第三十話 神眼
「ポピンごめんなさいね、ついつい」
「いえ、別に・・・」
「では時間も無くなってきましたので・・・コン!コンも来てください。」
ボンッ!
悠真の無の神霊石に引っ込んでいたコンが陽菜の前に向かい。しろと並ぶ。
皆はその不思議な光景を後ろから眺めいていた。
「あなた達には重大な役目がある事はわかりますね。」
「キュ!」 「シュゥ!」
「よろしい。ではこの先も皆をよろしく頼みますよ。」
二匹?とも胸を張って(まかしておけ!)と言わんばかりの態度だ。
初対面のコンとしろはお互いを見つめ合って何か意思疎通でもしているのだろうか。
「それにしても・・・・コンって。よくある事ですけど私、コンって鳴く狐なんて知りませんわよ・・・」
『面目ないです・・・』
名付け親の悠真とポピンは気まずかった・・・。
「最後に・・・・」
幾百年かすぎた頃。
大地には八百万の神々が住む。
偉大なる力が充満する。
それは幾万の物に力を与える。
大地には何千万の人々が暮らし。
活気が熱を帯びる。
それは穀物に力を与える。
神は――
ななつの石に強い力を授ける。
広い大地に石を分ける。
人は――
ななつの石に祈りを捧げる。
ななつの場所に祠を祀る。
神は祈りをさらに力に変へ。
人の命をさらに支える。
「昔話の続きです。ではまた来るべき時に来なさい。」
「待って・・・・陽菜様。今の昔話はひょっとして――」
陽菜は問うポピンに笑顔を還し、奥の部屋へ消えていった。
神職達に促され、悠真達は奥宮を後にする。
「陽菜様の昔話・・・・完全に神霊石の事にょ・・・・。」
「あぁ、そうだろうな。」
「ななつの石って言っていたな、陽菜様は。」
「世の中には七つの神霊石が存在すると言うことよね?」
「俺たちが持つ【無】【朱】【翠】と今回見つかった【藍】・・・。」
「あと三種類もあるにょ!」
「いや・・・・ポピンが作った【蒼】も入るとしたら、あと二種類だ」
「入るのかはわからないにょ・・・・」
「でも俺が子供の頃に読んだ古文書には書かれていた・・・・。」
「ともかく!神霊石の事がかなりわかったんだ、今日は帰ろう!」
珍しくメティラが帰りの音頭をとった。
静海の街に家がある功と別れ、大樹の街に戻る。
着いてすぐ、ポピンは皆に右目の事を話す。
「黙っていてごめんなさい」
「まぁ、仕方がなんじゃないか。知られたくない事の一つや二つ誰でもあるさ」
「ほぉ・・・・悠真様にも私が知らない秘密があると?」
「・・・・いえ無いです。」
春は悠真の耳を引っ張り少し膨れっ面である。
「あぁ、春ちゃん、それは後で悠真ととことん話したらいいからねぇ」
「はい!蒼真様!」
悠真は軽く蒼真を睨んでから、ポピンに話を戻す。
ポピンは廃坑の祠の前で起こった出来事を話した。
「なるほど、別の世界のような所で祠の神様に礼を言われ、神眼て力としろを託されたんだな。」
「そうにょ。祠に誰かが黒の宝玉を置いて身動きが取れなくなったって言ってた。」
「・・・・神様だとして。神様って移動するんだな!」
「うん・・・メティ。今はそこに食いつかなくてもいいから。」
「はい・・・。」
「姫巫女様は知っているように、しろと話してたな。」
「うん。」
「神様・・・。本当にいるんだな、今更だけど。」
「で、その神眼はどんな力があるんだぃ?」
「蒼真様、それがまだわかんないにょ。」
「解らないとはどう言う事だぃ?」
「初めて意識した時、突然右目の焦点が合わなくなったと思ったら物から光が出てて・・・」
「うん、それでぇ?」
「怖くなって目を塞いだらもう見えなくなってたにょ。それから一度も意識しようとはしてないにょ・・・。」
「なるほどねぇ・・・物から光かぁ・・・・」
蒼真は考え込んでいる。
皆、蒼真がまた何か予言めいたことを言うのでは無いかと見つめる。
傾げていた首を元に戻した蒼真。
「蒼真!何かわかるのか!?」
「わかんない!」
『・・・・・・』
「でも憶測だけど、見える光ってのは【残響】じゃないかな」
「残響が見える!?」
「僕たちは言霊を唱えた時ぐらいしか、残響の光は目に映らない。それも強い残響を蓄積できる人間の発する残響。」
「確かに。普段から感じることはできても、見ることはできない。」
「それを見ることができたりするんじゃない?だってこの世にそんな光を放つって言ったら残響ぐらいしか無いしねぇ。」
「なるほど!では私の残響を見てくれ!」
メティラがポピンの方に体を向けて座り直した。
ポピンは恐る恐る、右目に意識を集中してるが、何も起こらない。
全員が困った顔をした時、ポピンの膝の上にいたしろが突然肩に這い上がってきた。
「シュッウ!」
一声鳴いて尻尾でぽぴんの右目辺りを擦った。
ジ・・ジジッ
ポピンの右目に術印が浮かび回転し、瞳に吸い込まれた。
途端にポピンは誰に言われるでもなく左目を手で隠し、右目だけで世界を見る。
「う・・うわぁ・・・見える・・・。」
「どうなんだ!どんなふうに見えるんだ?」
「う・・、うん。皆はそんなに変わらない・・・でもその周りの物から揺らぎが見えるょ・・・」
「人は何も変わらないってことなの?」
「そうだね春・・・・・だから春の胸の小鏡とか・・・・蒼真の鞄の神霊石とか・・・すごく光ってる・・・・」
「嘘!今服の中見られてるの!?」
「大丈夫・・・・透けて見えてるわけじゃ無いから・・・春そのままで鏡がある所だけすごく光るの・・・・」
悠真は春の肩に腕を回して口を手で塞ぐ。
「今は冗談言ってないでちゃんと聞け!」
「ぎょ・・・ギョミェンにゃチャイ・・・」
口を塞がれはっきり発音できないが、肩を抱かれた状況の春は顔が真っ赤になる。
蒼真は何か思いついたらしく、(ちょっと待ってて)と言って部屋を出てすぐに沢山抱かえて戻ってきた。
何種類かの物をポピンに見せて、光が発せられるのか試しているようだ。
「じゃぁ・・・これは?」
「見える・・・赤い光がすごく揺らいでいる。」
「じゃあこっちは?」
「それも・・・・それは蒼い光が揺らいでいるにょ・・・。」
「最後にこれは?」
「それは緑の光がすごく揺らいでいるにょ・・・」
「なるほどねぇ・・・」
「つまりなんなのだ?」
「何がわかったんだ?蒼真。」
「見えるのは残響で間違いなさそうだね。しかも生き物の残響は見えない。」
その説明にポピンは多分そうだと思うと言ったが少し付け加えた。
生き物は何かが薄く流れて見えるだけで、それ以外は光が発せられるのだと。
「うん!なるほどねぇ!」
「わかるにょ?」
「ラティ、ちょっと実験台になってくれるぅ?」
「ま、まさか蒼真にそんな事言われるとは!痛くしないでくれ・・・。」
「・・・・ポピン、メティを見てて変化があったら教えてねぇ」
「わかったにょ。」
蒼真はメティラの背中に手を当て、小声で何かを呟いた。
呟き終わると同時にポピンが叫んだ!
「すごいにょ!なんか・・・メティの体の中で光が輝きを増して、すごい速さでぐるぐる回り出したによ!」
「そうなのか・・・今すごく体が熱いんだ。」
「はい!終わり!わかったよ!」
「お、教えてほしいにょん!」
「じゃぁ確実では無いけど、説明するよ。」
――残響は生物であれば体を循環しているから光が流れるように見えるだけ。石や、武器の刀とかは流れるんじゃなくて残響を貯めるから、そのまま蓄積量が揺らいで見える。しかも、その残響の特徴にあった色で見分けがつけられる。 ――
「なるほどにょん!それなら揺らぎの色が違うのも意味がわかるにょ!」
「多分間違ってないと思うよぉ」
「すごいな!さすが兄様だ!」
「なるほどにょ・・・痛っ!」
「シュシュッ!」
「あ、ごめんねしろ。ありがとうにょ」
「どうしたんだ?」
「長く使いすぎると体に負担がくるって言われたんだった。それをしろも言ってくれたにょ」
「でも・・・この力があると、神霊石の見分けがつくにょ!」
皆が盛り上がる中、蒼真はラティスを気にしていた・・・。
さっき残響を流した時に感じた物・・・・・。
「そうか、やっぱり君がそうだったんだね・・・・・。」
□□□□□ラティの日記□□□□□
◯月×日
今回の皇国遠征は楽しかった。
何よりすごかったのはやっぱり姫巫女様の舞だった。
次にポピンの力・・・・・・
なんか、人間じゃなくなったみたいだな。笑
さぁ、戻ったら次は大神殿に行かなければ。
メアナ国は久々に行くな。




