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すっかり定着したグループ行動。
自習室のテーブルにはチェリル以外、ライとオフィリアがいる。
なんだかんだでつるんでいるのだ。
トライワイトはちょこんとテーブルの上に座っている。
猫なのに外で丸くなったりせず、いつも高貴然とした姿で座っているので、チェリルは中身が人間だからかなと思っていた。
十九歳の姿を思い出し、ぐっとペンを握りしめて恥ずかしさやらを抑え込む。
(猫のライトは平気なのに、十九の姿思い出すと恥ずかしくなる……)
そこで十三の姿を思い出して落ち着こうとしたけれど、ノーブルで繊細な少年を思い出しても胸の奥の心臓がドンドンと叩かれているような気になって、慌てて二人の会話に耳を傾けた。
「そういえば、このあいだ読んだ本でさあ、人の魔石が取れるらしいって書いてあった」
オフィリアの言葉にライがノートから顔を上げた。
トライワイトもピクリと片耳が動いて、オフィリアの方を見る。
「そんなのあるの?」
「どうみても禁術じゃないか。どこで仕入れたんだよ、そんな本」
「いや実家から送ってもらってさ」
どんな実家だという目をしているライに、チェリルがオフィリアの代わりに説明を口にした。
「定期的に送られてきてるんだって。年の離れたお兄さんが同じ趣味らしくて」
「嫌な共通点だな。床が抜けるぞ」
「読み終わったら送り返してるから大丈夫。そうじゃなくてさ、ふるめかしい絵本だったのよ」
「絵本?」
チェリルが不思議そうに首を傾げた。
「絵本って意外と馬鹿に出来ないぞ」
「そうなの?」
「昔は呪術も禁術も当たり前に使われてたから、民間伝承とか子供向けの童謡なんかに隠れてるのよ」
「そうなんだ、凄いね」
「私はそういうのを解明出来る職業につきたいの」
「なるほど」
オフィリアの説明に、チェリルは興味津々で聞きながらも、そんな危ないものを調べているのなら安易に試さない方がいいのではないかと入学式の日のことを思い出した。
オフィリアに言っても、それはそれ、これはこれと言われそうだから、いちいち言わないけれど。
「おい、脱線してるぞ」
「そうだった。なんか他人の胸から魔石を出せる禁術があって、それをこう、ガシッと」
オフィリアが何かを掴むように拳を握った。
その様子に随分と強引な魔法だと思い、だから禁術なのかと腑に落ちる。
けれど、あれと目を瞬いた。
「主従魔法と少し似てるね」
「主従魔法は魔石を返すだろ。そのまま魔石取られたら死んだりしないのか?」
「死にはしないけど魔力はほとんど無くなるらしいよ」
「うわ」
あからさまにライが嫌そうな顔をした。
「でも取ってどうするの?魔石とってその魔力を使うのかな。本人しか使えなさそうだけど」
「そ!本人にしか魔力は反応しないの。でも魔石の持ち主が使わせていいと思ったら使えるのよ」
「魔石取られて魔力使わせる奴とかいる?」
そんな人いないよなあと思いながらトライワイトを見ると、目を細めてチェリル達の話を聞いていた。
興味のある話題だったかなと不思議に思う。
「魔力使いたかったら無理やり言うこと聞かせるんじゃないのか?」
「どうやってよ」
「人質とか?」
二人の会話に耳を傾けていると、トライワイトの耳がぎゅいと後ろに倒れた。
久しぶりのご機嫌斜めモードだ。
今の話に何かあったかなと思いつつ、チェリルはフリを思い浮かべた。
(魔力がほとんどないなんて師匠みたい)
フリはほんの少ししか魔法は使えなかった。
トライワイトみたいに薬を飲んでも、同じように満タンになることもなかった。
チェリルに魔法を教えたあとは欠かさず飲ませていたのに。
そこで、ふと全然違うことを思い出した。




