表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/10

永久の狂花と、死にやがりの俺

「なぁ、樹。」


それは、俺の名前だったもの。


「なんでお前はさ、そんなに物事頑張れるんだ?」

俺の親友が、不思議な質問をした夏の日のこと。


確か俺は、返答に迷った。

「急に聞かれても困るわ…」

「特に意識したことなんてねぇし」

本当だ。特別に意識したことも無い。


親友は、溶けかけの棒アイスを咥えながらつまらなそうに口を尖らせた。

「まぁ意識はしてねぇだろうけどさ」

「絶対なんか理由はあんだろ〜人間なんだからよ!」

肘でがしがしと、これをつついてくる。


「あのなぁ…」

親友を横目で見ながら、俺は考える。

ふわっとだが、理由が分かった気がする。

何となくは、理由にならないだろうか?

とも思ったが、気の毒なので真剣に答えることにした。


「全部"やりたいこと"だからかな」

「なんだよそれ〜げっ、勉強もかよ!?」

親友は、数学が大嫌いでよく俺が教えていた。

「それも俺がやりたいことなんだよ、悪いな」


──嗚呼。昔の俺は、"やりたいこと"に一直線だった。

それなのに、たった1つの病人という肩書きが。

俺の"やりたいこと"を、引き離す。


時は巡って、また夏がやってくる。

見覚えがある天井。病室のだ。

「悪いな、親友さんよぉ…」

「なんでだよ……なんで、お前なんだよ!」


冷たい雫が、俺の肌にこぼれ落ちてくる。何度も。

「冷たてぇよ、馬鹿野郎…」

「俺もう長くねぇんだから…最後くらい笑ってろよ…」

泣きじゃくって、ぐっちゃぐちゃな顔面の親友。


正直いつもだったら、笑うネタになってたんだろうな。

意識が引き剥がされていく最中、親友が口を開けた。


「お前さ!!結局はさ!!」

──「やる方を選ぶよな!!」

「何回何十回何千回!」

「死にがっても、"やりたいこと"に全力なんだろ!」

「だったらさ…俺とまた会うことも、"やりたいこと"に

入れて置いてくれよ!」


「信じて待ってるからよ。」

親友の笑える顔と、その言葉が今までもこれからも。

背中を押してくれる。


小さい両手で。頬を叩いた。


──待ってろ、親友。

お前に会って、やりたいこと全部やってやる。


「やっぱり君を選んで正解だったね」

キセキが、肩へ乗ってきた。俺の顔を覗く。


「昔の君に戻ってくれて嬉しいよ」

「だからキセキは、君と"神器契約"がしたい。」

和かな顔で、猫らしき尻尾を振っている。


「ぁ〜…よく分かんねぇけど今は」

「そうするしかないよなぁ!」


「乗り気で助かるよ、さあ」

──「キセキを使ってよ」


尻尾を、俺の右手首に巻き付けてはリングに。

黒猫は、1つの本に変わった。

前世の"やりたいことリスト"に似ている。

中身は空白のページがいくつも。


銀のリングは、キセキの瞳と同じ魔石が嵌められていた。

右腕を空へ、掲げる。

リングが脈を打つ。

「ほんとに何か分からんけど!!」

「行くぞキセキ!!」


リングが、光を発する。眩しいと感じる程に。

変身機能ではなかったみたいで、ちょっと期待外れだ。

恐らく、技でも出せるのだろうか?


女帝の瞳が、俺だけを捉えた。

空が止まった気がした。


フロラグニスは騎士に構うのをやめて、俺に一直線に

突っ込んでくる。


──あれ、これ…3秒持たなくね?

技を出すとしても、ギリギリOUTなのが分かる。

3秒持たなければ、ピエリの秘策も通用しない。


──アレ????

情けない野郎でごめん、親友。

「俺はまだ死にたくねぇぇぇぇ!!!」

女帝に対する、俺の咆哮である。


「下がってください。」

咆哮を静かに突き刺したのは、東からの一閃であった。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ