名持ちの見つけ方-3-
「魔法使いは不老なのさ」
「……は?」
「年を取らないってこと。実際に俺は見たことないんだけど、魔法使いは年を取らないまま100年近く生きるって、西條家の文献には書かれていたよ。中途半端な術が使えるより、めっちゃいいよね」
ナルはパチッと片目をつむった。
「いいわけあるかー!」
ヒロは思わず叫んでしまった。
「百年、年を取らないまま生きるってなにそれ。人間やめてませんか?それに僕は今!成長期なのに!!年取らないって成長止まっちゃいますよ!背が伸びなくなっちゃいますよ!僕、僕……。身長低いの気にしてるのにっ!」
「あははははははっ!」
ヒロの叫びを聞いたナルは、なんのてらいもなく思いっきり笑った。
ヒロは、平均より少し低い背を気にしていた。
野球少年のテツはともかく、頭脳派でミステリーバカのシュウだって、ヒロより身長が高いのだ。
成長痛で足が痛いと話している同級生の声を聞く度、なんとも言えないモヤモヤがヒロの胸のうちで渦巻いている。
ヒロはゲラゲラと笑い続けている、自分より優に頭一つは大きな背丈であるナルをキッと睨みつけた。
「立派な背丈のあなたには、僕の悩みなんてわかりませんよっ!」
「いやいや、悪かったって。でもさ、君、」
ナルは肩を震わせたまま言葉を続ける。
「ほんとおもしろいね。いいよ、俺。君のこと気に入った。俺の嫌いなもの、全部壊してくれそうだ。だからもう一つ、教えてあげる」
「な、なんですか」
くすくすとした笑い声をピタリと止め、ナルはその金色の髪をさらりと揺らした。
「レディは決して、名持ちの全てを君たちには話さない。それはレディが、名持ちについて隠したいことがあるから。俺が君に教えた、魔女に関わる東條の家のことも知られたくなかったはずだ」
「なぜ、ですか……」
「退魔師は西條、魔女は東條。似てると思わない?この二つの名前」
ヒロが何かを言うよりも早く、ナルは素早く言葉を放った。
「君、まだちゃんと魔が視えていないんだろう。その目、早く何とかしないと死んじゃうよ」
急な話題の変え方だったが、退魔師の後継であるヤマネの悪魔とやらが視えないことを気にしていたヒロは、それに気づかれたことに驚いて、まじまじとナルを見た。
「どうして、それを……」
「この世界はね、君が思うよりも魔で溢れているのさ」
ナルはそう言って、視えない事に気づいた具体的な理由を教えてはくれなかった。




