銀髪少女、奇跡と共に
──「...は?」
キセキは何を言っているんだ?俺はずっと男だ。
前世は、度重なる不運によって子孫を残すことはそりゃあ
出来なかった。不甲斐ない男では、ある。
「いいから、見てみなよ」
呆れた様子のキセキが、湖の前でちょこんと座った。
恐る恐る水面に、顔を覗かせた所。
「はぁ?...おい、キセキこれは?」
自然と、冷静になってしまっていた。
先程からよく分からない事の連発で、そろそろ頭が爆発しそうだが。
「君の身体、使い物にならならなかったんだよね」
「だから、代わりの依代を用意したんだ」
もうすぐ地面に毛先がつくほど長い銀髪。
サファイアを連想させる宝石の瞳。
体型は、15歳くらいの年頃の少女って感じだった。
「なぁ、なんで声はそのままなんだ?」
直ぐに、俺が気づけなかった理由。
声が前世と同じ、それは何を意味するのか。
──少女の顔をした。声男性のキメラが生まれている。
と、いうことになる。
ルイナは限定された一部の人間しか喜ばんだろと、その事実に絶望した。
「人間の声帯を作るのが難しかったから、前世の君のをコピーしたらそうなっただけさ」
随分と軽い口調で、キセキは答えやがる。
「お前、何も知らない人がこの声聞いたらよ...どうなるか分かってんのか?」
「仕方ないじゃないか、それとも喋れない方が良かったのかい?」
「ぐぬぬ...」
それに関して、ルイナは言い返せなかった。
声があるだけ、良しとすることにした。
キセキはため息をついては、また先導して歩き始めた。
歩きながら、色々説明された。
要約すると、こんな感じだ。
・この異世界の名前は、エルファリア。
・剣と魔法が使える異世界。
・過去の勇者(転生者ではない)に魔王は討伐されていること。
割とよくある異世界って感じだなというのが、俺の感想だった。魔王とか、討伐する気にはならなかった訳で。
「魔王が討伐されたのに、なんで冒険者がいるんだ?」
「残党がまだまだいてね、後処理に追われてるんだ」
残党。元魔王軍の幹部なのだろうか。
頭を傾げながら歩いていたら、キセキがいきなり歩みを止めた。危うく、蹴ってしまいそうになった。
「困ったな、結界が貼られているよ」
「うっそだろオイ」
結界は、目には見えない物だった。
景観的にも、禍々しい魔法陣だとかは似合わないし。
試しにキセキが結界に対して突進してみたが、跳ね返されてしまった。
キセキは、立て看板の前に歩いて行く。
何か文字が書いてあるようだが、俺には読めない文字だった。やがて、読み上げ始めた。
「えーと、ここは”想いの花園”。数ある自然保護区域であり、厳重に結界が貼られています。」
「...だってさ」
なんだか文字数的に、もっと書いてある気がしたのだが、俺は読めないので信じるしか無かった。
「どーすんだ、それで。こうバーンって壊せる能力とないのか?」
「何と勘違いしてるのかな、そんな力持ってないよ。」
「くっそ...じゃあ、どうするんだよ?」
「神にでも、祈ってれば?」
尚更、キセキは迎えが来るのを待つつもりらしい。
その場で、丸くなる。
「おいおい、俺は人間だから長い死んじまうんだが?」
「無理に言わないでよ、強すぎるんだこの結界」
食い気味な言葉を返すと、キセキは眠ってしまった。
──神に祈る、か。
正直神は前世の影響で、好きとは言えない。
信仰心があるような家庭でも、ない。
でも、このままでは何時かはまた死ぬ訳だ。
また、行き止まりなのか?
ここで、ゲームオーバーで終わりなのか?
そんなの、嫌に決まってるだろうが。
俺が、願うことは今ただ1つ。
やり直す為に。
”ここから出たいんだ!!!”
横槍を入れるかのように、キセキが言った。
「もし、君がこの結界を破れる奇跡を起こせたとしたら?」
「いや、君は起こせる力があるんだ。」
キセキは、オッドアイの目でこちらを見ている。
「”想い語り”っていう奇跡がね」
肩に乗っては、結界を見つめた。
ルイナの身体が、光を発している。発光のエネルギー源はキセキである。
光が凝縮され、両手の平に収まった。
今すぐ放てと言わんばかりに、けたたましい音をあげて
いる。思わず顔を顰める。
「起こそうよ、奇跡。」
俺は、エネルギーを全て結界にぶつけた。
結界はキセキの言った通り強力で、簡単には破れない。
激しい衝撃音、抗おうとするが後ろに引き戻され、地面が少し抉れている。木々が揺れ、観客のようだ。
「俺はこんなとこで...──終わってたまるかよ!」
結界が、ピキピキと音を立てて、割れた。
エネルギーが空へと消えていく。
ルイナは、そのまま尻もちをついてしまった。
「初めてにしては、上出来じゃないか」
その瞬間、俺の”何か”が削られた気がした。
何となく...だが、確実にだ。
「まぁな...ってなんだこの力!!説明されてないんだが?」
「していないからね」
キセキは笑っている。何処と無く悪魔を見ている気分だ。
だが、なんだアレは。俺はただ祈っただけだ。
「少なくとも、今は奇跡としか言えないや」
「行こう、道が開けたんだからさ」
俺の肩元に座りながら、進むのを待っている。
案内人?猫が、言うのだ。
疑問は積み重なるばかりたが、今は進むしかあるまい。
「あのなぁ...ま、行くしかないんだろ」
再び俺達は、異世界に歩み出す。
俺は、”想いの花園”から脱出した。
奇跡を起こして。
「なぁ、あそこって保護区なんだよな?」
「そうだね」
「結界破っちゃ不味くね?」
「あ...それもそうだね」
「馬鹿がよぉ!!!」
少し間が空いて。
「...俺もお前もぉ!!!」
もっと早く気づくべきだったが、もう遅い。
俺達はそそくさと、その場を離れることになったの
だった。
──それから数十分後。
「何これ、え〜?」
何者かが、”想いの花園”に、結界が破られたことに気づき見に来ていた。
「めっちゃ強い結界にしたよね〜?僕。」
「おっかしーな〜、負けたの?結界が?」
何者かは、前方に魔法陣を展開した。
魔法陣は、どこか歪な形をしており、禍々しい赤色。
無詠唱で再び、結界が形成された。
「楽しくなりそうだ」
──運命が、動き出す。
ルイナはそのままプロムンゲーから取ってたり...
性癖キャラなのです




