9話 風に乗れ
いつでも不気味な笑顔をしている男は帝国の魔将。数多い帝国兵士たちと一緒に、魔将は森の中を歩いている。
光の城砦の中には数百匹のメスエルフがいる。一刻でも早く狩りたい。たまらなくて、魔将は数千人の帝国軍を国境に配置して、帝国軍に「突撃」と命令した。
士気は絶好だ。帝国の兵士たちは全員メスエルフを触りたがっている。光の城砦を囲んで、そして城門を破壊する工具をここに輸送すればいい。 今のところは計画通り。
と、思った途端、
「こい!私は全部倒す!」
光の城砦の前で、ルミシア団長が帝国兵士と戦っている姿を見た。凶暴なエルフなので、兵士たちは距離を取った。
もう攻城戦を行う覚悟をしたのに、エルフの頭領が城砦から出たとはな。魔将は、落ち着いてルミシアの前に来た。
「ちょっといい?」
そして、挑発的な態度で、
「お前が光の城砦の中にいると、俺は難しい攻城戦を行わなきゃいけない。どうして外に来たのか?」
「私は光の領主だ。領主として一番先に戦闘するべきだ!帝国軍め、光の城砦を傷つけたいのならまずはこの私を倒してみろ!」
「あ、そう」
光の城砦のエルフたちも、遠い岩山にいるドラゴンも、ルミシアに注目している。ルミシアの戦いは光の城砦の未来を決めるから。
だが、
「なら、これでどう?」
魔将はジェスチャーをした。
そしたら、後ろの兵士があるものをここに持ってきた。
「え…」
ルミシアは呆然とした。
その「もの」は、拘束されている王国の村娘でした。
一人しかいないが、その涙を流している村娘は帝国の兵士に掴まれている。
「昨日捕獲した女だ。人質として使えると思うから持ってきた」
「人質を取るだと!?この卑怯者!」
「武器を地面に置け。今すぐ光の城砦に降参しろと命令する。さもないと、この人質を斬るぞ」
「…」
ルミシアは悔しい顔つきで目の前の魔将と兵士と人質を睨んでいる。
悔しいけど、もう降参するしかない。
「…わかった。降参する!だからその小娘を傷つけるな」
「いい決断だ。じゃ早く光の城砦の城門を開けろ」
こうして、人質を守るために、ルミシアは敗北を迎えた。
光の城砦でルミシアを見守っているエルフたちは、ルミシアの降参宣言を聞いた。
「そんな、そんな!…」
「ルミシア様は…私たちを守るために!…」
みんな悲しくて、絶望して、敗北の事実を受け入れた。
ルミシアはみんなに愛されてるリーダーだから、みんなルミシアの判断を信じる。ルミシアが降参と宣言した以上、エルフたちも降参するしかない。
光の城砦はこのあと帝国軍に接収される、エルフたちはこの悲しい事実を認識した。光の城砦のエルフたちは、絶望に陷った。
みんなと一緒に、あさひはルミシアの敗北を見た。
あさひはずっとルミシア様のことを推しだと思ってる。あさひにとって、いつも変態みたいなビキニアーマーを着てるルミシア様は誰よりも賢くて、かっこよくて、美しくて、強い女性である。
こんな強いルミシア様は人質を守るために降参して、光の城砦のみんなの命を含めてすべてを帝国軍に譲り渡そうとする。ルミシア様の判断を見て、あさひは幸せすぎて、涙が出た。
これこそがルミシア様なりの判断。これこそがルミシア様なりの考え方。これこそが自分の推し、これこそが自分が大好きなルミシア様。これからもずっとずっと、こんなルミシア様のそばにいてもいいよね?こう考えると、あさひは幸せな涙が止まらない。
それはいいとして、
光の城砦が帝国に接収されるなんて、あさひにとってはいいことではない。エルフとしてこの世界に転移したら風の魔法を使えるようになったし、帝国のやつを駆逐してみよう。こう決めて、あさひは他のエルフの視線から離れた、城砦の一隅に来て、
「風に乗れー」
自分の風を生み出す魔法を使っている。
「強い風に乗れー!」
魔法に集中して、目を閉じて、風を感じて、あさひは全力でこうやってみた。
よくわからないが、自分が風に抱かれてる気がする。
魔将が光の城砦の異常な魔力を感じた。
情報によると光の城砦には強い魔法使いがいないはず。この風はどういうことだ?
「おや?」
風はどんどん強くなっている。エルフたちも帝国軍も異常を感じた。
そして、
災害みたいな嵐は、光の城砦の外の全員を吹き散らした。
「マジ!?」
その風が強くて、岩山で帝国軍を見てるドラゴンも驚嘆した。




