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とある男女の恋模様  作者: はから
番外編 とある男女の日常
83/85

とある女と通常旦那


 「さて…どちらかしらねぇ」


 「ゴクリ…」


 「あらあら」


 「うちのバカ旦那がすみません…」


 今日は定期健診。

 三岳先生から恐らく性別が分かるだろうと。

 今日の検査でお腹にいる私たちの子供の性別が分かる。

 

 紅葉と相談し、性別を聞いた上で名前を決めようと決めた。

 性別を聞かずに、産まれてから名前を決めることもできたが、事前に名前を決め、産まれてくる我が子を待つことにした。


 「どっちかしら。うーん…」


 「………」


 「紅葉落ち着きなさいよ…」


 先生がエコーを見ながら確認している。

 紅葉は食い入るように画面を見ている。

 見て分かるとは思えないけど…。


 「ん~…」


 「んー…?」


 「ん?」


 「うん」


 先生がポンと手を叩く。

 どうやら分かったみたい。

 紅葉はびくっ!とさらに緊張してるみたいだけど…。


 「聞きたい?」


 「ぜ、是非!」


 「お願いします」


 先生が画面から目を離し、紅葉と私を見る。

 事前に先生には性別を知りたいと伝えていたが、先生から改めてどうするか聞かれた。

 

 「女の子よ」


 「女の子か~」

 

 「………」


 うふふ。

 あなたは女の子なのね。

 産まれたらママと一緒に綺麗になろうね。

 紅葉に似てるかな?私に似てるかな?

 どっちだろうなぁ…。


 「紅葉?」


 「紅葉くん?」


 「………」


 喜んでいる先生と私とは正反対の雰囲気を出している紅葉。

 あれ?女の子が嫌なの?

 

 「紅葉―――」


 「よっしゃああああああああああああ!!!嫁にはやらん!嫁にしたけば父を超えてみせよ!娘に手を出す男は俺がこの世から消してやるっ!!!」


 「静かに」


 「むぎゅ…」


 案の定紅葉だった。

 いつもの紅葉。

 心配した私がバカでした。

 ここは病院なんだから静かにしてね。


 「産まれてくる女の子は大変ねぇ」


 「その通りです…」


 「ふふん」


 先生の言う通りだから頭が痛い。

 今でこれなら産まれて大きくなったらどうなるの…。

 パパ嫌い!なんて言われた日には紅葉は落ち込みそうねぇ…。

 

 「はい、母子ともに今回も問題なしね。このまま順調にいくといいわね」


 「日に日に大きくなっていくお腹が愛おしいです。そのうちお腹を蹴ったりするのが楽しみです」


 「私も楽しみにしてるわね」


 「はい」


 今回の検診も問題なし。

 問題なかったけど、私も気をつけて生活しないとね。

 私一人だけの体じゃないし、娘にも無事に生まれてほしいしね。










 帰宅し、美穂さんと和彦さんにも女の子であることを伝え、二人とも喜んでくれた。

 葵ちゃんの産んだ子が男の子だったから初孫娘で嬉しいのかな?

 検診の後から静かな紅葉が怖い。

 ずっと何かを考えている雰囲気。

 もしかして娘の名前でも考えちゃってるのかな?

 それとも成長した娘の妄想でもしちゃってるかな?


 

 「愛海」


 「はい」


 夕食後に紅葉と私の自室にて紅葉が私にお願いしてくる。

 これは妊娠が分かってから紅葉の日課になった行動。

 私は服を捲り…。


 「はい」


 「ありがと」


 赤ちゃんのいる大きくなった私のお腹に耳をあてる。

 まだ小さいから、何も分からないと思うけど…。

 それでも紅葉からすると我が子を感じることができるらしい。

 私はいつも一緒だもんねぇ。


 「女の子…」


 「女の子だったね」


 「娘…娘…娘…娘!」


 私は紅葉の頭を撫でる。

 紅葉はお腹から頭を上げ。


 「閃いた。名前は華凛」


 「へ?」


 「産まれてくる子の名前は華凛」


 華凛?

 産まれてくる赤ちゃんの名前?

 

 「お腹に耳をあてたら閃いた。というより娘が華凛だよ~って言ってた」


 「華凛…。華凛ちゃん。パパがもう名前を決めちゃったぞ~。産まれてくるの待ってるわね」


 「天啓とはこのことですわ。かり~ん。パパ待ってるからね~」


 産まれてくる子供の名前が華凛に決まった。

 本当にいいのかな?

 まだ時間があるからしっかり話し合おうね。

 でも華凛って名前には私もしっくりきちゃうのよねぇ。

 

 ふふ、華凛ちゃん。

 パパもママも待ってるわよ。

 元気に育つのよ。


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