最近あいつぼーっとしてるし、調子悪かったのかもな。月曜にそれとなく聞いたらどうよ。シュウヤそういうの得意だろ」

「へぇ。ヒロのこと、気づいてたんだ」


驚いた様子のシュウヤにコテツは噛みついた。


「当たり前だろ!何年一緒にいると思ってんだよ」

「はは。たしかに、ずっと一緒だもんな。俺ら」




家に帰ったヒロは、自室で女の人にもらった名刺を眺めていた。


年上なのは間違いないだろうけれど、そう歳は離れていないように感じた。

ヒロには高校三年生になる三つ上の姉がいるのだが、その姉と同じくらいだろうか。


「魔女って言ってたよな」


突然行方をくらましたあの人は、自身を『魔法使い』と名乗っていた。

赤い名刺には『Lady あなたの願いを叶えます』と黒字で書かれている。


「願いを聞いてもらえるなら、シショーのことも見つけてもらえるかな。魔法使いと魔女って、なんか似てるし……」

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