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神々の残響  作者: 蒼凪 悠
フェルナ国編

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第六十一話 意外な真実

光が消え、功は呆然としていた。

狼は功に寄り添い尻尾を振り続けている。


「功!」

「大丈夫にょ?」

「あぁ、神様にあったよ。声だけだが」

「神様!やっと声が聞こえたの?」

「あぁ。猿田彦様だった」

「猿田彦様って、導きの神様の?」

「そうだな」

「すごいじゃない!功は猿田彦様の魂を持って生まれたって事でしょ?」

「それはすごいな」


皇国側の名前で猿田彦神。

共和国のメティラ達三人は誰のことか分からなかった。


「猿田彦様とは、どのような神様なのだ?」

「昔、偉い神様が人間界に降りようとした時に、迷わないようにって道案内した神様だよ」

「進むべき道を示してくれる偉大な神様だとされている。」

「そっちにはオルディって名前の神様はいないの?サイカス様が神話で言ってたじゃない」

「オルディ…オルディス神様か!」

「そうにょ…道を照らす神様にょ…」

「それでなんて言われたんだ?」

「遅かったな、我が一番最後ではないか。って」

「はぁ?なんだそれ」

「俺にも分からん」

「それから?」

「狼は眷属として仕えさせる。祠の事を分かっていないから勉強しろ」


あまりの内容の薄さに皆が黙ってしまった。

これといった情報は確かにもらえなかったのだが。


「それだけなのか?」

「あぁ…」

「ここの場所については何も言われなかったのか?」

「なぜ黒の神霊石が祠の中に無いのですか?と聞いたさ」

「なんて言われたの?」

「茂みに隠れてたからだって。冗談だと言っていたが」

「祠の事を分かっていないか」

「確かに深く考えずに今までやってきたにょ」

「あぁ、事件が起きる所に祠があっただけで済ませていたな」

「探すだけではなく、理解しなきゃだめねぇ」


皆は黒曜石を数個回収し、街に戻る事にした。

仲良しの神獣たちは、新たな仲間に挨拶をしているように輪になっていた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「これで全員の守護神と言いますか、どの神様の魂を持って産まれたのかがわかりましたのね」

「そうですね。私達と皇国側での名前の違いを認識しないといけませんが」

「それはラティスちゃんがやってちょうだい。」

「はい、分かっています」

「功が導きの神オルディス神の魂を持っているとは驚きですわ」

「それはどういうことでございますか、セイラ様」

「だって、そんな風に見えないですもの!」

「セイラ様まで酷い…確かに猿田彦様も適当な感じでしたけども!」


その後祠について、どこにあるのかだけではなく【なぜあるのか】【いつからあるのか】等、徹底的に調べるようセイラに進言した。

セイラは二つ返事でそれらを約束してくれ、すぐに皇国側にも依頼すると言ってくれた。


「ではこの際だから、それぞれの神様を照らし合わせようと思うのだが」

「あぁ、構わないぜ」

「分からないのはポピンとユズハだけだよね?」

「そうにょ。悠真と春は【天照大御神様】が【アルシア様】」

「私と蒼真殿が【月詠様】で共和国では【セレノス様】」

「で、俺が【猿田彦様】が…何だった?」

「オルディス様ですわよ、功」

「はい、ごめんなさい」

「ユズハは少彦名様だったわよね」

「そうね、あの時春ちゃんがそう言って話してたわ」

「少彦名様はユズハそのものだな、こっちでは薬の神様だ」

「それでは共和国のソフィオス様では無いか?」

「サイカス様の神話もそう言ってた」

「ソフィオス様しか当てはまらないにょ。小さい神にょ」

「あ、じゃあそうだ。少彦名様もすごく小さい神様だよ」

「残るはポピンだが…」

「そうにょ。私だけあやふやにょ。名前も教えてくれなかったし、魂の子とかも言ってくれなかったにょ」

「でも神話ではイシュって神様がいたよ」

「イシュ…」

「その神様がイシュ様?」

「別だったりしてな」

「にょ!?こんなすごい加護をくれたのに違うとかあるにょ?」


ポピンの加護【神との繋がり(神眼)】は第三廃坑でポピンが声を聞き、授かったものだった。

その時は名も伝えず、皆を助けて眷属である白蛇を授けてから去ったのだ。


「それに、はくも授けてくれたもんね」

「シュ!シュシュッ シュシュシュシュー!」

「え」

「どうしたのポピン?」

「ほんと?はく、それはほんとにょ?」

「シュッ!」

「なんでもっと早く言ってくれなかったにょ」

「シュゥ…」

「どうしたのだ?はくは何と言っているのだ?」

「私が聞いた声の神様は私のお父さんじゃないって言ってるにょ」


『ええぇぇぇ…』


「じゃ、じゃぁはくは何で私の眷属になったにょ?!」

「シュ!シュシュ!シュッシュシュシュッ!」

「にょ…それはそれで嬉しいにょ」

「なんだって?」

「私が神様と共鳴して声を聞けたから。そして助けてくれたから一緒に行きたかったと言ってるにょ」

「悠真と違ってはくはいい子!」

「何で俺と比べるんだよ!」

「じゃあ、あの神様はいったい誰にょ?」

「シュシュシュッ!」

金山彦神(かなやまひこのかみ)様?なんの神様にょ?」

「金山彦様ったら、鉱物や鍛冶の神様だ!すげぇなポピン!」

「なら私達のヴォルガン神と言うことか。」

「神霊石を研究してるポピンにピッタリじゃない!」

「にょ!!すご〜く嬉しいけど、功に負けた気分で嫌にょ」

「いいだろ順番なんてっ!」

「私が持って産まれたのはどの神様の魂にょ」


はくはポピンの肩に乗り、慰めるように顔を擦り付ける。

ポピンもその少しひんやりとするはくの肌に触れ、笑みをこぼした。


「でもすごいのは本当の事だ。別の神様の加護をもらったんだから」

「そうね、すごい事よポピンちゃん」

「ありがとうみんな。私は目的がまたひとつできたにょ」

「そうだな。慌てずにゆっくり行こうじゃないか」

「では、今日は解散だな」

「あ、功。とりあえず狼をお風呂に入れてあげて」

「ガル!?」

「そうだな、ちょっと獣臭いよな」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


今日はフェルナ国王の誕生祭が行われ、街中が活気付いていた。

屋台も沢山並んだ街の中央広場では、輪になって民が踊っていた。

浴びるように酒を飲んでいる者、大食いを競っている者、踊り狂っている者。皆が楽しい時間を過ごしていた。


「あ、綺麗になってる!」

「昨日一時間かけて洗ってやったのさ!」

「お、面倒くさがりの功が偉いにょ!」

「そりゃ俺の眷属だからな!」

「名前は?」

「よくぞ聞いてくれた春!こいつの名前は【黒牙(こくが)だ!」

「なんか悪者の名前にょ」

「ちょっとねぇ」

「な、何だよ!もう決めたんだからいいんだよっ!なっ、黒牙!」

「ガウッ!」

「ははは、そいつも納得してるならそれでいいんじゃないか」

「では私達も食べ歩きをしようではないかっ!」

「あ、待ってラティ!私も行く、ユズハもポピンも行こっ!?」

「今日もがっつり食べるにょ!」

「ふふふ、食べ過ぎよポピンちゃん」


女性四人が屋台を次から次へと渡り歩く後ろをついて行く悠真と功。

悠真は時折こちらを振り返り、手を振る春が愛おしかった。

何十件と並んだ屋台を隅々まで見回り、食べては休憩しまた食べる。

そんな事を繰り返して時間は過ぎ去った。


「楽しかったね!」

「やっぱりバーグは美味しいにょ!」

「私は野菜と果物のジュースと言うのが一番好きだわぁ!」

「ぬぬ、さすが薬学者。葉っぱ系が好きなにょ」

「もう気は済んだか?帰るぞー」


宿に帰るとロビーで待ち構えていたのは数名の騎士に囲まれたセイラと初めてみる老人だった。

この宿はフェルナ滞在中、丸ごと一軒を借りているので関係者以外誰もいない。

堂々といつもの仁王立ちで皆を待ち構えていた。


「お、お姉様っ!?」

「メティラちゃんおかえりなさい」

「た、ただいま戻りました」

「お姉様どうされたのですか?」

「春ちゃんもお帰りなさい」

「ただいま戻りました…」

「別に怒っていませんわよ、さぁ座って」

「どうされました、セイラ様」

「紹介しますわ。こちらは国立考古学研究所の所長でらっしゃる【ケドラ】さんです」

「フォッフォッ!皇国の皆さんとユズハ殿は初めましてじゃ、ファミム・ケドラと申しますじゃ」

「ケドラさん、お久しぶりでございます」

「メティラ王姫様、お久しぶりですじゃ。大きくなられましたなぁ!」

「最後にお会いしてから十年ほどになりましょうか」

「そんなに経ちますかの、時間が経つのは早いものですじゃ」

「では早速話を聞いてほしいのですわ。ケドラさんお願いします」


頷いたケドラは、手に丸めて持っていた一枚の大きな紙を机に広げた。

古めかしい、所々に虫食いのような穴も見受けられる地図だった。


「これは城の図書庫で見つけた地図ですじゃ。おそらく五百年は前のものか…」

「五百年!それは貴重なものにょ!」

「そうですじゃ天機師殿、これは当然ながらアルスティア共和国の地図なのじゃが」

「うわぁ、本当に三日月が反転した形してるんだ!」

「フォッフォッ、第四王姫様その通りですじゃ。そしてこの記された丸の位置を見てほしいのじゃ」

「これは何の印ですか?」

「悠真王子、これをこの地図の上に重ねるのを手伝ってくれるかのぉ」


王子と呼ばれてピンとこない悠真だったが、春は横でクスクス笑っている。

セイラはそんな悠真をこまった顔で見ていた。

ケドラに渡された紙の両端を持って地図の上に重ねる。

薄く透けたその紙には赤い丸が書かれ、地図の印と重なっていた。


「アルスティアの東側とメアナ国とフェルナ国の南東」

「これってあれかっ!?」

「祠の場所なのですか!?」

「はっきりそうじゃとは言えませぬ。現在の地図とはやはり違いがあるので」

「でもほとんど一致している」

「そう考えられますな。」

「一、二、三…六箇所もあるよ!?」

「じゃぁ、皇国を合わせたら最低でも7箇所はあるってことか?」

「もっとあるような気がしてきた」

「悠真王子の言うとおりじゃとワシも考えておるのじゃよ」

「これはこの時代のものじゃて。これが祠の場所であるなら、五百年の間に新しい祠が建てられてもおかしくはないのじゃ」

「…確かに」

「とりあえず、この場所を騎士団に探索させますわ」

「よろしくお願いします、セイラ様」


□□□□□ラティの日記□□□□□

◯月×日


ポピンが勧めてくれたバーグとやらは美味しかった!

あのタレは一体どうやって作るのか。

お城に帰ったら料理長にお願いしよう!

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