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5話 下で言え、アホ!

「ルミシア様ー」


あさひは今日も光の領主ルミシア団長の後ろについている。


森の中の光の城砦には、100人弱のエルフ女騎士がいる。半分は見習い、半分一般騎士。この中で、あさひはただ一人の短耳エルフ。


他のエルフのように戦闘することができないと判定されたが、あさひは「ルミシア団長についてる子」になった。

ルミシア団長があさひに色々教えた。光の城砦のエルフ服の着方とか、お風呂に入る方法とか。ルミシア団長は、あさひを小さな子供扱いして、あさひを教育しました。


「今日も訓練ですー?」

「ああ。あさひちゃんはここで見ていいよ」


騎士団の日常は訓練と修行。特に何もしないあさひは每日、ルミシア団長の後ろについて、露出狂みたいな破廉恥な鎧を着て修行しているエルフたちの姿を見てる。毎日修行が終わったら、みんなと楽しい日常を送る。

夢みたいな生活、夢みたいな幸せな居場所。あさひは、ずっとこのままでいてほしい。


「あさひちゃん今日も可愛いね。それにいつも私たちの訓練姿を見てるー。もしかしてやってみたい?やらせてみる?」

「ほら、短耳の子に武器とか火とかのものを使わせないで」

「知ってる知ってるー。どうせあの子は理解できないし」


あさひは可愛い子として騎士団のみんなに愛されて、訓練も仕事もしてない。時々、みんなに「絶対に一人で行動しないでね」「武器を触っちゃダメよ」と命令される。

完全に、守られてる側になった。


あさひにとってこれはいい状況だ。何もしなくても世話されていて、悩むこともない。なにより、いつでもルミシア団長のそばにいる。

ずっとこのままでいいな。未来永劫このままでいいな。あさひは、何度も何度もこう祈った。


あさひは今日もルミシア団長のそばにいる。

森のある場所、滝の上。最強のルミシアは毎日一人でここで修行してたが、あさひが来て以来、ルミシアはいつもあさひを連れてくる。

ルミシアは、あさひのことを「可愛いけど、判断力と理解力がなく、いつも注意しなくちゃいけない子」扱いしてる。


「今日も、絶好調ねー。さすが私!」


光の聖剣で大量の練習用人形を破壊したルミシアが、今日も自慢している。


ルミシアの戦い方は、光みたいな強力な聖剣で相手を攻撃するだけ。力は強いが、特別なスキルがない。スピードが遅いし、戦術も考えてない。

それでも、ルミシアは絶対の自信を持ってる。「自分が最強、如何なる敵でも倒せる」と確信している。


「お疲れ様です、ルミシア様ー」


あさひが修行し終わったルミシアのそばに来た。


「水、持って来ましたー」

「ありがとう。えらいえらい」

「へへー」


あさひはルミシアの力と考え方を知ってる。誰よりもわかってる。

だからこそ、あさひにとってルミシアはかっこいい戦士。賢い先生。生涯唯一の憧れ。死ぬまでの推しである。


「ルミシア様、戻りますか?」

「まだよ。時間あるからちょっと泳ぐわ。あさひちゃんはそこに座って待ってていいよ。川に入っちゃダメよ。約束できる?」

「できます!」

「いい子いい子」


食べても着替えても訓練してもお風呂でも寝てもずっと一緒。あさひは、幸せな気持ちでルミシアの泳ぐ姿を見ている。

川を泳いでいる裸のルミシア、まるで女神のように綺麗なので、あさひは伏座したい気持ちでルミシアを見ている。


幸せな時間がつづいてる。


そして、

空からドラゴンが現れた。赤髪の、人形のメスドラゴンでした。

熱い空気とともに、そのドラゴンが二人のエルフの前に舞い降りた。


「お前ら、エルフだな」


赤髪のドラゴン、結城ルナが軽い気持ちでこう聞いてみた。


「あたしはあるやつを探している。名前はあさひだ。知ってる?知らない?あいつのことだから絶対にエルフ騎士団に会いにいくと思うけど」

「…あさひちゃん、逃げて」


ルミシアはドラゴンの言葉を聞いてない。警戒を高めて、そしてあさひにこう言った。


「大丈夫、この化け物は私に任せてね。あさひちゃんは一人で先に戻ろう」


このドラゴン、強い。

あさひちゃんを守らなくちゃいけない。あさひちゃんに恐怖を感じさせたくない。こう考えて、ルミシアは優しい態度でこう言った。


あさひはすぐに気がついた。

その口調、その顔つき、そのオーラ。目の前のドラゴンは間違いなく、自分の親友、結城ルナ。

ルナを呼ぼう。でもルミシア様の前でルナと普通に話し合うとキャラ崩壊の事態になる。こう考えて、


「ドラゴンー!」

「は?」


あさひは、子どものようにルナに飛びついた。

ドラゴンを押し倒す力ではないが、ルナは、自分を吹き飛ばせる風を感じた。


「ちょ」

「下で言え、アホ!…」


風の魔法を発動して、あさひはルナと共に滝の下に落ちた。


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