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エースストライカー  作者: 柿井優嬉


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海外①

 遠い異国の地、ブルガリアのソフィアで、俺はもがき苦しんでいる。まあ、そうなることは日本を離れる前からわかっていて、十分覚悟していたが。

 それにしても、まったく試合に出してもらえないし、監督やコーチら首脳陣も、他の選手たちも、俺のことなど眼中にないといった有様なのだ。

 もちろん、なんとか現状を打破しようと懸命に努力している。しかし、うまくいかない。もはや、がむしゃらにプレーしてもどうにもならない領域まで足を踏み入れてしまったということなのだろうか。所詮、秩父での得点王なんてのは、レベルの低い日本の三部リーグの話であり、なおかつ、奥田監督やルシオらによる十二分というほどの恵まれたサポートがあったに過ぎず、俺は実力がないくせに希望だけ携えて海外に挑戦してきた、間抜けな勘違い野郎なのかもしれない。

 何にしろ、クビになるのは上が決めることだから仕方がないけれども、しっぽを巻いて逃げだすわけにはいかない。後悔しないように、自分ができる最大限のところまで精一杯やらなくては。

 とはいえ、ただやみくもに頑張るだけでは道が開けないのは目に見えている。すでに毎日必死に励んで、まるで結果を出せていないのだから。

 どうするか……。

「この、下手くそ!」

「お前は甘いんだよ!」

 チームメイトにはそういった言葉を浴びせられた。

 下手というのは理解できるが、甘いかな? 俺。いつも何事に対しても全力でやっているってのに。

 そこで、外原を思いだした。あいつも俺のことを甘いって言ってたな、と。

 そういえば、そのときは俺が得意ではないポストプレーを身につけようと取り組んでいて、あいつは「俺なら長所を伸ばす努力をする」と口にしたんだ。

 ん?

 俺は少し何かをひらめく感覚になった。

 俺のストロングポイントは、サッカーにおいては、ゴールを決める能力、フィニッシュの精度の高さだが、すべてをひっくるめるならば、頭脳、インテリジェンスというのも挙げられるんじゃないだろうか。過去にそこまで勉強を一生懸命やったことはなく、優秀な親父からの遺伝がほとんどに違いないけれども、完全にサッカー漬けの日々だった高校時代でさえ、学業成績はずっと平均を上回っていた。

 そうか……そうだな。


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