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神々の残響  作者: 蒼凪 悠
瑞穂皇国

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第七話 海の向こう側

大きすぎて着陸できなかったエルディア号はまだ浮いたまま、空に留まっている。 

また小さな神翔船(しんしょうせん)が降りて来て、拡声器(かくせいき)で叫んでいた女の子【ポピン・オスリア】と【メティラ】と呼ばれた子、他三十名ほどが皇宮へ降り立った。

これから二週間ほどかけて色々交流をすることになり、急な対応に皇宮の官達は大忙しだ。


悠真達(ゆうまたち)は夜に開催される(うたげ)まで街に出た。

中断はしたが、今は祭りの真っ最中だ。


「このまま二週間も空に浮いたままなんですかね?」


春は空を見上げながら悠真の袖をひっぱり質問してくる。


「だよな、すごいよな。どうやって浮いてるんだろな」

「わかりませんけど、落ちたりしないんですかね」

「さぁ、わからん。」


街は、エルディア号が現れた混乱はおさまっていた。

それよも(他にも人間がいた)(新しい交流が始まるのだ)と、さらに盛り上がりを見せている。


「あっ!鳥の串焼き!私買ってきますね!」

「なんだよ、もけもけ鳥の丸焼きじゃえーのかよ」

「誰があんなもの毎日食うんだよ・・・」

「ああっ!?功までそんなこと言うのか!?」

「言うのか!?じゃねーよ。普通の串焼きにしとけ」

「なんだよ、美味いものがわからない奴らだ」

「僕は悠真が好きなら毎日でもいいよぉ」

「蒼真は黙っといてくれ・・・・」


春はまた目を輝かし、あちこちの屋台を物色している。

功は飾り屋で足を止める。


「なぁ春、これとか秋花(しゅうか)ちゃんにどうかな?」

「あぁ、良いですね!秋花に合ってると思います!」

「そうか!じゃぁ買って行こうかな」


功は少し頬を赤らめて紅葉の形をした(かんざし)を購入している。


「あ、秋花は紅葉(もみじ)より(かえで)が好きですよ!」

「買った後に言うなよ・・・・」

「ふふふっ、功様が良いと思ったら良いんですよっ!」

「わかんないから聞いたのに!」

「良いです良いですっ!」

「・・・・・・」


(適当なやつだ・・・流石に功が可哀想だな。)

悠真はそう思いながら功に尋ねる。


「買って行こうかなって、家に来るのか?」

「あぁ、このまま親父達が皇宮に入り浸りなら、皆は帰るだろ?」

「なぜ?」

「なぜって悠真それは・・・」

「二週間も急に統治者が離れては街の政治が止まっちゃうからさ。父上は戻れそうにないから、僕たちが帰って代理をしないと」


後ろから蒼真がりんご飴をかじりながら答える。


「ふーん、なるほどな・・・・」


納得する悠真と、うんうんと(うなず)く功。

そして袋いっぱいの鳥の串焼きを抱き抱え満足そうに(ほほ)(ふく)らまし、モゴモゴしている春。

彼女は花より団子そのものである。


「僕たちって・・・俺もか?」

「悠真は南の村に行って(いのしし)の対策をお願い。なんか多いんだって。」

「嘘だろぉ・・・警備団いるんじゃねーの?」

「なんか手がつけられないほど数がいてどの個体も強力らしいんだ」

「なんだよそれ・・・・」

「ま、これも瑞璃家(みずりけ)の次男として産まれた宿命だよ」

「そうですよ悠真様、街のみんなを守ってあげないと」

「そうだぞ、悠真。俺も手伝ってやるよ」

「お前は秋花に会いたいだけだろ!てか俺たちがそうなら功もそうじゃないのか!?」

「ああ、でも俺は三男だから知らんっ。」

「知らんってそれで良いのかよお前・・・・・」



◇◇◇◇◇◇



「それではこれより、瑞穂皇国(みずほこうこく)に訪れてくださった、共和国の方々との出会いの宴を始める。」


皇王が挨拶し、宴が始まった。

服装や髪色は違えど、同じ人であった。

何百年?人はお互いの存在を忘れていたのだろう・・・・。

しかし共和国は船を開発して飛んできた。

忘れていたのは俺たち瑞穂の人間だけじゃないのか・・・・。

色々聞きたい事が沢山ある。

なのにもう帰らないといけないなんて・・・。

悠真の心は締め付けられていた。

こんな家系でなければ、自由にできたかもしれない。

連れて行ってくれ!と簡単にいえたかもしれないのに。


「あの海の向こうにはどんな景色があるんだろう・・・・」

「海の向こうにはみんなと同じように国があるよ」


(うつむ)き考えていた悠真は顔をあげた。

そこには船の甲板からずっと叫んでいたポピンがいた。


「こことは違う景色、文化、食べ物、乗り物・・・そして何より!みんなと同じ人がいるにょん!!!」


悠真の心が騒ぐ。

その景色を見てみたいと。

色々なまだ見たことのない世界を知りたいと。

でも自分を抑えることを忘れなかった。


「そ、そうなんだね・・・・君はポピンさんだよね。」

「覚えてくれてた?私はポピン・オスリア、技師だよ」

「俺は瑞璃 悠真って言う。よろしく」

「よろしくね、瑞璃 悠真」

「技師って何を作ったりするんだい?」

「ん?えーっとぉ・・・・船とかかな?」

「船?! えーっと船大工?」

「それは魚を捕まえるとかの船だよ〜。私はレグナントを作る技師にょ!ほら海に着水させてもらったでしょ!」

「え!乗ってきたやつって・・・・神翔船(しんしょうせん)!?」

「にょ?こっちでは神翔船って言うにょん? そう、あれあれ〜」


悠真は理解できず、苦笑いをしてしまう。

彼女を知らない人は誰もがそうなるだろう。

見た目は元気なただの女の子だから。


「作ったって、製造要員(せいぞうよういん)ってことだよね?」

「にょ?もう何言ってるにょ?あの船【エルディア】は私の設計にょん!」

「設計!もう、面白い子だな、冗談・・・」

「ああぁぁ〜信じてないにょん!こう見えて私はアルスティア共和国に属する【エリーテレル国】セイント級技師だにょんっ!」

「・・・・・・」

「なんで固まったにょ!?」

「信じられん・・・・てか、船を作った技師ってこと以外わからん・・・」

「とりあえず、船を作ったってことを信じるにょ!」

「あぁ、君がすごい奴なんだってことはわかった・・・」

「ここにも船はあるの?」

「無いな・・・。ここの国の人間は御伽話(おとぎばなし)でしか知らないんだ・・・」

「にょ!じゃあ・・・乗ってみるにょ?」


その言葉に悠真は今日一番の反応を見せた。


「でもエルディア号は遠いから、ここに停めたレグナント(神翔船)でも構わない?」

「あの小さいのはレグナントって言うんだ。」

「うーん、レグナントはここでいう神翔船の事、大きいのも同じ【レグナント】の【エルディア級エルディア号】!」

「そ、そうか・・・なんでもいいや!本当に乗せてくれるのか!?」

「もちろん良いにょ!でも今動力の吸収中だから明日の昼頃かなぁ」


悠真の期待は一気に奈落へ落ちてゆく・・・・・・・

そう、明日の朝には大樹の街へ帰るのだ。


「そうか昼か。ありがとう、俺たち明日の朝にはここを立つんだ」

「あ、そうなにょん・・・・。ねえ、大樹の街って所まで一緒に行ってもいい?レグナント(神翔船)で送るにょん!」

「本当に!!」

「うん!レグナントで言ったら昼に出ても十分早いにょん!」


悠真はポピンの手を取りブンブン振る!!


「ありがとうポピンさん!楽しみだ!やばい!きっと寝れない!」

「う、うんなんて事ないよ悠真・・・そんなに振ったら腕が飛んでくにょ・・・」


少し離れたところから春の殺気が周りの人々を恐怖へ追いやっていた・・・



◇◇◇◇◇◇



「おはようございます、悠真様」

「おはよう春!良い天気だな!!!」

「大興奮ですね・・・」

「当たり前だよ!神翔船(レグナント)に乗れるんだぞ!春も楽しみだろっ?!」

「ええまぁ、楽しみではありますが・・・」

「御伽話の船に乗れるんだ!すげぇ!!ほとんど寝てないよ!嬉しくって!」

「ははは・・・子供じゃないんですから」

「良いのいいの!さぁ朝ごはん食べようぜ!」

「それはそうと昨日はポピンさんと仲良く話してらっしゃいましたね・・・」


朝からめんどくさい気配を感じた悠真はさっさと食堂へ向かった。

こんなに清々しい朝は何年ぶりだろうか!寝てないけど!


「みんなよくきたにょ!早速出発するにょ!!」

「皆様初めまして。一緒に参ります、アルスティア国 レゾナス騎士団

第二小隊 副隊長 パラディン級 メティラ カレストラと申します。」


肩書きが長い・・・・・


「よろしくメティラさん、瑞璃 悠真と他です。」

『他ってなんだよ!』

「ははは・・・さぁみんな乗るにょ!」


数段の階段を登って扉をあけると中は比較的何もなく、六人が乗れるようになっていた。

そして、中央の天井を突き破って大きな石が、ガラスの中に備わっている。

一番前の席にポピン、その後ろにメティラと悠真、その後ろに膨れっ面

の春(もちろん悠真の隣ではないからである)と功、一番後ろに蒼真が座った。


「どうやって動かすんだ!??」

「これをはめ込むだけにょん!」

「ただの石じゃねーかっ!?」


ポピンが見せてきたのは八角形の手のひらぐらいの大きさの石だった。

その石をポピンの前にある台の同じ形をした枠にはめこむ。

八角系の石が青く光り、天井の石まで線を敷く。

そして天井の石に線がたどり着いた途端、そのいしが青白い光を放ち、今度は

船全体に蒼い線が伸びていく。

前のガラスには何か術印が浮かび上がった。

音はなにもしない。


「さぁ!行きますよぉ〜!」


ポピンが八角形の石の周りにあるこれまた石のどれかを触った


ブゥゥゥン


船が上昇する・・・・ゆっくりと


「しゅっぱーつ!!」


ポピンがまた違う石を触ると船が前に進み出した。


「すごーいっ!飛んでますよ!悠真様!!」

「あぁ!すごいな春! 俺たち飛んでるよ!」

「もう少し上昇するにょん!!」


初めてみる空からの景色。興奮しない者はいない。

通り慣れている道を上から見ているだけかもしれない。

だが全く違う世界を見ているように感じていた。


「怖いよぉ・・・まだぁ・・・・・」


瑞璃 蒼真 32歳 女性と見間違えるほど中性的な美貌(びぼう)をもつ、上級神響術継承家 瑞璃の長男である・・・・


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