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神々の残響  作者: 蒼凪 悠
アルスティア国

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第十八話  万氷樹の山脈

ポピンの症状は、大量の邪気を吸い込んで発病したもの。院長の話だと、邪気を(はら)うとされる【聖氷樹(せいひょうじゅ)の実】と聖水、体内活力の増強効果のある【一日草(いちにちそう)を混ぜて飲ませば、体内から邪気が放出され、外側から強い残響(レゾナスアーツ)()てれば、邪気によって侵食されたポピン自身の少ない残響を元にもどせると言う。


「一度城に戻ろう、万氷樹の山脈まんひょうじゅのさんみゃくに行くには装備がいる。」

「装備ってなんか物々(ものもの)しいな。」

「メティラ、そこはどんな所なの?」

万氷樹の山脈まんひょうじゅのさんみゃくはここから北へ50km程行った所にある年中極寒の山の連なりだ。樹々(きぎ)はあるにはあるが、普通とは違う。」

「おいおい、まさか(木のようだか実は獣だ。)とか言わないだろうな」


功が不安の色を隠さず質問する。

メティラは功を見て首を横にふった。


「名前の通り、全て氷でできているのだ。」

「氷の木?!」

「あぁ、その氷の木が山中に立っている。衝撃を与えれば直ぐに砕け散り、氷風(ひょうふう)となって向かってくる。功の言う様に、ある意味獣か、それ以上危険かもな。」


「で、【聖氷樹(せいひょうじゅ)の実】ってのは?」

万氷樹の山脈まんひょうじゅのさんみゃくの中で一番高い山【セレノラム(ざん)】の頂上にそれは立っている。」


これは中々の冒険だな。

アルスティア城に戻ると早速準備に取り掛かる。ポピンの病状は明日、明後日でどうにかなってしまう状態ではないと院長が言っていた。皆が早く元のポピンに戻って欲しい気持ちは一緒だった。


「悠真、私は父上に皆が騎士装備を使える様に使用許可を頂いてくる。しばらく部屋で待機しててくれ。」

「わかった、頼むよ」


メティラが国王の所へ向かった後、残った者で策を出しておく。


「功、なにか案はあるか?」 

「ねぇよ、てか解らない。なんせ初めての場所だ。」

「そうだよなぁ。」

「悠真、功。こちらの山がどれほどの物かはわからないが、僕達の国にもあるじゃないか、年中寒い場所は。」


蒼真の言った言葉に、二人はハッとなる。

そうだ、あるじゃないか。瑞穂にも、何度も行ったことのある同じ様な場所が・・・

冷静に広く周りを見て、(こうすれば、こうなるんじゃないの)と未来を予測し、時に(前はこうだったんだから、これを修正すればいいんじゃない?)と過去の出来事も必ず頭に入れて判断する。蒼真はやはり優秀だ。


「初めての場所だから・・・だけ頭にあった。ありがとう蒼真。さすが俺の信頼する兄上様だ。」

「尊敬します!蒼真様!」


悠真と功は心から思った。


「褒めても愛情しかでないよ〜」  


これが無ければ完璧なのだが・・・


「となると功、護符は何枚持ってる?」

「あと二冊、二十枚だな。」

「俺がまだ三冊ある。メティラ、功、俺。三人なら、なんとか足りるか」

「騎士がついて来たりしないか?」

「だな・・・メティラを待とう。」

「悠真ぁ、僕も行くよ〜」

「私も!」


悠真と功は危険だと二人が来る事を拒否したが、頑なに拒否する。蒼真はまだしも、春は来た所で足手まといになるだけだ。


「兄貴はわかった。でも春は絶対だめだ!」

「そんなぁ・・・」

「危険すぎるし、初歩の術しか使えない春が来ても意味がない」


春はそれを言われたら仕方ないと落ち込む。


【ポンッ!】


突然、最近はずっと神霊石から出てこなかったコンが現れた。

みんな突然すぎて驚く。コンはタタタッと春の頭の上に乗っかり悠真の方を向く。


「きゅっ!」

「・・・・はぁっ?駄目だコン!」

「ききゅ!」

「春を連れて行くのは危険すぎる」

「きゅ きゅきゅきゅ」


皆、何を言っているのか解らない分、ただ、一人と一匹のやり取りが終わるまで待っているしかない。


「いや、いくらコンでも無茶だ」

「きゅ〜っ!」


コンは突然、功に向かっていった!そして強力な後ろ脚で床を蹴り、すごい速さで功との間合いを詰めた!


【ペチンッ】


右前脚一閃!功の頬に狐平手打ちが炸裂した


「なっ!何すんだよコン!」

「きゅっきゅきゅっ!」


コンはまた春の頭に戻って悠真に向かって鳴いている。


「わかったよ、お前も言っても聞かない奴な・・・」

「きゅっ!」


悠真は大きなため息、コンは春にスリスリしている。

功はなぜ突然攻撃されたか解らず、蒼真はただ笑っている。


「春、おまえも来い。コンが(春は俺が守る)だとよ」

「コンちゃ〜んっ!私の王子様は文句ばっかりの誰かさんとちがってあなただったのねぇ!!嬉しぃ!」


春はコンを抱きしめ顔をくっつける。

嬉しそうな二人を見て悠真はため息しかなかった。



「待たせた、皆」


メティラが一時間程で戻って来た。しかしその顔は困り果てた顔にも見えた。やはりアルスティアの国民でない、ましてや騎士でもない悠真達に国の装備を貸し出すのは無理だったのか―――


「ご無沙汰しておりますわ。」

「セイラ様!」

「皆様ひどいですわ!こちらに来たら必ずわたくしの所にも遊びに来てくださいまし!」

「お姉様!今回はその様な事を言っている場合では無いのです!」

「まぁ、ラティスちゃんまで!おやつ分けてあげませんことよっ!」

「もぅ、お姉様!」


セイラ様、相変わらずだな・・・知っている悠真と功は苦笑いをしながら二人を見守っていたが、そこに騎士が六人部屋に入って来た。何事かと少し身構える。


「これ、二人とも辞めんか」


優しいその声は、父親が子を諭すあれだった。

騎士に守られて入ってきたのは紛れもなくこの国の長だった。


「国王様!?」


男性は肩膝をついて、女性の春は両膝を付いて顔を伏せた。

国王みずから、なぜここに・・・


「よいよい、気楽にするがよい。お前達も威圧するな、到底敵わぬぞ方々ぞ。少しさがっていて良い。」


騎士達は命令通り、数歩さがり、一例に並んで待機した。


「突然で驚いただろう、すまない。どうしても会いたいと父上が仰るのでお連れした。ついでに姉上も。」

「悠真に功よ、この度はポピンの為に力を貸してくれるそうだな。感謝するぞ」

「滅相もごさいません。ポピンは仲間であり、大切な友でありますゆえ。」

「そうか、素晴らしいことじゃのぉ。数百年と無縁じゃった二大陸の人通しが、こんなにも早く打ち解け友と呼び合う。しかし・・・不安もある」

「不安と申されますと?」

「いゃ、良いのじゃ。 装備は好きに使えば良い。ラティス、後は頼んだぞ。そして無理はするな。」

「ありがとうございます、父上。」

「それから、蒼真殿じゃったな。其方は不思議な独り言を申す事があると聞いた。今度詳しく聞かせてくれんかの?」

「国王様、お話出来る程の事ではごさいませんが、お暇つぶしのお手伝いをさせて頂だけるのであれば。」

「そうかそうか!ではいずれお願いする。セイラ、邪魔になるし戻るぞ。 今回の任、国からの勅令とする。頼んだぞ。」

「承りました。」

「なんか、直ぐ終わらしてしまいそうじゃかの。ハッハッ」


国王はセイラの手を取り、部屋から出ようとしたが、セイラは逆に奥へ向かって来た。


「あなたが春さんね?」

「は、はい!その通りでございます。ドレスありがとうございました!」

「気になさらないで・・・なるほど、素晴らしい素質だわ。しっかりラティスちゃんのライバルとして頑張りなさい!」

「は、はい?」


「セイラ!行くぞい!」

「それでは皆様、ご機嫌よう!」


なんだったんだ・・・悠真達は呆気に取られ、メティラの顔は赤く、春はメティラを見ながら、ちよっと膨れ気味だった。

色々難しい―――



◇◇◇◇◇◇



体温を維持出来る様、結界印を施した下着、毛糸で作られた柔らかな肌触りの長袖服を二枚。それらをいつもの服の下に着込み、さらに上から何かの毛皮で出来た防寒着。革の手袋。革の長靴。

頭からは顔がすっぽり隠れて目の部分だけ穴が空いている、いく層にも重ねられた毛糸の頭巾(ずきん)を被る。もう、誰が誰だかわからない。 悠真達五人と一匹、騎士が四名。レグナントでセレノラム山に一番近い所までやって来た。


「便利なもんだ、レグナントは。」

「あぁ、昔はここに着くだけに十日はかかったらしい。」

「さあ、きを引き締めていこうじゃないか!」


悠真は皆に叫んだ。全員が首を縦に振り、極寒登山が始まった。

レグナントが着陸した所はまだ土があった。そこからほんの100m進んだだけで辺りは別世界となった。

雪はなく一面氷の為、気を抜けば滑り落ちてしまう。足には鉄で出来た何本もの爪が付いた器具をしばってある。それを氷に踏み刺しながら進むのである。

そんなに標高はなく1500mぐらいか。それを考えれば、なぜそんな低さなのに年中極寒なのか不思議である。


「悠真さまぁ〜・・・おんぶしてぇ〜」

「だから言っただろ、無理だって!しかもまだ登り初めたばかりだそ!」

「だってぇ〜」 


春はすでにふらふらだ。そしてもう一人、蒼真も足が震えていた。 

(ハアッ・・・大丈夫かょ)

300mほど登った時、騎士の一人がバランスを崩し氷の樹に捕まろうと触った瞬間

【ピシッ】 音と共に樹が粉々に砕け散り、風に吹かれて氷の粒が後ろに凄く勢いで飛んできた!


「危ない!伏せろ!」


その騎士より前に居たメティラが叫ぶ。

悠真は春を抱き寄せ、氷の粒に背を向ける。

何百もの氷の粒が音を立てて、悠真に直撃した。


遅れながらも、功が結界を張ってくれたので、全て直撃はまぬがれた。


「申し訳ありませんっ!」


樹に触れてしまった騎士が叫ぶ。

結界と、厚く着込んだ服のおかげで、さほどダメージはなかった。


「大丈夫だ、気にするな!」

「悠真・・・あ、ありがと」

「おぅ、大丈夫か?」

「うん。」


そこからさらに200m程登ると、後は緩やかな斜面が続いているようだ。しかし、沢山の氷の木に阻まれ先はよく見えない。


「ここからは機械をつかうぞ!」


騎士達が持ってくれていた、棒の様な物を渡された。

先は座れる様に小さな板に柔らかい布がつけられ、棒の下の方には2本の短い棒が付き、

反対側の先端には三角錐がついている。


「なんだこれ?」

浮進棒」(ふしんぼう)だ。先には神霊石が入っている。要は一人用の超小型レグナントもどきだ」

「へぇ!すごいもんあるな、しかし名前は浮いて進む棒ってそのままだな!」


功はその通りな事を言う。


「これもポピンの発案だ。名前を考えるのが面倒だと言っていたから、仮の名前だな」

「ポピンらしいや。で、どうやるんだ?」

「乗る台の後ろの穴にこの小さな神霊石(レゾナイト)を差し込んでくれ。すると20cm程度浮き上がる。そして両手に二本の棒を持って漕ぐ!」

「なんか、すごい事なのに古さを感じるのはなぜだ?」

「はっはっは、悠真の言う通りだな。でもこれが軍にはもってこいの大きさなんだ」


皆乗り方の練習をする。速度は二本の棒で地面を押す力が強ければ早くなるし、何もしなければ勝手に止まってくれる。

そこからは【浮進棒】のおかげで順調に登ることができた。氷の樹を慎重に避けながら、もうすぐ山頂かと思った時だった・・・。


地面が揺れ、左側の氷樹が壊されその破片が砂煙のように舞い上がっている。

何かが駆ける音がこちらに近づいてくる。同時に破片がこちら側へ飛び込んできた。


 神々の残響よ・・・

 我が盾となりたまへ


 残響術 光壁(こうへき)


功が急いで結界を張った。


「みんな無事か!?すまん、初級防御しか出せなかった!」

「なんとか大丈夫そうだ・・・それより」


地鳴りはどんどん近づいてくる。騎士達はメティラを守ろうと、その音の鳴る方へ盾を向けた。

次の瞬間!赤く光る目が大量に現れる!大人一人分はあろう大きさの胴体に太い2本の足、長い首、鋭い(クチバシ)と巨大な羽がすごい勢いで突進してきたのだ!

騎士達は弾き飛ばされ、斜面を滑り落ちていく。メティラも同時に弾き飛ばされ、氷樹に体をぶつけた。破れた破片が容赦無く皆に降り注ぐ!


「メティラ!!」


メティラは力無く右手を挙げた。 


「だ、大丈夫だ・・・・」

「くっそう、なんなんだよこいつら。」


身構える悠真、手には護符を準備し術を出したいのだが、場所は氷の上。炎で溶けでもしたらどうなるのか・・・雷で感電したら・・・どの術が有効なのか考えていた。

しかし、一向に攻撃はしてこない。どちらかと言うと通り過ぎている。 一人の騎士が残った力を振り絞り、槍を投げた。


「キエェェェェ!!」


激しい雄叫びと共に簡単にその獣は倒れ、何羽かの鳥がこちらを見た。 反撃を覚悟したが、ただ真っ直ぐ突き進んで終わった。

悠真は急いでメティラの元へ駆け寄る。


「メティラ!」

「悠真、大丈夫だ。強く体を打っただけで、どこも折れてなさそうだし、切ったりもしてなさそうだ。ちょっと衝撃が強かっただけだ・・。」

「ならいいが・・・・・」


悠真はメティラに治癒効果のある【一日草(いちにちそう)の飲み薬を渡した。

それを受け取り飲み干すメティラの元に皆が集まってきた。


「騎士達は・・・・」

「滑り落ちてしまったな・・・でも安心しろ。防御術を掛けておいたから、この斜面を滑り落ちただけなら、死んではいないはずだ」

「そうか・・功、感謝する。」


十分ほど経って、薬が効いてきたようでメティラは動けるようになった。

しかし問題が続く。先ほどの鳥達のせいで氷樹の破片が大量に空に舞い、嵐のようになっている。

とりあえず山頂を目指そうと五人は残りの百メートル程を歩き始めた。


氷樹の間を抜け、山頂に着いたその先に、形は同じだが幹の太さ、高さともに存在感が全く違う氷樹が一本聳えていた。


「あれがそうなのか・・・・?」

「あぁ、沢山ある氷樹であの山頂にある一本だけが、【聖氷樹(せいひょうじゅ)の実】がなるのだが・・・・これはっ!」


慌ててメティラが聖氷樹に駆け寄ろうとするが悠真は追いかけて止めた。


「やめとけ、今はあの氷樹の破片がいつ襲ってくるかわかないぞ!」

「駄目だ!悠真みろ!破片が実を落としている!」

「何っ!」


山頂を覆うようにして、嵐のように舞っている氷樹の破片が聳え立つ聖氷樹に当たり、身が砕け散っていた・・・。

メティラは悠真を振り解こうとする。


「待てメティラ!今行ったらお前が危ないんだぞ!」

「放せ!放してくれ!今実を取れなかったら・・・・次に実るのは一年後なんだ・・・・それまでにポピンの記憶が消えてしまったら・・・・」

「・・・・・」


実はどんどん砕けていく・・・。

掴んだ手を解こうとメティラは暴れる。

悠真は考えるが全くわからない。でもこのままメティラを行かせれば確実に破片にやられてしまう・・・。

(クソっ!どうしたらいい・・・・)


スッと近寄る気配を感じた。いつの間にか蒼真が横に立ち、メティラを掴んでいる悠真の手を掴む。

蒼真は掴んだ手に力を入れる。


「いっ!」


悠真は驚くほどの痛さにラティスの手を離してしまう。メティラは迷いなく聖氷樹の元へ駆け寄る。

渦の中へ向かう体に容赦無く破片が当たり、顔にまで傷を入れた。衣服に血が滲む。


「蒼真!何するんだ!あれじゃあいつが―――」


蒼真に体を向け、胸ぐらを掴んだその時、蒼真の目が黄金色に輝くように見えた・・・。

一瞬言葉を失う悠真。 そして・・・蒼真が呟いた。



「前に言っただろ。【大丈夫だよ】と。」



聖氷樹の元で立ちすくむメティラ。

上から砕けた実が振ってくる・・・。

もう・・・実も少ないのに。

その実は月の光で成長する。

なのに、嵐のせいで月が見えない。

光がとどかない。

月が出たとしても、実が残っていなければ?

どうしたらいい?

ポピン・・・私はどうしたら―――



その場に泣き崩れたメティラ・・・。

一粒の涙が氷の大地に触れた時

出来るはずのない水紋が広がり周りが静止する。

目に映る物以外、無の世界。


「なんだ、皆どうしたんだ。悠真?春?功?」


みんな動かない。

永遠とも思える時を感じる・・・。

そして胸の辺りから聞こえてくる優しい女性の声。


 『友の為によくがんばりましたね、メティラ。私の力を貸しましょう』


メティラの髪が逆立つ。

無が消えた代わりに時間が皆を置き去りにした。

一瞬より速さを表す言葉はあるのか・・・・

メティラから発せられた光が円に広がり、その光を追いかけるように氷の花が一面に咲き、嵐も消えた。

月の光が実にあたり、急激な成長をし、数分で見事な丸い形をした立派な実になった。



「春。お前がいつもヤキモチを妬くと言うなら先に言う。今日だけは勘弁してくれ。」

「わかってますよ。そんな鬼じゃありません!【今日】は何も言いません。」


ニコッと春は笑ってコンを頭に乗せて下山し始めた。

悠真は疲れて気を失っているメティラを抱きかかえていた。


「よく頑張ったよ、本当に。」




◇◇◇◇◇◇



下山してすぐに治療院に向かい、聖氷樹の実とメティラを預け四人は宿屋にいた。


「いや、今回は大変だったわ。」


ふかふかの長椅子に仰向きに横たわり、筋肉痛を堪えている功。

春は相変わらずコンとじゃれている。

あの時の蒼真はまた違った蒼真だった。目が金色に見えたのも・・・・。

でも、何を言っても相変わらずだろうし、もう慣れている。本人には何も聞かなかった。

何をするでもなく、時間が過ぎるのを待っていた二日後の夕暮れ。城からの使者がやってきた。


使者に連れられやってきたのは五階建ての共同住宅のようだ。

なんとこの建物、みんなで使えと丸ごと貸してくれるとの事だ!しかも代金は王国が支払ってくれると!


「さすがセイラ様、太っ腹」


功は大興奮である。

とりあえず中に入ってみようと扉を開けた。

広々としたリビングの椅子に見慣れた女の子が二人座っていた。


「みんな!!みんなのおかげで治ったにょん!!!」


春とポピンとメティラは抱き合いながら喜び、男達は笑顔で見つめていた。




□□□□□悠真の回想録□□□□□

◯月×日


悠真は騎士が倒した鳥を見ている春と蒼真の元によった。

しかし気持ち悪い鳥だな。

なんだそのでっかいクチバシと深緑でドロドロに汚れた羽根は・・・。

気持ちわるっ!!悠真は身震いしている。

悠真様、本気で言ってます?

何が?本気って春はまさかそれを可愛い!とでも?

いやそうじゃなくって・・・・

悠真〜、この鳥知らないのぉ〜?

知らないぞ!兄貴は知ってるのか?

なぁ、悠真。お前普段から美味い美味いって食ってる鳥料理あるよな・・。

もけもけ鳥の丸焼きか?あれは絶品だな・・・・・ってまさか?

うんうん

これ?

うんうん

・・・・・

大好きな鳥に殺されかけた記念すべき日だった。


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