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エースストライカー  作者: 柿井優嬉


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海外⑧

 この年の俺は、ブルガリアのリーグでは十七ゴールを記録し、得点ランキングは三位だった。昨年よりゴールの数も順位も低下したけれども、チームは二連覇を果たしたし、マークが遥かに厳しくなったのを考慮すれば、十分な結果と言えるだろう。

 優勝したということは、来年もチャンピオンズリーグに出場できる。とはいえ、変わらず予選の一回戦からで、今のチームでは、世界的なビッグクラブに挑戦できる、リーグフェーズといった上のステージにたどりつくのは相当なハードルだ。

 ゆえに、秩父のときそうだったように今回も、助けてもらったスタッフやサポーターの方々などに、俺を成長させてくれ苦楽をともにした監督やチームメイトたちとの別れがつらかったものの、そろそろ次のステップに進むべきだと判断し、移籍を決意した。ありがたいことに、他のクラブ、それもレベルの高いヨーロッパのチームから、いくつも誘いが来ていたのだ。

 今より上を目指す以上、やはり、イングランド、スペイン、ドイツ、イタリアの、四大リーグのいずれかから選びたい気持ちがあったが、なんと、そのなかのイングランド以外の三つの国のクラブからオファーをもらえたのだった。

 じゃあ、どこにするか。

 かなり迷い、他人の意見に耳を傾けもしたが、イタリアのナポリをチョイスした。いろいろな点でチームが良かったのもあるけれども、イタリアという国は、ゴールにかんぬきをかけることを意味する「カテナチオ」という言葉に代表されるように、伝統的に守備を重視して、ディフェンスがとても強い。そこのリーグでプレーすることがフォワードとして最も鍛えられるのではと考えたのである。

「野島、世界一のストライカーになれよ」

「グッドラック、暁斗」

「お前ならやれるよ」

「ありがとう」

 お世話になった人みんな、快く送りだしてくれ、俺は改めて頑張ろうと心に誓ったのだった。


「え!」

 俺がナポリへの移籍を決めてから少しが経過して、日本代表に激震が走り、俺もびっくりした。

 あの初めての招集から、たびたび呼ばれるようになり、デビューを果たして、少しずつ出場が増えていた、A代表の監督は、オランダ人のマイヤーという人だったのだが、彼が解任されたのだ。

 代表は現在、ワールドカップのアジア予選が行われていて、まだ二次予選と、格下と言ってもいいだろう国との対戦がほとんどなので、さすがにそこで負けたりはしなかったものの、親善試合では内容、結果ともに、かなり良くなかったし、それ以上に監督と日本サッカー協会の関係があまりうまくいっていなかったようで、対立だ何だとメディアで幾度も取り上げられていた。

 マスコミはどちらかというと、「日本を見下している」などと、外国人ということが手伝ってか、監督を批判していたが、マイヤーさんはそんな叩かれるほど悪い人ではない。俺を代表に呼んでくれたわけだし、その恩の部分は切り離しても、意見に耳を傾けてくれたりだとか、選手みんなとは信頼関係を築けていたのだ。指導者としての能力がきちんとあって、実績を残してきたからからこそ、数多いる監督のなかから日本代表の指揮官に選ばれたのだし。

 ただ、ちょっと頑固なところがあったのは確かで、しかし協会のほうも、全面的に悪いというのではなく、マイヤーさんに苦言を呈されることに対してメンツを気にするような感じも受けた。代表の選手という、どちらに対しても近い立場だったけれども、俺もはっきりとしたことまではわからない。今回の件は、協会がクビにしたのではなく、監督が自ら辞めると申しでたという話もある。

 ともかく、代わって就任した監督が、マイヤー氏のもとでコーチを務めていた、葛城さんになったのだ。俺が驚いたのは、マイヤーさんが辞任した以上に、そのことがでかかったのである。

 葛城涼介——元日本代表のエースストライカーであり、俺がサッカーを始めたときに大好きだった憧れの人。


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