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当日を迎えた薬学授業。
まずは座学テストだった。
これには自信がある。
作り方が奇抜ということは薬草の基礎がわかっていないと出来ない。
チェリルはちゃかちゃかとテストを埋めていき、なんなら時間が余った。
そしてその場でベヘルマが魔法で一気に採点していき、結果発表だ。
「みなさん今回はなかなか難しかったみたいね。ただ、満点の生徒がいます」
その言葉に教室のなかがざわめいた。
チェリルも誰だろうと思っていると、テストのあいだだけ机から離れていたトライワイトが戻ってきて半眼を向けてきた。
なんか呆れた顔をしている。
解せない。
そのあいだもベヘルマが話しているので、慌てて耳を傾けた。
「トップの生徒はチェリル・バッカニアさんです」
「へ!?」
いきなりの自分の名前に、なんか変な声が出た。
結構自信はあったけれど、満点とは思わなかった。
(だってよく使われる薬草ばっかりだったじゃない!)
本にだって載っていた。
森の家にある蔵書にほとんど記載されていた内容ばかりだった。
薬学の教科書は楽しく読めたが、意外と内容が被ってるなとは確かに思ったけれど。
思ったけれど、満点。
「いつも優秀で素晴らしいわ」
その言葉に嬉しくなった。
実はチェリルは薬学の座学だけは、学年首位にくい込む。
本人が気づいていないだけだ。
教室内を見まわすと、オフィリアが驚いた顔をしていた。
そしてその流れでプルートが視界に入り、目があう。
すると面白くなさそうに眉根を寄せた。
「何かおかしくないか」
突然プルートが口を開いた。
「ほかの授業じゃ全然成績もよくないのに、この授業のテストだけ満点なんておかしいだろ。カンニングしたに決まってる」
言い切った言葉に、チェリルはイラッとこめかみがひくついた。
確かに他の授業の成績はいいとも悪いとも言えないレベルだ。
最近はトライワイトのおかげで少しは上がっているけれど。
ただこの授業に関しては、チェリル的には本当にわかりやすいだけだ。
なんなら低レベルと言っても差し支えない。
それをカンニング。
周りで何人かが「え、そうなの?」なんて言っているけれど、とんだ風評被害だ。
反論しようと口を開きかけたとき。
「そんなことないだろう」
否定の言葉を吐いたのはチェリルではなくライだった。
おもわずぽかんと口を開けてしまう。
女の子があまりしていい表情じゃない。
「そいつのこの授業の成績だけは、悔しいけど僕より上だ。カンニングしたのなら僕より下のはずだからな」
ライが悔しそうに言い切る。
眉間に縦じわを思いきり寄せて。
「いや本当に悔しそう。あんな悔しそうに肯定してくることある?」
ライの様子にオフィリアがけらけらと笑っているけれど、確かにとても悔しそうだ。
いつもクラスどころか学年首位にくい込むのに、この授業ではチェリルの方が成績がいいのが本当に悔しいのだろう。
だてにこの授業を理由に声をかけてきたわけではない。
「みんな落ち着きなさい」
ベヘルマの言葉にざわめきはすぐに静かになった。
それを見まわして、ベヘルマが天井の四隅にある小さな蝙蝠の飾りを指差した。
なんでそんなところに飾りがと思っていたものだ。
「教室にはカンニングやもめごとが起こったときのために、魔道具が設置されています」
その言葉に全員、恐れ戦いた。
特によくいねむりしている生徒とかが。
それを言われると、逆さにつり下がっている蝙蝠の目が光っているように見えてしまう。
なんかあんまり知りたくなかった。
「あとで確認してもいいけれど、考査試験でもないからカンニングをわざわざしないと思うわよ」
ベヘルマに諭されるように声をかけられたプルートは、ぐっと喉をつまらせて俯いてしまった。
(ざまぁ)
あまりよろしくないけれど、この一言くらい許して欲しい。
いつも散々ないやがらせをうけているのだから。




