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私たちは繭の中  作者: hayase
藤乃
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41/45

カオルへ相談

「で、それはなに?」


放課後、依頼のためにカオルに指示されていた場所に着いたヒロは、さっそくそう彼女に尋ねられた。


「あー、えっとですね……」


口ごもるヒロの後ろには、屋上でヒロのことを脅してきた女の魔がついてきていた。


「なんか、願い事があるみたいで。協力するまで離れないーって。魔女のレディに聞けばいいかなぁと思ったんですけど」

「そんな力が強くて危なそうな魔、ヒロには早すぎる。返してきなさい」


カオルはムッと眉間にシワを寄せて、その女の姿をした魔を視て言った。

人の姿をとれるということは、力の強い魔の証だ。


「なんだ、その人間は」


魔はカオルをじろじろと見ると、ふんと鼻を鳴らした。


「魔女の残りかすか。随分と気配が薄いからわからなかったぞ。東條は後継者不足なのか?」


魔の言葉に、ピクリとカオルの指先が動いた。

カオルは歯をグッと食いしばって、身体の力をパッと抜いた。


努めて表情を出さないことを意識して、被っているキャップ帽のツバを軽く上げ、その魔と目を合わせた。


「魔女への依頼の代行をしているカオルよ。気配が薄くてごめんなさい。おまえたちは鼻がいいから、これくらいがちょうど良いかと思っていたのだけれど」


カオルの好戦的な返答にヒロは驚いて、魔の様子を恐る恐る伺った。

魔はきょとりとした表情をして、次の瞬間カラカラと笑った。


「そうか、魔女の代行者よ。威勢がよくて良い。だが用のあるのは魔法使いだ。魔女はいらぬ」


そう言った魔と目の合ったヒロは焦った。


「せ、先約があるんです!今日は依頼を解決しなくちゃいけなくて……」

「依頼?魔女のか。魔法使いのお前が魔女の依頼とな」


コトリと首を傾げた魔は、一つ頷いた。


「では、それが終われば良いのだな。その依頼、ついてゆく」






宣言通り後ろをついてきている魔を振り返り、ヒロは小声でカオルに言った。


「あの、どうしましょう」

「力の強い魔だから無理には追い払えない。今日はこのまま依頼を完了させるよ」

「わ、わかりました」

「それに、ヒロはレディに聞けばいいなんて言ってたけれど、魔女が依頼を受けるのは人間からだけ。魔からの依頼は受けつけていない」

「えっと、つまり……」

「レディは、あの魔の願いを聞き入れることはできない」


ヒロの頭からサーっと血の気が引いた。

カオルは淡々と言葉を続ける。


「あの魔は魔法使いに用があるようだし、ここはヒロがきちんと対応するしかないね。幸い、魔は力づくではなく、言葉を持ってこちらと接してくれている。ある程度人間への理解のある魔だよ。いきなり頭から食べられたり、胴体真っ二つ、みたいなことはないと思う。よかったね」


いいのかそれは⁉とヒロは内心思いながら、はい、と力なく頷いた。


「ヒロ。魔女は、人間からの願いを聞き届ける」


カオルはゆっくりとそれを口にした。


「人間からの、願い……」


反復するようにヒロが言えば、カオルはそうだと頷いた。


「ヒロは人間だから、助けてってレディに願えば、助言くらいはくれると思うよ」

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