とある男とポンコツ紅葉
ひゃっふい!!!
昨日は思わず愛海にプロポーズしちゃったけど、無事にOK貰えた!
悩んでいたことが嘘のように体が軽い。
そう、今の俺は幸せ男紅葉マンだ!
HAHHAHA!
雰囲気や言葉なんてあったもんじゃないプロポーズだった。
それでも愛海に俺の気持ちを伝えた。
愛していると―――。
うおおおおおおおおおお!
愛海!愛してるぞー!
通勤中だけど叫びたいこの気持ち。
誰も歩いてないしいいんじゃね?
分かる?
分かってくれよ!
愛海の左指の薬指に指輪をはめた時、俺の心は最高潮だった。
最高にハイ!ってやつだあああ!!!
返事じゃなくて、頬を赤らめながら左手を差し出す愛海。
ほんと最高。
なんで写真撮ってないの?
おい、カメラマン。
仕事してくれよな。
罰で幸せにしろ?
喜んで!!!
俺が幸せにする!
今日の俺は誰にも止めれると思うなよっ!!!
この俺がスーパー紅葉だ!
最高の一日だ!!!
「三井ちゃん、ちょっといい?」
「竹科さん、どうしました?」
俺は業務を凄まじい速度でこなし、総務部にいる三井ちゃんの席に行った。
総務部の三井ちゃんに聞くのは一つだけよ。
「結婚したら会社に出す書類って何があったっけ?」
「ついに竹科さんもご結婚ですか。おめでとうございますー」
三井ちゃんがパソコンで必要な書類を確認してくれる。
ニヤニヤが止まらんぜ。
「えーと、この慶事連絡書に記載いただく形ですね」
「ほうほう」
三井ちゃんに出してもらった書類を目に通す。
これだけでいいのか。
「竹科さんとご結婚する方が羨ましいですね。ちゃんと手続きは終わってますか?私のときは旦那が私の両親に挨拶するときに色々ありまして」
「え…」
やっべ!
忘れてた!
愛海のご両親と俺の親に挨拶に行かなくちゃ…。
「まさか竹科さん…」
「………」
やめてくれ三井ちゃん。
そんな目で俺を見ないで!
「今週で片つけたるわ!」
今週で終わらせてやる!
終わったらそのまま役所だ!!!
「竹科さんって…あんなにポンコツになるんだ…」
三井ちゃんの呟きは俺には聞こえなかった。
「竹科さん、朝からご機嫌ですよね」
「分かるかリス子?」
自席に戻るとリス子が話しかけてきた。
さすが俺の育てたリス子だ!
よく見ているな。
「朝から目にも止まらない速さで仕事終わらせてましたからね!会議もまさかの10分でしたし」
「意見を聞いてこれ以上の案はないと思ったからな」
会議では意見を聞いた上で即終了。
あれ以上の案はないだろうという案だ。
主催者も納得していたし、会議なんてとっとと終わらせることに限る。
「ついにラブさんと…!」
「!?」
こいつ…。
やりおる!
なぜ分かる!?
俺の幸せオーラが隠せていないか?
「リス子。コンビニ行くぞ。好きな物なんでも買ってやる」
「わーい…じゃなくて!おめでとうございます」
「え?兄さんラブちゃんとついに!」
「竹ちゃんやるわねー」
和田さんと足立ちゃんにも祝ってもらった。
さぁ、みんなでコンビニ行こうか。
なんでも買ったるでー!
今日は無礼講じゃ!
「なんじゃ、騒がしいの」
「萩田さーん、聞いてくださいよ。兄さんついに結婚ですって」
わーわーぎゃーぎゃー騒いでいると萩田のオジキが打合せから戻ってきた。
へい!オジキぃ!!今日も渋いねぇ!!!
オジキィ!コーヒー飲むかい?奢るぜ!!
「おお?そうか、ようやくか」
「オジキ。今ならどんな仕事も即片付けますよ」
「誰がオジキじゃ」
「あ、今日飲みにいきます?俺奢りますよ。あ…、やっぱり今日は定時ダッシュするので無理っすわ!」
高い店でもいいっすよ!
あ、でも今日は婚約初日だから愛海とイチャイチャしたいんで帰ります!
定時ダッシュします!
なんなら時間休もらっていいっすか!?
部内のみんなが祝ってくれる。
俺が世界の中心だ!
「竹がポンコツに見えるんわ俺だけか?」
「安心してください。兄さんおかしくなってポンコツになってます」
「ポンコツ竹科さん!」
「仕事はやっとるんじゃが、なんかポンコツに見えるの…」
「仕事は早いんですけど、言動が残念になってますよねー」
「浮かれポンコツです!」
おい、誰がポンコツだって?
今なら笑顔で怒っちゃうぞ。




