つかの間の日常、崩壊3
すると母さんがお茶を持って入ってきた。
「あら?どうしたんです?大天使がこんなところにいるなんて」
何故母さんまで知っている!!!
僕の考えていることが分かったのか、母さんはうふふと笑っている。
「まあ、細かいことは気にしないで頂戴つーくん。女にはいろいろな秘密があるのよ」
母さんが口に手を当ててほほ笑んだ。
それを見て本気で悩んでしまう。
ウーン…この外見で高校生の息子がいるだなんて信じられない。まあ自分のことだけど。
「ははは。ツー君とやら、僕と知り合いなのはあり得ない話じゃない」
「どうでもいいですから、出しゃばらないでください」
大天使に興味なかったのでズバッと切り捨てる。
「あうう~ツー君が冷たいぞ、彩樹」
彩樹にしがみついて泣く大天使。
それを慰める彩樹は諦めたような顔をしている。
「しょうがないんです。あんな奴なんですよ、月夜は」
心なしか、彩樹の目もとに涙が見えた気がした。
よし、母さんの美しさの理由を『母さんだから』と納得した。
「で?そこにいる大天使さんとやらが教えてくれたつぼを押したのか?」
「いや、まだだけど…」
「何ぐずぐずしている。さっさとしろ」
「ううう……」
月夜が冷たいと呟きながら弥生ちゃんと飛鳥ちゃんのつぼを押す。
続けて一ちゃんのつぼを押そうとした彩樹が一ちゃんに蹴られる。
いや、正確には蹴られかけた。彩樹はしっかり一ちゃんの蹴りを見きっていた。
「うわっ、いきなり危ないなぁ」
「……私、見えてる」
彩樹に触られて不愉快だったのか、眉間に深いしわが寄っている。
「そうか…彩樹に触れられるのが嫌だったんだね」
微笑みを浮かべて一ちゃんを見る。
「ちょっその言い方はないでしょ!!!そして何頷いてるの!?一ちゃん!!]
「……うるさい奴だ」
「その通りだよ。ちょっとは静かにしてなよ」
「だから、俺の扱いが雑すぎるよ!!?皆!?」
ともかくこれでみんな見えるようになったわけだ。
「わ~天使だ天使」
「羽根が生えていますね」
大天使を見て喜ぶ弥生ちゃんと飛鳥ちゃん。
そんな二人を笑顔でみていたが、いきなり大天使が声を上げた。
「あ、やべ。抜け出してきたのがばれた。じゃあまたね~」
こうして大天使は去っていった。