1-3 入学
学院の正門を抜けると、その先には広い石畳の道がまっすぐ伸びていた。
左右には手入れされた木々が並び、その向こうにはいくつもの校舎が見える。奥にはひときわ高い塔がそびえていた。
同じように門をくぐった新入生たちは、案内に従って一つの建物へと向かっている。
「わあ……中、こんなに広かったんだ」
「迷わないでね」
「それ、ニーアもでしょ?」
アルレアは辺りを見回しながら歩き、その隣をニーアがついていく。
前にも後ろにも、同じ制服を着た生徒たちがいた。緊張した顔で歩く者もいれば、すでに隣の誰かと話している者もいる。
腰に剣を提げた者や、大きな荷物を背負った者までいて、その姿は様々だった。
やがて二人が辿り着いたのは、大勢を収容できる講堂だった。
高い天井の下に椅子が整然と並び、すでに多くの新入生が席についている。
二人も席につくと、アルレアはちらりと後ろを振り返った。
講堂は次々と新入生で埋まっていき、先ほどまで聞こえていたざわめきも、扉が閉じられる頃には少しずつ小さくなっていく。
やがて、正面の壇上へ一人の男が歩いてきた。
白髪が目立つ年齢ではあるものの、背筋は伸び、足取りに迷いはない。
男が中央へ立つと、講堂の空気が自然と引き締まった。
「諸君。入学、おめでとう」
よく通る声が、講堂の隅まで届く。
「今日ここに集まった者たちは、生まれも育ちも、持っている力も違う」
男は、新入生たちをゆっくりと見渡した。
「ここで学ぶことも、選ぶ道も、それぞれ違うだろう。だが、その違いを知ることもまた、学びの一つだ」
アルレアは真っ直ぐ壇上を見ていた。
ニーアもその隣で、静かに話を聞いている。
「これからの日々を、無駄にしないことだ」
短い言葉を最後に、男が一礼する。
壇上を下りる前に、もう一度だけ新入生たちを見渡した。
その口元に、わずかな笑みが浮かんでいた。
少し間を置いて、講堂に拍手が広がった。
その後もいくつかの説明が続き、入学式は終わった。
講堂を出た新入生たちは、そのまま校舎前の広場へと流れていく。
そこには何枚もの大きな紙が掲示されていた。
紙の前にはすでに人だかりができており、生徒たちが自分の名前を探している。
「クラス分けだって!」
「見れば分かるよ」
アルレアは人の隙間から掲示を覗こうとするが、前にいる生徒たちに阻まれてなかなか見えない。
「全然見えない……」
「待ってれば空くでしょ」
「今見たい!」
そう言って、アルレアは少し背伸びをする。
ニーアもその隣から掲示へ目を向け、並んだ名前を上から順に追っていった。
「あった」
「え、どこ?」
「一組。ほら」
ニーアが指した先へ、アルレアが目を凝らす。
「あ、ほんとだ! 私もある!」
並んだ二人の名前を見て、アルレアが嬉しそうにニーアを見る。
「一緒じゃん!」
「うん」
ニーアはそう答えてから、もう一度、掲示の少し下を指さした。
アルレアもその先へ目を向ける。
「あ」




