13話 決意がある?
「そうそう、やればできるんじゃない?」
城の仕事は二交替制で、メイド職と警備職がある。メイド勤務の場合、お掃除とか料理とか受付係とか、メイドらしい仕事はなんでもやる。
城のロビー、夜勤でも数人のメイドがいる。みんなメイドなりの正しい礼儀を守って、淑やかな態度で来訪者を接待する。その中で、メイド服のルナは新人としてマラマに指導されている。
(くぞ、思ったより恥ずかしい…)
メイド服に着替えたルナは、メイクさせられ、メイドの立ち姿勢とかお辞儀の仕方とか手の組み方とかを勉強させられ、3時間くらいメイドとしての基本を教え込まれた。
この世界でどこでも見られるエロ鎧とエロ服より、メイド服は露出度がそこまで高くない。しかしルナにとって、エロ鎧より、可愛くて女の子っぽいメイド服はさらに恥ずかしい。
メイドの立ち姿勢はなんか自分に似合わない。自分らしくないキャラを演じてるみたいな感じ。それに胸元がきつい。
「これくらいなら大丈夫。明日からあなたをメイドシフトに入れるね。この城のメイドと警備兵は全員あなたの先輩なんだからみんなの指導をちゃんと聞きなさい」
「それはいいとして…ヴェルナーに会いに行っていい?」
「ヴェルナー様と言ってー!ヴェルナー様は今自分の部屋にいる。もうすぐ寝るから会いたいのなら早く行ってね。もちろん、礼儀をしっかり守りなさい」
「…ああ」
風の領主と話たいだけなので、こんなに大変だったとは。
風の領主の城に住むと、風の都市を守れるし、毎日美味しい料理と宝石を食べられる。帝国の情報も簡単に入手できる。でも身体の自由はちょっと少なくなるね。
(まぁ、有事の際に自分で事態を判断できれば他のことは我慢できるけど…)
と考えていて、ルナは風の領主の部屋に着いた。
「おいー、いるかい?」
「鍵が掛かっていません、どうぞー」
部屋に入ったら、ルナはすぐにベッドに横になって書類を読んでいる風の領主ヴェルナーの姿を見た。
エロパジャマの青髪美人から、エロ写真集みたいな美しさが見える。とはいえ、女性同士だから、ルナにとって目の前のシーンは特に意味がない。
「あら、メイド服可愛いですね!ドラゴンさんにすごく似合います!」
「似合わねぇ。胸がきつすぎ。って」
マラマの指導は頭の中から離れないので、ルナは一応メイドの立ち姿勢で立っている。
「帝国のやつがお前と対話したい場合、もしくはお前が帝国と対話したい場合、まずはあたしに教えよう。帝国はこれから王国の領主を優先に攻略する可能性が高いから、急にお前の前に現れて嘘つくかもしれんぞ」
「もうー、わかりませんねドラゴンさん。対話しに来た人には、相手の好意を信じて対話しなきゃなりません!」
「でも」
「でもじゃない。ドラゴンさんは強い戦闘力ですが、決策者は私なんです。私の話しを聞いて、じゃなきゃ教えませ
ん」
「…はあ」
領主の決意の瞳を見て、ルナは反論を行う気力を失った。
よし決めた。これからは領主の命令に反論しないことにしよう。めんどくさい議論を避けて自分で行動しましょう。こう決めて、ルナは、
「わかった。とにかく、帝国側は最近変な動きがあるかい?」
「悪いことではありません。今日の夕方、私は帝国の新しい使者に会見しました!」
風の領主が自慢しているのように笑顔をして、
「使者さんが、歉意を持って私と対話しました。友好の証として、来週には帝国はフレゼントを持ってきます。これで風の都市も平和を迎えます!」
「あ、そう。フレゼントってなんたい?ちゃんと確認した?」
「まだわかりませんね。でもでも、風の都市に一番いいフレゼントを用意できるように、その使者さんがいろんなことを聞きました。誠意がすごく高かったですよ!」
「…は?」
風の領主が子供のように喜んでいるので、ルナは特に文句を言わない。
「教えた?」
「教えました」
「具体的には?」
「えーと、風の都市の足りないものとか、不足点とか、警備兵の人数と個人情報とか、それと」
「はいストーップ」
もう聞きたくないので、ルナは、
「帝国の使者は今どこだ?」
「離れたばかりですよ。今は風の都市の外にいるはず…」
「教えろ、風の領主」
ルナは希望がない口調で風の領主に、
「お前は王国を守る決意がある?」
「もちろんあります!国民たちが幸せな平和を迎えることは、私の夢なんです!」
「…ああ」
ルナは部屋を離れようとした。
ルナは、「たとえ風の領主が信じてる夢を破壊しても、風の領主はさらにいい判断を出さない」という気がした。別に風の領主をなめてるのではなく、ただこのエロゲーム世界の法則を感じただけだ。
「ドラゴンさん、戻ります?」
「用事がある」
「それでは、最後に」
風の領主は、ちょっと恥ずかしい顔をして、
「このような二人だけの時は自由に話し合ってもいいけど、他の人がいればメイドの礼儀を守りなさいね。私は領主なんだから、威厳を保たないと」
「わかってる。じゃあ」
翼を開けて、ルナは窓から離れた。
メイドになったドラゴンさん可愛いな。風の領主は軽い気持ちでこう思っていた。




