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神々の残響  作者: 蒼凪 悠
フェルナ国編

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第五十九話 フェルナ国

「ガハハハ!どうだ悠真、功!俺もまだまだいけるだろぅ!」

「…はい」

「さすがガンツ殿!あの蛙を一刀両断で終わらせるとは!」

「そうだろ、メティラ嬢!まぁ、大した事なかったがな!ガハハハ!」

「恐ろしい人だな」

「あぁ、かなわねぇ…」


エクシード級の力を見せつけられ、まだまだ鍛錬が足らないと感じる二人であった。

そしていつものように退治された蛙がそれ以上悪霊になる事もなく、黒い霧も消え去っていた。

騎士団は現場検証を始め、悠真達はガンツとメティラに状況説明をしていた。


「強くはなかったが、あの蛙はなんだったんだ?」

「わからないです。突然地中から現れて」

「しかしあの霧は間違いなく黒の神霊石から発せられる霧だったな」

「あぁ、蛙のイボから出た霧が地中に吸い込まれ、無数の穢人が地中から現れた」

「んじゃぁ死体がその黒い霧にあたり、穢人になったと言う事だな?」

「過去の経験から言うとそうなります」

「ここはなんの墓場なんだよメティ」

「ここは…罪人の墓場だ」

「罪人?」

「あぁ、罪を犯し牢獄へ送られて死んでいった者達が埋葬される墓場だ」

「なら怨みは十分ありそうだな」

「穢人になるには十分な要素があるって事か」

「そうなるな。特に牢獄で死んでいく奴らは殺人などの一級犯罪者だからな」

「俺が騎士時代に捕まえた奴も眠っている場所か」

「あの蛙は黒の神霊石のような力を持ってたんだろうな」


『……』


皆が黙り込み真っ二つになった蛙の亡骸を見つめる。

騎士達が恐る恐る蛙に近づきながら検証を行なっていた。


「メティラ様!」

「ん、どうした!?」

「こ、これを!」


蛙を検証していた一人の騎士が慌てている。

皆はその騎士の方へ向かい、指差す所を見る。


「黒の神霊石じゃないか!?」

「ああ、それっぽいな」

「ほぅ、これが例の黒の神霊石(レゾナイト)ってやつか」

「しかし悠真、今までより小振りではないか?」

「そうだな石ってより【欠片】だな」

「なんだ?偶然にも黒の神霊石の欠片があって、それを蛙が飲み込んだらああなったってか?」

「可能性はあるぞ功」

「可能性って、それはそれで大問題だぞ」

「確かにそうだな。大問題なのかもしれない」

「今まで砕いてきた破片が残ってたりすると言うことか?」

「そんなものシーカーズ全員を駆り出しても探すのは不可能だぞ。」

「えぇ…」


その後蛙は灰になるまで焼却され、墓場は緑豊かな神聖なる場として再整備されたが、一般人の立ち入りは禁止された。

取り出された神霊石の破片は厳重に結界が貼られ、国家特別技師団の元へ送られる事となった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「なんでそんなに泥まみれなの!?コンも汚い!」

「あはは…ちょっと冒険に行ってきまして」

「きゅうぅ…」

「冒険て何!?」

「えーっと、功とだな、お墓参りに」

「はぁ?冒険しにお墓参り?」

「あはははは」

「ここは皇国じゃないんだから、悠真に関係するお墓なんてないでしょ!」

「はい」

「じゃぁ何してきたの!?」

「た、鍛錬の為にシーカーズの依頼受けて蛙退治に行ってきたのさ!」

「蛙!?」

「そう、蛙!小さい蛙がいっぱい繁殖したらしくてさ!なぁ、コン!」

「きゅ!」

「そう、なら仕方ないね…」


家に帰った悠真は早速、先に帰っていた春に尋問されていた。

なんの連絡もなしに出かけるはいいが、ドロドロになって帰ってきて怒られている最中だ。

さっさと風呂へ行けと春に(けしか)けられ、うまく逃れられたと思った所で声が響いた。


「悠真!黒の神霊石の欠片受け取ったにょ!」

「あ…」

「きゅぅ…」

「神霊石?黒?」

「そうにょ春!悠真達がおっきな蛙を倒して黒の神霊石の欠片を回収してきてくれたにょ!」

「へぇ。おっきな蛙退治ねぇ…」

「あは!あははは…おっきなだったかなぁコン…」

「きゅ…きゅうぅぅ…」

「…旦那様、コンちゃん〜。私が洗ってあげるわぁ…」

「い、いえ。自分たちで出来ます」

「遠慮はいらないわぁ。妻として当然の責務だわぁ…」

「…はぃ」

「ポピンちょぉっと待っててねぇ。いくわよトウ!」

「くぅぅ!」


ポピンは訳がわからなかったが、自分が余計なことを言った事だけは春の態度でわかった。

大人しく椅子に座りお茶を飲んで待っていようと決めたのだった。


「ぎゃーっ!!」

「きゅうっ!!」


十分ほどして笑顔の春とトウに続いて、上半身が真っ赤な悠真と、びしょ濡れで普段の半分以下のサイズになったかのように見えるコンが入ってきた。


「ど、どれほどの力で擦られたにょ」

「お待たせポピン。で、黒の神霊石がどうしたの?」

「にょ!持ち帰ってくれた欠片に残響は残ってなかったにょ」

「じゃぁ、もう安全って事か?イテテテッ」

「きゅう」

「うん、大丈夫にょ。そして神との繋がり(神眼)で見てみたにょ」

「おぉ、何がわかったんだ?」

「無の神霊石が水晶であるように、黒の神霊石の宝玉は」

「宝玉は!?」

「黒曜石だったにょ!」

「黒曜石?あのナイフとかに使う黒い石?」

「そうにょ!黒曜石に残響が蓄積したのが黒の神霊石にょ!」

「なら結構場所が特定できるんじゃないか?」

「そうにょ!火山が噴火してマグマが急激に冷やされる場所に多いにょ!」

「共和国ならどのあたりなんだ?」

「フェルナ国にょ!」

「あら、丁度いいじゃない悠真」

「何が?」

「明後日から悠真も行かなきゃ行けない公務の場所が丁度フェルナ国よ」

「公務はなしで行けませんか?」

「それはセイラ様に行ってね」

「…」

「フェルナ国ってどんな所なの?」

「今は共和国のお米のほとんどを生産している農業国家にょ!」

「へぇ!農業の国!!」

「にょ?春嬉しそうにょ」

「私の生まれた街も農業の街だったの!」

「ならきっと好きな国にょ!秋には黄金色に輝く大地がずーっと広がってるにょ!」

「うわぁ!ワクワクする!」

「昔は違ったのか?」

「国の南東には火山が多くて、何百年も前はよく噴火していたらしいにょ」

「なるほどな、今は噴火は落ち着いているんだな?」

「うん、私が調べた限りでは二百年は噴火してないにょ」

「んじゃ!ご飯食べて帰るにょ!」

「自分家で食え!」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「あら悠真!なかなか似合ってますわよ!」

「ありがとうございますセイラ様…」

「どうしたの?気分でも悪いの?」

「この首元が閉まるのが苦手で」

「そうねぇ、皇国の服装って襟ないですわね。苦手なのも分かりますわ」

「それではこの服はやめて」

「ダメですわよ」

「はい」

「春も何か言ってあげなさい、あなたはちゃんとドレスを着こなしているのにねぇ」

「本当ですわ、セイラお姉様。我慢が足りませんわね、悠真は」

「お、お姉様!あ痛っ!」

「ラティスちゃん!ドレスを着ている時はもっとお上品になさいと何回言えばいいのですか?」

「ごめんなさい」

「大丈夫ですか、ラティスお姉様!」

「春、大丈夫だ……ですわ」


『おほほほほほ』


 ―なんだ?この茶番劇は―


悠真も含めた皇族は、フェルナ国王の誕生式典に参加する為にやって来た。

苦しいのが嫌で皇室専用機の中で着替えた悠真。

今すぐにでも逃亡したい気分だったが立場は第四王姫の夫である為、こういった公務にも参加する事になっていた。

今日一日はずっとこの姿で作り笑いをしなければならない。

ヴォルテクス・レゾナのメンバーも帯同しているので、悠真の姿を見て大笑いしていた。


「さぁ面白いものも見たし、俺たちはしばらく自由行動だな」

「そうねぇ!ここにも薬草がいっぱいあるの!」

「ユズハは薬草の事しか考えてないにょ!」

「あら、ポピンだってそうでしょ?」

「にょ」

「二人とも好きにしてくれ。俺は街をぶらぶらしてくる!」

「待つにょ功!私たちもいくにょ!」

「じゃぁ私もいくわぁ」


大小様々な木造の家屋が所狭しと並び、舗装はされず押し固められた道。

街の中央には商店が沢山あった。


「にょぉ!この焼き菓子はなんにょ!?」

「いらっしゃい!それは米粉を牛の乳と砂糖で溶いて焼いたもに10種類の果物とシロップをかけたものよ」

「お…美味しそうにょ…」

「じゃぁ食えよ!」

「お金…レグナントにおいて来たにょ」

「馬鹿か」

「美味しそうにょ…食べたいにょ…ねぇユズハも食べたいにょ?」

「美味しそうね!でも私もお金おいて来ちゃった」


二人に見つめられる功。

彼の役回りはいつもこうだった。


「わかったよ!奢ればいいんだろっ!」

「さすが功にょ!」

「ふふ、ありがとう功。ご馳走様!」

「じゃぁお姉さん!それとその横のとこれを…ユズハはどれだけ食べるにょ?」

「そうねぇ、二個かしら?」

「わかったにょ!お姉さん、今言ったのを五個づつ買うにょ!」

「おい!五個づつってどれだけ食べるんだよ!」

「私が三個づつとユズハが二個づつにょ。あ、功も欲しいにょ?」

「…いらない」


その後もポピンとユズハは功に奢ってもらいながら商店を全部見終わり、街の入り口にやって来た。

門を抜けるとそこは見渡す限りの田んぼだった。

今年の収穫は終わり、藁を束ねてあちらこちらに干され、その合間を子供達が走り回っている。


「空から見たら広いだけだったが…これはすごいな」

「ここは本当に農業だけで成り立っている国にょ」

「ほんと、すごいわね。田んぼと畑しか見えないわねぇ」


水平線の向こうまで続く田んぼに沢山の赤蜻蛉が舞っていた。

夕日に照らされ赤く染まるのどかな風景に三人はしばらく見惚れていた。


「はぁ。いつになったら終わるんだよ…」

「黙って笑顔を絶やさないっ!」

「春…お前はすごいよ」

「でしょ?やっと春ちゃんの偉大さに気付いたか!」

「はい。その偉大なる春ちゃんに後は任せて俺は…」

「んな事できるわけないでしょ!後でセイラ様とメティに怒られるよ!」

「はい…所で第二王姫様って見ないな」

「あぁ、第二王姫様は病気でずっと寝込んでらっしゃるみたい。私もまだ会ったことは無いよ」

「ふーん…じゃあそういう事で…」

「何がそういう事よ!じっと座ってなさい!」

「はい…」


□□□□□ラティの日記□□□□□

◯月×日


ドレスは何度着ても歩きにくい。

小さい頃は気にもならなかったのに。

所で三人はどこへ行ったのか。

まさか食べ歩きとかしてるんじゃ無いだろうな。

私もそっちがいいな。

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