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とある男女の恋模様  作者: はから
第四章 とある男女の恋終り
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とある女と婚約指輪


 昨日は紅葉からプロポーズを受けた。

 

 断る理由なんてない。

 プロポーズを待っていた身としては、紅葉との婚約に断るなんてありえない。

 

 勘違いからのプロポーズだったけど、それ以上に嬉しかった。

 一般的にプロポーズは特別な場所、特別な日に、特別な言葉でと思ってた。

 だけど、紅葉からのプロポーズは、いつもの紅葉からは考えられないものだった。

 

 イレギュラーもイレギュラー。

 特別な場所じゃなくて自宅。

 特別な日じゃなくていつもの日常。

 特別な言葉は…愛してる。

 

 でもね。

 紅葉からプロポーズを受けたってだけで特別。

 私の左手の薬指にキラリと光るリング。

 昨日紅葉にはめてもらった婚約指輪。


 エタニティっていう永遠に途切れることの愛って意味のリングみたい。

 内側にも刻印がされてるし。

 周囲にダイヤが散りばめられてるけど…。

 いくらしたのよ…。


 安くても構わないのに。

 紅葉から貰う指輪ってことに意味があるの。

 金額の問題じゃないのよ。

 貰うことに意味があるの。


 ふふ。

 今日は紅葉にご馳走でも作ってあげようかな。

 当番は紅葉だけど、昨日のお礼で作るよ。

 紅葉の好きな物でも作ってあげよっと。











 「おはようございまーす」


 「おはよーう…ん?」


 藤林さんに挨拶して自席に座る。

 気づいちゃいましたか?


 「それ」


 「ふふーん」


 「おお!おめでとう。昨日まで付けてなかったよね?」


 「昨日プロポーズされました」


 藤林さんは私の左手薬指のリングに気が付いた。

 藤林さんに見せつけるように左手を見せびらかす。


 「うお…。外側全部ダイヤ?」


 「多分…」


 「竹科さんもとんでもない物を送るなぁ…。さすが羽島建設か」


 やっぱりそこ気になっちゃいますよね。

 私も気になるんですよね。

 紅葉が妥協すると思えないし…。


 「高そうだなー。俺が嫁さんに贈ったのはもっと安っぽいやつ」


 「お金じゃないんですよー。貰うことに意味があるんです」


 「うちの嫁さんに聞かせてやりたいよ」


 たしかにデザインもいいし、付け心地も良い。

 ダイヤが外側に散りばめられてあるけど、センスの良さで変な感じはしない。

 あれ?紅葉、私の指のサイズいつ測ったの?


 「竹科さんなら特注とかじゃない?」


 「っぽいですね」


 気になって指輪を外し、内側を見てみる。

 紅葉の刻印以外にSHINという刻印があった。

 あれ?SHINって眞さん?

 眞さんのSHINって有名ブランドじゃん…。

 いつの間に…。


 「何か分かった?」


 「SHINのみたいですね…」


 「SHINってあのSHIN?うはー、さすが竹科さんだわ」


 やっぱり眞さんのブランドは有名なのね。

 あとで玲奈にもお礼言わないと…。


 「SHINでオーダーメイドでダイヤだろ?やばそう」


 「私も怖くなってきました…」


 「盗まれないように気をつけて」


 「誰にも渡しませんよ」


 









 「ただいまー!」


 「おかえり」


 「んー」


 「もう…」


 紅葉が帰宅するや否やキスを求めてきた。

 朝からテンション高かった紅葉だけど、帰宅した今もテンションが高いみたい。

 

 「ねぇねぇ、これって眞さんに作ってもらったの?」


 「そうだよ。眞さんにお願いしたこの世界に一つだけの指輪」


 「そ、そうなんだ…」


 やっぱりオーダーメイドなんだ。

 一流職人眞さんのオーダーメイドって…。


 「愛海は値段を気にしてるの?」


 「う、うん…」


 「眞さんが特別に材料費だけにしてくれたから大丈夫だよ」


 「そうなの?あとで玲奈にお礼言わなきゃ…」


 材料費だけ?

 でもさ…。


 「材料費だけって言ったけど、これダイヤ…」


 「ナンノコトカナー」

 

 「目を逸らすな紅葉!」


 

 








 「ありがとね」


 『あら、もう貰ったのね』


 紅葉がお風呂に入っている間に、玲奈にお礼の電話をかけた。

 玲奈も指輪のことは知っていたみたい。


 『眞ちゃんと話てそうしたのよ。私たちからのプレゼントだと思いなさい』


 「…ありがと」


 『ちなみに一番最初にはめたの私だから』


 「はぁ!?」


 『嘘よ。付けるわけないでしょ。それよりも、おめでとう。よかったわね』


 「うん…」


 玲奈と眞さんの心遣いに涙が出てくる。

 みんなのお陰で幸せがあるんだと感じることができる。


 『あ、お礼は高級肉でいいわよ。この前の旅行で高山牛買ってこなかった罰ね』


 「………」


 前言撤回。

 誰が買っていくもんですか!


 ちょっとくらいはいいよね?


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