過去の友の記憶
ピエリとルイナとキセキは、街壁に登れる階段を目指して駆け出していた。
俺はピエリについていってるだけで、特に策は練っていない。
単純な疑問、焦りでピエリに問う
「にしてもどうするつもりだ?」
「ボクにはあの魔石を取れる〜んだけど」
「1つ問題があってね〜」
「あんな暴れてたら取れないんだよ」
キセキが、軽い顔をして補足する。
「近づいたら燃やされて、ステーキの出来上がりさ」
「そんな奴に俺手出そうとしてんの…?」
正直今からでも引き返して、ここから逃げたい。
しかし逃げたらどうなるか、結末は見えていた。
ピエリやキセキから、一生笑いの材料として擦られ続けることが。
流石にそれだけは、死ぬより勘弁して欲しい。
街壁に突き当たった。そこから、右を見ると階段を発見
した。ピエリがいち早く向かっていく。
それに続く形で、ルイナとキセキも向かう。
階段は、螺旋階段になっていた。
駆け上がっていく際、ピエリが俺達に作戦を伝える。
「僕からの君らへのお願いはただ1つ〜」
「フロラグニス気を引いて欲しいんだ〜」
「つまり俺に死にに行けと?」
俺はまた死にたくて異世界に来たわけじゃないと叫びた
かった。祝福かない俺はただの一般人。
"想い語り"を使えば、俺は代償を払う必要がある。
極力使いたくはなかった。
自分の命と、街の存続をそれぞれ天秤にかけるなら、どれを取るか。考えなくとも、分かるだろう。
俺は“選ぶ”。
死ぬかもしれない方を。
だって、それが生きるってことだ。
──すさまじい咆哮。
同時に、黄金の粒子が飛び散るのが見えた。
それが意味するのは、シールドか破壊されたこと。
「3秒でいいんだ〜頼むよ!」
「急がないとやばいよ!」
ついに、街壁の上へと登りきった。
街壁は、円状になっており、東西南北にそれぞれここまて登れる螺旋階段の塔がある。
俺達が今いるのは、南の塔。
辺りを見渡すと、東側の街壁に受付嬢か叩き付けられて
いた。
気を失っているのか、はたまた"故障"したのか。
ぐったりと、項垂れている。
黄金の粒子か漂う中、やはりシールドは破壊されていた。
街かむき出しになっており、いつ破壊されてもおかしく
ない。
ピエリはいち早く、反対の北の塔へ向かっていく。
──俺の役目は、ここでフロラグニスの気を引きつける。
「どうするつもりだい、ルイナ」
「また使うのかい?破滅の、その力」
わざと言っている。俺を助けているつもりなのか。
3秒。
それだけあれば、あいつは救われる。
それだけなければ、街は終わる。
「俺には、それしかねぇんだよ!」
祈ろうと、両手を合わせた。
──女帝は、再びエネルギーを貯め始めた。
今度は、シールドがないが故。今度浴びたらひとたまりも
ない。
冒険者、騎士らしき人物が空中に向かって魔法を放っているのが見えた。が、目立つ外傷はつかない。
騎士をまとめていた青年が、光り輝く剣を持って東の塔に現れた。
助走をつけて、上空へ飛び上がる。翼を持つ白鳥。
フロラグニスへ、剣を振るった。
──「オレ達が、ここを守ってみせる!」
フロラグニスへ挑むもの達の、声が聞こえた気がした。
そして俺は、思い出す。
遠い記憶。親友の言葉。
「お前さ、結局最後はさ」
──やる方選ぶよな!!
あぁ、そうだ。
昔から、ずっとそうだった。
だから俺は今も、ここにいる。
心臓が、笑っていた。




