血拭い、花は咲く。
「いくら小さい願いがあったとしても〜1年以上かかり
そうだね〜」
ピエリがブツブツと何かを考えている傍で。
「様々な国に渡り歩くことになるだろうね」
キセキが、わくわくして時折飛び跳ねている。
ピエリは何か閃いたのか、瞳孔が大きく開いた。
ご自慢のツインテも、揺れる。
「入国審査ね〜1番入手難易度が低い資格〜」
「冒険者カードとか、どうかな〜?」
──冒険者。
一般的なRPGでは、街を襲うモンスターを倒す。
報酬を得て、各地へ旅し、魔王を倒す。
あくまで俺のイメージな訳だが。
少々死が伴う職業な故、魔法や剣技を嗜んでからなろう
と思っていたが。理想は、儚く散った。
「大丈夫大丈夫〜殆ど僕の知り合いだし〜」
「なんか困ったら、手伝ってくれるさ〜」
なんて、楽観的な考えなんだか?
「引き伸ばしにしすぎるのも、また悪だよルイナ」
ちゃっかり、便乗を忘れないキセキも中々だ。
「俺に決定権って?」
「ないよ」「ないね〜」同時に、言い放った。
「そっすか…」
悲しみに明け暮れる暇はなく、俺は早速冒険者ギルドに
連行された。
入った瞬間、外の静けさとは対称的に、冒険者によって
賑わっていた。
俺達は、声をかけられ、カウンターへ進む。
美しい、受付嬢さんだった。
「ようこそ、冒険者ギルド。サダエア・ポート支部へ。」
「今回は、どのようなご要件でしょうか?」
紅蓮より深い赤髪、サファイアの瞳。
昔ながらの白黒のメイド服を、着こなしている。
両手には、白い手袋をはめている。
「やっほ〜"ロサリア"ちゃん」
「ちょっとこの子のギルドカード作りたくってさ〜」
「承知致しました。」
──呼び捨て!?
受付嬢といっても、かなりの風格がある彼女を呼び捨て
できるピエリって一体?
表情1つ変えない受付嬢さんで、機械的にも感じた。
裏に資料を取りに戻っていたロサリアが、戻ってきては
小難しい話が始まった。
契約関連は複雑で、よく聞くべきだとわかってはいるの
だが、どうしても頭に入りにくい。
「こちらにお名前、お使いの魔法系統を記入してくだ
さい。」
オーソドックスな詠唱系から、自己を犠牲とし大きな力を引き出す呪術系、言葉を現実に変える言霊系。
魔法職を代表する3つの系統だ。
「それ、いくら秘密があってもちゃんと答えるべきだよ〜」
「違う系統取得しちゃうと、魔力が体からなくなっちゃうからね〜」
ピエリは、発言し終わっては窓から外を見ていた。
「それは重要だな…」
この中なら、"言霊系"が想い語りに近しい。
その他もろもろの記入を済ませ、ロサリアに手渡す。
何故異世界人の俺が書けたのかは、本当に俺でも理由が
わからない。体が、覚えてるような感じ。
「少々お待ちくださいませ。」
ロサリアは、カウンター下から銅緑の板を取り出した。
端に大きく、"G"という文字が刻まれている。
受付の彼女は、淡々と説明を始めた。
「ギルドカードは、各国の入国やさまざまな契約の際に提示できる主に身分証の役割があります。他にもG〜Sのギルドランク制度があり、それは個人の実力を示しています。」
「ランクが上がれば、上がるほど各国の入国費用の免除など特別な待遇を受けられます。長く険しい道のりですが、努力を積み重ねればいつか、届くかもしれません。」
──「期待しています。」
確か、Sって10人にも満たないとかピエリが言ってたっけ。やりたいことリストに書いた。大きな願いの1つ。
《死ぬまでにやりたいことNo.90 ギルドランクをSになる。》
ギルドランクSがそこまでいない理由。それは、AとSの壁が原因とされている。
クエストカウンターである。彼女が、人物を挙げて行く。
「例えば、ですね。」
魔法の開祖 ヴィンセント・レフェリー
世界の開拓者 カインド・エーオル
等、パッと見で分かるほどいかにも、偉人や勇者などが挙げられていた。それ故に、Sランクの昇格条件ですら現在不明。Aランクで、生涯を終える冒険者も少なくない。
まぁ、叶えるのが俺の生きる意味だ。
「それと、ルイナ様。こちら仮登録な為、何かクエストを受けてくださいませ。」
「報酬を手渡すと同時に、本登録させていただきます。」
俺は、ギルドカードを手に入れた。仮登録だが。
「クエスト見て行こうか」
乗り気なキセキが、先に募集掲示板に向かった矢先。
──窓に差し込む、陽の光が潰えた。
同時に、けたたましい咆哮。
街中の花が一斉に“焼けずに燃えた”。
耳をつんざかれる。背筋が冷えた。
ピエリかいち早く、入口のドアを開けると。
「…マジ?」
初めて、焦った表情をした。
「やはり結界〜かな…」
「久しぶりだね、花を従える暴君
──女帝フロラグニス。」
見覚えのある花が、トレードマーク。
硬い鱗に覆われ、燃える翼を持つ。
羽ばたくたびに“火の粉じゃなく花びら”が散る。
──ドラゴンが、街の上空で縦横無尽に飛び回った。
先日は投稿出来ず、申し訳ありません!
しっかり読んでくださっている方々が沢山いて、本当に嬉しいです!
期待に応えられる様、精進致します。
さて、女帝フロラグニスと遭遇したルイナ一行。
どう切り抜けるのか…お楽しみに!




