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とある男女の恋模様  作者: はから
番外編 とある男女の日常
82/85

閑話:とある女の初デート


 「うーん…」


 「鏡の前で何唸ってるのよ」


 「うーん…」


 今日は紅葉との初外デート。

 鏡の前で唸っているとナーゴを抱いたお母さんに突っ込まれた。

 

 今週は予定があって金曜日のお泊りができなかった。

 その代わりに紅葉から土曜日にデートのお誘いがあった。

 紅葉も私も好きな洋画のシリーズ最新作!

 私は安易にOKを出した。

 だけど…。


 ねぇ、誰かデートのコーデ教えて!

 何年も彼氏いなかったからデートなんて分からない!

 

 うー…。

 勢いでOKしたけどデートって何するの?

 遊んで食事してその後は…。

 ダメダメダメ!

 大人のデートは夜なのよ!


 「昨日は珍しく泊まらずに帰ってきたと思えば今日はデートなのね」


 「…初の外でのデート」


 お母さんは私の気持ちを感じ取ったみたい。

 

 メイクもした、コーデも昨日考えた無難なコーデ。

 なのに鏡の前に立つとこれでいいのか不安になる。

 派手過ぎず、地味過ぎず。

 

 「それでいいじゃない」


 「うーん…」


 お母さんはこれでいいと言うけど、本当にこれでいいのか不安になる。

 もしも紅葉に「うわ…。愛海ってちょっとズレてるよね。ばいばい」なんて言われた日には自棄酒するしかない。

 ようやく付き合えた紅葉にそんな別れを切り出されたら…。


 「部屋着を見せた彼氏に何を遠慮してるのかしらねぇ。ねぇ、ナーゴ?」


 「そうそう。部屋着でも私を受け入れてくれ…って!なんでお母さんがそれを知ってるの!?」


 なんでお母さんが紅葉に部屋着を見せたこと知ってるの!?

 

 「誰が洗濯物畳んでると思ってるのよ」


 「…そうでした」


 我が家の洗濯物を畳んでいるのはお母さんだ。

 私のいつもの部屋着がないことを理解している。

 そういえば紅葉の家に持っていった部屋着はそのまま紅葉の家におきっぱだし…。


 「女は度胸よ。フラれて帰ってきたら慰めてあげるわよ。ねぇ、ナーゴ」


 「ちょっと!あーもう!これでいいや。行ってきます!」


 「いってらっしゃーい」


 お母さんとナーゴに見送られて家を出た。

 少し早いけど遅れるよりいいよね。

 あー…、緊張するぅ…。










 紅葉と見た映画は良かった!

 紅葉も好きなシリーズだったし、前評判通りの内容だった。

 無難な映画デートだったけど、私は満足している。

 紅葉も満足してくれてるかな?


 集合時間の1時間前に2人とも現地にいたけど…。

 紅葉も緊張してたのね。

 緊張してたのは私だけじゃなかった。

 今回は紅葉が頑張ったし、次からは二人で行きたいところ決めようね。

 紅葉ばっかりに押し付けちゃうのも申し訳ないしね。


 

 「この後どうするの?」


 「夕飯には早いし…」


 まだ17時だし、映画見てる間にポップコーン食べたからお腹空いてないんだよねぇ…。

 紅葉もお腹空いてないよね。

 次はどうしよう…と顔を上げると目線の先には…。


 「あそこ行きたいかな」


 「マジっすか…」


 ネットカフェが目に入った。

 紅葉も私も漫画好きだしね。

 デートでネカフェってどうなの…と思ったけど、看板を見た瞬間に行きたくなった。

 べ、別に紅葉と個室でイチャイチャしたいとか思ってないから!

 ちゃんとTPOは弁えますー!


 「えっと…」


 「どうしたの?」


 紅葉の歯切れが悪い。

 もしかしてネカフェ嫌だった?

 さすがに初外デートでネカフェはダメだったかな…。

 元々半干物女だから人混みは好きじゃないのよ…。


 「今の時間からホテル?ビジネスホテルだけどそれでも…」


 「はい?」


 ビジネスホテル?

 ああ、ネカフェの奥にあるビジネスホテルね。

 うん?


 「私が行きたいのはネカフェよ?」


 「あれ…」


 「何考えてるの…」


 紅葉くん…。

 てへぺろとか言われても可愛くないから!

 何を期待してるのかなぁ?


 「いや…。愛海がホテルでのんびりしたいのかなぁーと…」


 「うわー、竹科さん私をホテルに連れ込んでナニする気だったのかしらー?」


 「許してくだされ…」


 私が弄ると紅葉がしょんぼりしちゃった。

 耳と尻尾があったらしょぼーんってしてるんだろうなー。


 「ウソウソ。夜は紅葉の家で…ね」


 「ひゃっほい!」


 次からは二人で行き先を決めて出掛けることになった。

 紅葉だけに決めてもらうのも申し訳ないしね。


 紅葉も私も恋愛から離れていた。

 今時の付き合い方なんて分からない。

 だから、紅葉と私は二人で見つけていこうって話した。

 紅葉と私は気取らずに背伸びしないで、身の丈にあった恋愛しようね。


 次はバイクでどこか行きたいかな。

 行き先はどこにしようね。

 





 夜は紅葉の家に行こうって言ったけど、二人とも漫画に夢中になってネカフェを出るのは深夜だった…。

 

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