2話 戦いに行く
目が覚めたら、ルナは森の中のドラゴンクリスタルから生まれた。
なんか身長が伸びた。頭を下げたら信じられない爆乳が見える。お尻が大きくなって、背中にもドラゴンの翼がある。
自分が新しい身体を入手して、新しい種族として新しい世界に生まれた。ルナはこう確信しました。
そのあとの一週間、ルナは色んなことを検証してみた。
翼があるので、飛べる。筋力と咬合力が強くなって、岩も鉄も簡単に破壊できる。息が暖かくて、全力で息を吐くと数百メートルの火を噴き出せる。服を着ても自分の火はすぐに焼き尽くすので、露出度が高い破廉恥な竜の鎧を着るしかなかった。ある程度の大きな巨乳とお尻があれば、搖れは不可避。
人間の町に行ってみたら、その町はすぐに絶望に陥って機能が停止された。
仕方なくドラゴン同士の匂いをフォローしたら、他のドラゴンを見つけた。しかしその3匹のドラゴンは人間の村を襲っているので、ルナはその3匹のドラゴンをぶっ飛ばすしかなかった。
村民たちの服を見てルナは理解した。ここは、あさひが大好きな底辺エロゲームの世界。何もかもご都合主義で、人たちの考えは深くない。
ルナは世界観のことをあんまり覚えていない。
覚えてるのは、この世界の構成要素は2つだけ。人間と亜人間に対する悪意と暴行、それと女性に対する人権無視。
このゲームのシナリオライターは邪道と外道が大好きなので、この世界は悪党の天国で、悪党以外の人にとっては生き地獄だ。
「人間全員は虐められるために生まれた最弱種族ね…」
あさひのやつ、きっと自分と同じくこの世界に来た。早く会いたいな。会ったらこの世界のことをもっと質問する、でもまずは目の前の人間を救わなくちゃ。と思いつつ、ルナは大きな吊りかごで子供を輸送していた。
青い空は広くて綺麗。風も涼しい。自由に飛ぶことは思ったより楽しいんだね。
軽い気持ちで子供たちを人間の都市の近くに置いて、ルナは町に帰ってる子供たちを見送っている。
まずは人間たちの安全を確保して、そして…
「おい」
「は、はい!」
大人の女性に話しかけてみて、この世界の情報を聞いてみようか。
「お前らは王国のこと、もしくは闇帝国のこと知ってるかい?」
「…」
「知らない?じゃあ、この世界のどこかにエルフ女騎士団があるらしいけど、知ってる?」
「それは…」
人間の女性は警戒している。
知らない、もしくはドラゴンを信じるわけにはいかないと思う。ルナはこの二つの可能性を考えた。ドラゴンってそこまで信用できないのか?ドラゴンはDLCの新しい種族なのでよくわからないが、どうやらこの人間に世界観の情報を聞いても無駄だ。
「はいはい言わないね。じゃあ最後に、どこか強い悪党がいる?あたしはこの身体で戦いたいさあー」
このドラゴンの身体で全力で戦ってみたい、これがルナの願い。
戦闘が好きだし、将棋の手順を思考するように戦い方とか形勢とかを考えることは、ルナはずっとやってみたかった。今の身体はパワーいっぱいで、熱い戦いを経験できる気がする。
「よくわからんが、悪い帝国があるんじゃねぇ?帝国のやつが現れたら教えろ。全員倒すからな」
「帝国軍と戦いたいのですか?」
女性は揺れている。きっと警戒を保って言うべきことと言うべきないことをまとめているだろう。
この世界の優しい人たちはみんな頭がよくない。何も考えず「もうダメ」と判断するとか、バカみたいな罠にはまって「なに!?」と驚愕するとか。王国の女性戦士も、エルフ騎士団も、ご都合主義の考え方ばかりだ。まるで、全ての考え方は負けるために存在している。
一方、闇帝国のやつはちゃんと考えているらしい。すごく賢いわけではないが、ただの兵士でも現狀と選択肢をちゃんと思考できる。
自分のために、この世界の平和のために、ルナはどうしても戦いたい。
ドラゴンが帝国軍と戦う。どう見てもいい提案だし、自分に教えるはず。ルナはこう判断した。
「実は、都市の近くは帝国の使節団に占拠されています。彼らは半年前にここに来たけど、今もそこにいると思います」
「兵士ではなく外交官だと?外交のことをドラゴンに聞くなよー」
「そうじゃなくて…帝国の使節団は、都市を侵攻するためにここに来ました」
「ほうー?」
「噂なんですが、領主様はその使節団に脅迫されています。降参しないと都市を侵攻する、こう宣言したらしい。領主様は今悩んでいて、念のために都市の子供たちと女性に退避命令を出した。私も、ここの子供たちも、退避中にドラゴンに捕まえられました」
「その闇の帝国はどのくらい強いのかわかんねぇか、ただの使節団で退避命令を出さなくちゃとはな」
「帝国の大使は強いからね。それに、領主様は優しい女性なので、なるべく国民を守りたい。今はわからないけど、降参する可能性が高いです」
「情けねぇー。なにもしなくて悪い奴に屈すやつ、アホ領主だね」
「そんなことありません!その優しい領主様はずっと、国民のことを考えています!」
「はいわかったー。先に行くね」
「どこへ?…」
「言ったんだろう?悪いやつと戦いに行く。じゃあな」
この世界には価値がない。
元々、この世界の存在する理由は「闇の帝国が世界に進軍し、蹂躪し、世の中の女を征服する」というストーリーのために用意された舞台。言っちゃ悪いけど、この世界の女性は全員美少女とは言え、彼らの運命は地獄みたいな破滅結末を迎えるだけ。女性以外の村民と市民も、全員ゴミのように殺される。
この邪道作品の世界に入った以上、やることはただ1つ。
闇の帝国のやつは、全員倒す。
戦闘人生を期待しつつ、ルナはこう決めた。




