17話 これ罠、どう見ても罠だ
赤髪赤瞳のドラゴン、ルナがあさひに「ドラゴンが現れる」という手紙を送った。
残念ながら、ルナの手紙はあさひに届かない。
他のエルフにとってあさひは文字を読めない低知能の子なので、先に手紙を読んだエルフは保護者のルミシアでした。
あさひを連れ、二人で帝国行く道中、ルミシアは転送されたドラゴンの手紙をもらった。ドラゴンの手紙を読んで、ルミシアは夜空を見て息を吐いた。
「ドラゴンだね。困るね、こんなときに」
ルミシアは今、王国の代表として帝国に入った。目的地はある帝国の町。武器も護衛もないし、随員はあさひしかいない。それでも、ルミシアは軽い気持ちで約束の町へ歩いていく。
確かに、王国も帝国も時々ドラゴン災害が現れる。火を吐くドラゴンルナが王国寄りドラゴンだし、そのルナがドラゴン災害を警告を提出した以上、無視するわけにはいかない。
「よし決めた、帝国との会談が終わったらすぐに王国に戻ろう。いいな?」
「はーい」
ルミシア様が決めたことには、あさひはなにも理解できない可愛い子ぶり「はいー」しか言わない。
みんなにバカにされてみんなに世話されてる毎日は、幸せ限りだ。
「うむ、いい子だ。あとで町に到着するよ」
こうして、ルミシアとあさひは、ある静かな帝国の町に到着した。
この町には住民がいない。名前さえない。
なぜなら、この町はルミシアを捕まえるために用意された罠だから。
「ルミシア様、帝国の兵士がいっぱいー」
「心配しないで。私たちはお客様だから」
二人、いや、帝国の兵士にとっては二匹。ルミシアとあさひ、二匹の美しいエルフが町に入った途端に、計300人近い帝国兵士は警戒し始めた。
もちろん、ルミシアは危険を感じない。
自分が光の城砦の領主であり、王国の代表である。帝国の兵士は失礼なことをしないでしょ。こう思って、ルミシアは何気なくあさひの頭をなでなでして、町の帝国兵士に、
「光の領主ルミシアだ。お前らの宰相に会いに来た!さあ、宰相はどこだ?」
「お疲れ様です。宰相はタウンホールで待ってます」
ルミシアとあさひを迎えたのは、帝国の男性官員でした。
「長旅をした光の領主には、料理と浴場を用意しました。先に入浴して、晩餐会で宰相とちゃんと話し合ってください。光の領主と…そのエルフは」
「あさひだぞー!」
と、あさひは元気で挨拶をした。
「この子はあさひ、私が世話してる子だ。知能が低くて難しいことは理解できないがいい子だわ。悪い、この子は私と一緒に行動するね」
「もちろん、構いません。それでは光の領主、ついてきなさい。浴場と美味しい料理が待ってます」
男性官員も帝国の兵士も、全員獲物を見てるような顔でルミシアとあさひを見てる。特に巨乳とお尻。
もちろん、ルミシアは気づかなかった。
どうやらこのあとはルミシア様と一緒に入浴するらしい。こう考えて、あさひは興奮した。
武器も護衛もないルミシアを町まで誘って、そしてルミシア様を入浴させる。鎧すらない、なにも着てないルミシア様は浴場の中で隙だらけな様子になる。これは危ない。
これ罠、どう見ても罠だ。あさひは、「この会談要請も、この町も、この入浴させるケジュールも、なにもかも帝国が用意した罠である」と確信している。このままだと、ルミシア様は帝国に罠に陥る。
それでも、あさひはワクワクしている。
光の城砦のエルフは毎日集団入浴するが、あさひはルミシア様と二人だけで入浴したことがない。危険だろうか罠だろうか、あさひにとってルミシア様と一緒にお風呂に入らない選択肢はない。
こう考えて、あさひはルミシア様の手を繋いだ。
「なんだ?あさひちゃん、楽しい?」
「はい!お風呂、お風呂ー、ルミシア様と一緒ー」
「ああ、一緒だぞ」
嬉しくて、ルミシア様の温度を感じてる。
この幸せ、ずっとずっと消えないように。あさひは、心の中でこう祈っていた。




