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エースストライカー  作者: 柿井優嬉


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高校⑦

 俺たち東明大付属高校サッカー部は、進化したというくらいのレベルアップを遂げた。まあ、厳密には、俺は以前を知らないわけだが。

 その強くなった要因は、まず、自分で言うのもなんだけれども、単純に得点能力のある俺が入部したこと。

 しかし、サッカーは一人だけ良くても駄目だ。何人にもマークされたりしたら、どんなに個に力があっても限界がある。俺が部員みんなに、技術的なことなど、サッカーの上達につながるあらゆるポイントをレクチャーしたというのもある。

 また、学力レベルが高い高校の生徒であるメンバーたちは頭が良く、サッカー部なのだからサッカーに関する知識ももちろんあり、うちの監督はサッカーについてちゃんとわかっているけれども、上から指示するよりも自分たちで考えるほうが教育的に好ましいということから、「可能な限り主体的にプレーせよ」との方針であるなか、みんな、俺をプロの選手にしようというのもあって、できるだけ俺がゴールをできるようにしつつ、そればかりだと相手の守備が俺に集中して防がれてしまうので、他の攻撃パターンや戦術を考えてくれたのだが、それがいくつもできて、なかには俺も驚くような斬新なアイデアもあったのだ。味方ですらびっくりするくらいなのだから、敵のプレイヤーたちが対応に苦労するのは当然だろう。

 加えて、俺の入部初日のやりとりがきっかけとなって、部員みんなのやる気がすごく上がったのがでかい。これは鷲尾さんが指摘したことだ。

 そうして、我がチームはグングン力をつけていったのである。

 俺個人はというと、中学時代は、水本に説明したように、試合で一点を取ればいいとの意識で臨んでいたが、富田先生は一得点して満足している俺を物足りないと感じて、あの大会直前でのスタメン落ちを決めたのかもしれないし、工藤に負けないように、そしてプロを目指すうえで圧倒的なほどの実績を残すために、チャンスはすべてものにする気持ちのプレースタイルに改めた。

 ただ、以前のやり方は、ゴールを決めなければならないという力みから決定的場面でふかしたりするのを防止する目的だったので、理論上はその良い余裕を失うことにもなるはずだけれども、過去の試合中におけるメンタルの状態は俺にしっかりと染みついていたようで、スタンスを変えても焦ってしまってミスを犯すといったマイナスの作用は起こらなかった。

 結果、三試合連続ハットトリックや、七試合連続で二得点以上など、中学のときを上回るゴール数を記録して、異なる都道府県のサッカーの名門校にまで名前が知られるくらいの存在となったのだ。

 とはいえ、そう簡単にすべてがうまくいくほど、やはり世の中甘くはない。サッカーができる奴は数えきれないくらいいるし、どの学校も必死に練習に励んでいるのである。インターハイや高校サッカー選手権などの大きな大会での全国行きを目標に努力を重ねたが、予選で、一年生のときは俺に次ぐ実力と精神的な支柱の篠宮さんが中心となり、二年生のときは篠宮さんが抜けた穴をうちでとりわけ賢い鷲尾さんの頭脳でカバーして健闘したものの、最高でベスト八までしか進めなかったのだった。


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