10話 さよなら
あさひは風に乗ってみた。
ルミシア様のことだから、たとえ吹き散らされても怪我をしなく、人質を守れる。こう判断して、あさひはルミシア様を含めている城砦の外の全員を遠い場所に吹き散らした。
一気に数千人の帝国兵士を駆逐することは、気持ちよかった。
けど、これだけじゃだめ。
光の城砦に手を出した帝国軍には、ちゃんと始末しないと。こう考えて、あさひは魔将の前に来た。
光の城砦から18キロメートル、誰も来たことがない森のとある場所。帝国の魔将が目が覚めたら、周りの兵士はもういない。
ここにいるのは、一匹の若いエルフだけ。胸は大きいが、他のメスエルフに比べると服も顔も特別なところがなく、どう見ても雑魚エルフだ。
ただ、このエルフは慌てていない。
もしかすると目の前の小娘はこの風の元凶?こんな可能性を考えて、このいつも女性に悪寒を感じさせる笑顔をしてる魔将はちょっと興奮した。
「おいメスエルフ、名前は?」
「あさひですー!」
「風の魔法を使える?」
「そうー!」
魔将がこう質問したので、あさひもこう答えた。
「おじいさん、あなたを倒すね。あなたはみんなを傷つけたい悪い人だからー」
「面白い個体だな。だがメスには性格は必要ではない」
魔将が剣を取り出した。
剣から強い魔力を感じて、あさひは「この人は魔力をつけてる装備を使うタイプ」と判断した。
この世界に来てから、あさひは風の魔法を色々試してみた。
今できるのは、風を身体に纏って自分を守ること、それと風に乗って移動すること。風速はすごく強いが、戦闘手段はまだ考えていない。今のうちに目の前の男に試してみようか。
全力で、戦ってみよう。
あさひは、魔力で風を圧縮してみて、
「へーい!」
空気砲を使ってみた。
圧縮空気の危険性を察して、魔将はその空気砲を回避した。
「まだまだー!」
あさひ攻撃をつづけている。魔将は、回避しながら解析し始めた。
1秒当たり1発の空気砲、直撃されたら絶対に死ぬ。10メートルの距離を取らないと命中される可能性が高まる。確かに面倒だ。
「仕方ないな」
魔将はある大きな木を斬り切って、
「遠距でお前を撲滅するか」
木を拾ってあさひに投げた。
「楽勝楽勝ー!」
あさひは風で木を吹き飛ばした。
だが、
(…砂?)
あさひの風は砂嵐になって、自分の視線を阻んだ。
熱い。風で自分を守っているから砂は肌に触れないけど、触れると絶対に火傷を負う。
「俺の剣は熱砂の剣。メスの肌を焼くために用意された装備だが、風が強い場合、相手の視線を破壊する効果があるんだ」
耳が魔将の声が聞こえる。肌も熱い砂嵐によって暑くなっている。エルフの服は露出度が異常に高いビキニアーマーなので、熱さをさらに感じた。
そういえば、帝国には3人の魔将しかいない。他にも宰相とか部長とか皇帝とかのやつもいるが、目の前の魔将はきっと帝国の最強幹部の1人。
「じゃあ、わたしも本気を出してみようか」
あさひは強い風に乗って高い空に到着した。
「うん、斬れない高さだな」
魔将の予想は、エルフが砂嵐から脫出する途端でエルフを斬ることでしが、そのエルフが高い空に行って、斬ることは不可能になった。
砂はそこに届けられないから新しい砂嵐を作れない。それところが、
「これでもくらえー!」
空を自由に飛べるあさひは地面にいる魔将にたくさんの空気砲を撃ち始めた。
1秒1発…いや、スピードが高まっている。たくさんの空気砲が地面を撃って、大地がプティのように震えている。鳥の叫び声と森の悲鳴が聞こえる。
「メスか、この程度で俺を倒す気か…!」
魔将が高い場所にいるので、魔将は空気砲の軌跡を簡単に見抜くことができる。
全ての体力と注意力を出して、魔将は大地を撼動できる風の砲を回避しながらあさひの移動軌跡を解析し始めた。
最大舵角が大きくない。高さは浪のように高くなったり低くなったり、軌跡を予測できる。
魔将は勝利への道を見た。
あさひの移動軌跡を読んで、魔将が高い木に、さらに高い空に跳び上がって、
「あ」
「終わりだ」
あさひの隣に到着した。
「死ね、メスか」
女性敵には、帝国軍はいつも生きたまま捕まる。でも今はこんな手段を使わないと勝てない。ある意味では、魔将はあさひの実力を認めさせられた。
こんな可愛い巨乳エルフ、ちゃんと調教すれば可愛い奴隷なれるのにな。残念。こう考えつつ、魔将は剣を握りしめてエルフを突き刺す準備をした。
だが、
「魔将さんこそ終わりだよー!」
魔将は急に嵐に陷った。
「…?」
身体が転倒した。まるで激しい風に陷った落ち葉みたいだ。
魔将が勝利への道を発見したと同時に、あさひも自分の敗北の未来を見た。もし魔将が空を飛んでいる自分の前に来たら、自分は魔将の剣を避けられないし、空気砲で攻撃する時間もないままで魔将に殺されるだろう。だから、敗北の未来を見たあさひは自分のこのあと軌跡を読んで、その敗北への道に風の種を作ってみた。
その風の種に触れた途端、魔将は死の罠に入った。虫みたいに嵐に吹かれている。五感がバラバラになった。
「お前…!」
「じゃ、魔将さん、さよならー!」
あさひは世界のことをわかってる。だからこそ、帝国軍がどんな手段で女性を虐めてるのか、魔将を含めて帝国の上層部はどんな悪魔なのか、あさひは誰よりもわかってる。
彼らは悪魔なので、命を奪っても構わない。度し難い悪魔なので、彼らの暴行を聞いたことがあれば誰でも彼らの命を奪う覚悟を出せる。
あさひは、空気砲で全力で魔将を撃った。
「」
魔将は蚊のように地面まで撃ち落とされて惨死した。死体ですら挽肉になって、空気砲と共に深い大地に陷って埋葬された。
「うむ、やはり戦意が強かったなー」
あさひの予想通り、帝国軍は恐怖を感じ取れない。たとえ3秒後に戦死しても、帝国軍おやつらは落ち着いて最後まで次の一手を考える。
厄介な敵だな。とはいえ、あさひはなかなか楽しかった。
戦いに集中して、怖さも痛さも不安も感じなかった。アドレナリンってこんなものだね。ちょっとルナの気持ちを理解した。
戦闘って、楽しいな。




