名持ちの見つけ方-2-
「視えないと、困りますか?」
「困るって、まぁ……」
ナルはあり得ないことを聞いたとでも言うように軽く鼻で笑って言葉を切ると、スッと笑みを消して静かな声で答えた。
「そんな術士や名持ちは、見たことも聞いたこともないよ」
ざっと風が強く吹いて、ヒロは一瞬ぎゅっと目をつむった。
「悪魔憑きも、もとはその血筋を守っていた術士の家があったらしいけれど、数代前になくなっている。正確には、術士としての力を失ってて、家門だけが残ってる状態ってやつ。今の悪魔憑きはそこの家の出身だと記録にはあったね」
「術士として力がないって、それはつまり、視えないってことですか?」
「簡単に言えばそうだね。視えたところで術が使えなければ術士にはなれない。けれど、その魔を視る目さえなければ……。そういった環境で名持ちが生まれるって言うのは、もう呪いみたいなものだろうさ。その家系に生まれた赤子で、次の悪魔憑きになる者には魔が憑いている。名持ちを知る見鬼の才を持つ者が視れば、それとわかる魔が憑いている。けれど、家の者はわからない。視えないからわからない」
「どの名持ちも共通するのは、関係する家の縁者ってことですね。それじゃあ僕も、どこか遠縁にそういった家があるのでしょうか」
ナルはヒロをじっと見て、それから首を振った。
「ないだろうね。魔法使いは名持ちのなかで唯一、決まった家門から後継者が出ない。次の後継者が現れると魔法使い自身にわかるから、自分で迎えに行くんだと。それに、君からは知ってる術士と似通った力の気配も感じない。術士というのは家門が同じだと似たような力の気配を持つ。現在術士として有力な家門で、俺の会ったことのないところはないはずだから、君は術士の家とはなんの関係もないだろうね」
「そう、なんですか……」
ヒロはちょっぴりがっかりした。
いつか自分も、レディやカオルが使っていたような摩訶不思議なことができると思っていたから。
その術士とやらと何の関係もない自分は、きっと同じような子とはできないのだ。
それでも一応、ヒロは聞いてみた。
「魔法使いは、術士のようなことはできないのですか?」
「術士の素質がある者は、魔法使いにはなれないよ。だから、魔法使いは術士の技が使えない」
ナルの言葉は、容赦なくヒロの希望を打ち砕いた。
「それは、残念です……」
がっくりと肩を落としたヒロに、ナルは「良いこと教えてあげるよ」とささやいた。
「いいこと、ですか?」
あぁ、とナルは頷いた。
「術士にはできなくて、魔法使いにできることがある」
「なんですか、それは」
期待を持って、ヒロはナルの言葉を待った。




