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神々の残響  作者: 蒼凪 悠
アルスティア国

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第四十五話 専用機の実力

「おお!いいじゃないか!」

「そうでしょ!結構こだわったの!」

「街のみんなが入りやすいように、窓も大きく仲が見やすくしたのだ!」

「なぜメティが自慢げに言う?」

「いやつい興奮してだな」

「薬ももう並んでるのか?いつの間に…」

「実はユウコさんが送ってくれたのよ」

「なるほど、その手があるのか!」

「頼るのは最初だけ、あとは自分でやっていくわ」

「でも、頼れるのなら頼ったほうがユウコさんも喜ぶんじゃないっ!」

「そうかもね春。さ、上も見てほしい」

「すげー!メアナの研究室よりすごくないか?」

「自分の理想を伝えたら、大工さんが完璧に仕上げてくれて。こんなわずかな時間で」

「すごいよなぁ」

「道具類も最新の物をセイラ様が導入してくださったの。この釜の火なんて全自動なんだって」

「アルスティアすごいな」


感心している所へポピンがやってきた。

目の下には隈が出来て、ここ数日の苦労が目に浮かんだ。


「みんな出来たにょ…」

「すごいでしょ薬局!三日でできちゃった!」

「薬局もすごいけど、地下レグナントもできたにょ」

「ええぇ!!」

「みんな地下に来るにょ…もうダメにょ…」


『ポピーン!!』


ポピンを功におんぶさせて、皆は地下に降りた。

先日まで薄暗かった駅は明々と光が照らされていた。

ホームの所々、天井からぶら下がったガラス玉が赤から青に変わった。


「なんか色変わったよ!」

「あれはガラス玉にレゾナスを吸収させた、簡単な宝玉みたいな物にょ。レグナントが近づくと青色に変わるにょ」

「何それ!すごい!」

「名付けて信号にょ!これを見ながら進めば、ぶつかる事がないにょ」

「そんな仕組みまで考えてたの?」

「そうにょ…」

「さすがポピンだな!」


ゴゴォォォオ―――


トンネルの向こうから轟音が聞こえてきた。

その音がだんだん近づいてくるのが良く分かる。


「テスト走行機がきたにょ」


真っ暗なトンネルの向こうから光が見えてきた。

速度をだんだん落とし、トンネル用レグナントは駅の中央に停車した。

開いたドアから現れたのはセイラだった。


「ポピン!成功ね!よくやったわ!」

「セイラ様、ありがとうにょ…おやすみ…」

「あらあら、あれからずっと寝てなかったみたいだし、寝かせてあげましょうか」

「セイラ様!薬局も完成しました、ありがとうございました」

「いいのよユズハ、これからもこちらにいる時は研究もお願いね」

「もちろんでございます」

「さぁ、皆も乗ってみて」


レグナントは前後、どちらでも操作ができる仕組みで、操縦者が場所を先ほどと反対側に座り、再び動き出した。

アルスティア城まで徒歩二十分かかったのがわずか五分でついた。


「これは便利になるわ。別の高さにもトンネルを掘って国民の移動手段にするのもいいわね」

「それはいい考えです、お姉様」


城の地下にある駅から厳重に管理された昇降機で上に行くと、そこはもう城の中だった。

今乗った昇降機は皇族関係者専用で、他の者が利用するときは別の昇降機を使用するらしい。

セイラに乗せられるがまま城に来てしまったが、用事がないから帰ろうとセイラに声をかけようとした時、目を覚ましたポピンが皆を誘導した。

そこは皇族専用機が駐機してある格納庫。

その端に、ピカピカに磨き上げられたレグナント【アストレア号】が駐機されていた。


「こっちも完成にょ…」


そういってポピンは未だ功におんぶされたまま眠りについた。

皆はアストレア号の近くまで歩み、機体を見上げる。


『かっこいい…』


テスト走行中の地下用レグナントは再び悠真達の家の下へ向かった。

そのままポピンを地下研究室のポピン部屋で寝かし、四階の居間へ向かった。


「さて、皇国へ戻ろうか」

「何しに戻るの?」

「護符買いに」

「それだけ?」

「いいじゃねーかっ!」

「それに春とメティラは陽菜様の所へも行ったほうがいい」

「確かにそうだな」

「そうだね」

「薬局はユズハがいない時はどうなるんだ?」

「しばらくは研究院の方が応援に来てくれるって。早いうちに人を雇うか、気の知れたメアナ分院の子を呼ぶわ」

「了解した。メティラは城に戻らなくていいのか?」

「うむ、大丈夫だ」

「じゃぁ、ポピンが復活したら皇国行きの話を詰めよう」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「じゃぁ、新たな挑戦を頑張ってくるのよ、ポピン!」

「はいセイラ様!必ず渡って見せます!」


悠真達ヴォルテクス・レゾナ専用レグナント【アストレア号】は皆に見送られて出発した。

十人乗りで仮眠室と荷物庫を備え、今回は四人の技師が同行した。

このまま神巫海(かんなぎかい)を初めてエルディア号以外で渡るのだ。

その為のデータを取る為の要因である。


「もしこのサイズのレグナントで渡れるようになれば、大陸間の移動はもっと頻繁に行えるにょ!」

「期待してます!先生!」

「きっと大丈夫です!」


ポピンの忠実なる部下達はキラキラした目でポピンを見ながら言った。

アストレア号は神巫海上に出た。


「じゃぁ、ぶっ飛ばすから、みんな席にちゃんとついてベルトをするにょ」

「どれぐらいの速さなんだ?」

「計算上はエルディア号の1.5倍にょ!」

「なんかようわからんが早そうだ!」

「機体も小さいし、すごく早く感じるはずにょ!」

「なんかちょっと怖いし!大丈夫なのポピン!?」

「いっくよぉぉ〜!!」


ポピンの張り切った声と共に無数の術印が船体に浮かび上がる。

蒼の神霊石から加工された【神霊核】が輝きを増す。

窓から見える景色がどんどん過ぎ去り、高速で移動していることがよくわかった。

あっという間に嵐の中へ、間もなく突入だ。

あちこちで稲光が起こり、竜巻も天高く舞い昇る。


「ここからにょ!最大速度出していくにょ!」


ガゴガコガコッ!!

ギシッ!


「ちょ!ポピン大丈夫なのか!?」

「悠真!怖い!」

「セ…セレノス神様…我らにご加護を…」

「むむむ…ちょっとやばいにょ…」


『ギャーッ!!!』


最大速度で巡航していたアストレア号は竜巻の真横を通りすぎた。

竜巻の渦に煽られ、機体は二転、三転と回った。

雷が直撃し、術印も一瞬消える。

しかし、ポピンは楽しそうだ。


「にょ〜っ!危なかったにょ!速度ですぎてコントロールできなかったにょ!あははは」

「あははじゃねぇわ!死ぬかと思ったじゃねぇかっ!」

「功、大丈夫にょ!その時は皆、道連れにょ!」

「嫌だよっ!」


春とメティラは白目を向いて気絶し、悠真は神獣達と一緒に震えていた。

アストレア号は少し速度を落とし、残り半分程度の嵐を通り抜けた。追加で二回転だけして。


「成功にょーっ!!」

「お、おめでとうございます!先生!」

「さすが先生です!」


喜んでいたのは研究者達だけだった。

安定飛行に戻った機体は先ほどとは別物のようにスムーズに、揺れることもなく皇国に到着した。


「死ぬかと本当に思った…」

「ちょっとこれは危険だ…」

「絶叫神翔船」

「確かに怖かったわねぇ」

「俺はもうのらねぇぞっ!」

「もちろん!帰りもこれにょ!」


『……』


ポピンと部下は機体の確認を行い始めた。


「やぁ、おかえりみんなぁ!」

「あれ、蒼真様?」


皇国の駐機場には蒼真(そうま)の姿があった。

新しいレグナントと神獣、ユズハを見て蒼真は興奮していた。


「丁度ね、皇都で仕事があってきてたんだよぉ!」

「なんか兄貴久しぶりだな!」

「悠真元気だったかい!」


抱きついて来ようとする蒼真を押し返しながら、初めての仲間を紹介する。

弟大好きは変わっていなかった。


「兄貴、新しい仲間のユズハだ。薬草学者でアルスティアの家の前で薬局を開くことになった」

「どうもぉ!悠真の兄の蒼真です!よろしくねユズハさん!」

「よろしくお願いします。」

「それでこの可愛い子達は?」

「蒼真殿!ユズハの眷属の白兎【セス】と私の眷属、白梟の【ウル】だ!よろしく頼む!」

「…」

「どうした兄貴?」

「ん?いや、みんな可愛いねぇ!よろしくねぇセス!ウル!」


神獣達はそれぞれ鳴き声をあげ、蒼真に挨拶をする。

その場にいた護衛衆や皇宮関係者も初めて見るレグナント(神翔船)に興味深々だった。


「さぁ、みんなはどうするの?家に来るかい?」

「そうだな、でもまずは皇王様に挨拶してからだな」

「いや、まだ皇王様、アルスティアだよぉ」


最近皇王は、時間が開けばアルスティアに逃亡しているようだ。

ユズハは初めて見る瑞穂皇国がメアナに似ているので周りをキョロキョロ見回している。


「ユズハ、ポピン達もまだかかりそうだし街にでも行く?」

「ぜひお願い!」

「春、俺たちは護符を貰いに行ってくるから、任せた」

「じゃぁ、僕はまだ仕事があるから、悪いけど帰る時に声かけてくれる?」

「わかったよ兄貴」


それぞれ分かれて目的の場所へ。

悠真と功は綴神(つづりかみ)神社へ向かった。


「もっと強力な護符ってないもんかね」

「さぁな。今のが一番じゃないのか?」

「でも、こないだの戦闘では物足りなかった」

「鍛錬が足らないんじゃないか?」

「それ怒られたのはお前だろ」


二人は鳥居をくぐり、奥へ進む。

巫女達が挨拶をしてくれる。


「これはこれは、悠真殿に功殿」

「あぁ、八十吉さんご無沙汰しています」

「おや、お二人ともかなり揉まれましたかの?」

「わかりますか?」

「えぇ、残響が以前より増えてらっしゃる」

「確かに、色々ありました…」


八十吉は笑いながら奥へ一緒に歩き出した。


「今日も護符ですかな?」

「ええ。八十吉さん。今の護符より強力なものはないんですか?」

「今より強力なもの…」

「なければ良いのですが、先日もう少し強力な力があればと思う時がありまして」

「なるほど…調べてみますよ」

「ありがとうございます、八十吉さん」


二人はいつもの護符を四束ずつ受け取り、街中へ向かった。

春とメティラとユズハは楽しそうに屋台を眺めては食べ物を頬張っていた。

ポピン達の確認が終わり、再びアストレア号に蒼真も乗り込む。

部下の四人は皇宮にあるアルスティア国関係者用の宿泊施設に滞在する。帰国時まで自由行動らしい。


「さあ、二泊ぐらいしたら帰るにょ!」

「早いな!」

「帰りのデータを早いうちに取りたいにょ!」

「また乗るのか…」

「当たり前にょ!」

「先に帰ってまた来てくれたらいいんだぞ…」

「だめにょ!かえったら薬局の開店もしなきゃなにょ!」

「あ、そうねぇ」 

「私、今回はちょっと秋花に教える事があるからエルディア号で戻ろうかなぁ」

「だめにょ」


今回は皇国ではゆっくりさせてもらえず、すぐ戻る事になったヴォルテクス・レゾナであった。



□□□□□ラティの日記□□□□□

◯月×日


アストレア号かっこいいんだか

あの回転は許して欲しい。

あと、ちょっと椅子が硬いから要交換。

あと、仮眠室が油臭いのはなぜ?

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