手紙
はじめまして、本作を開いて頂きありがとうございます。
本作品はカクヨムでも投稿しています。小説の内容は一切差はありません。
https://kakuyomu.jp/works/2912051599391516896
ツアーを終えるとコールドスリープから目が覚めてそんなに時間が経っていないせいか、足に力が入らなくなった。ルナに連れられてコンパートメントに戻り、ベッドに横になる。
どうして自分は蒸気機関の熱効率や電気の熱効率を知っていたんだろうか、そんなことを考えていると窓の外からバッサバッサと鳥の羽ばたく音が聞こえてくる。
「カァ!」
器用に窓から車両に飛び込んできたエドガー。クチバシには、封筒がくわえられていた。
「あら、お手紙ですか?」
「カァ」
「アクシスノースから?」
「カァ」
ルナが封筒を受け取り、表書きに目を落とした。その瞳の光が、わずかに揺れる。
「この手紙、ツカサさん宛です」
「え?」
思わず声がでた。
「ここから北に約1000km、人類によって地下深くに建造された街があります。
そこは人類が居住できるように様々なインフラが整っているのですが、その中の一つにインターネットがあります。ツカサさんが目覚めた翌日、エドガーにお願いしてその街まで連絡に行ってもらったんです。北極点にある人類最大の拠点、アクシスノースに『避難民が新たに救助された』そう伝えるために。
この手紙はその連絡を聞いたツカサさんのご家族からのお便りだそうです」
「どうぞ」
そう言って、ルナから手渡されてた封筒には『山城 司 様』と印字された宛名が書かれていた。裏返してみても差出人の名前は書かれていない。ハサミがなかったので糊付けを親指でそぐように剥がし、封筒をあけて中から几帳面に二つ折りにされた一枚の紙を取り出す。
◆ ◆ ◆
司へ
こんにちは、匠です。
コールドスリープから目が覚めてすぐとのことなのでまだ記憶が混乱しているかもしれませんが、私はあなたの双子の兄にあたります。私が家族のことを思い出したのは目が覚めてから1週間ほど経過してからのことでしたので、司はまだ私たちのことを思い出していないかもしれませんね。
一応、私達家族のことを記載しておきます。
私達家族は両親二人と私と司、妹の紬、あわせて5人で移民船ミラに搭乗しました。 ミラがアリアに不時着した後、私と両親は比較的早くに救助され北極点の街アクシスノースで解凍されました。両親はもともと研究畑の人間でしたが、アリアに来てからは司と紬を探してミラ避難民捜索隊に加入。その生涯で100人以上のミラ避難民の救助に関わりました。
そして12年前、父が亡くなり、母も去年の12月に亡くなりました。父は88才、母は97才、共に家族に見守られながらの大往生でした。
私はアクシスノースの省庁に就職し、後に結婚、二人の子供に恵まれ、今では孫もいる立派なお爺さんです。一昨年、ミラ避難民捜索隊の解散が宣言された時は只々悲しく、もう二度と司と紬に会えることはないのだと強い喪失感を抱いたのを覚えています。
しかし今日、奇跡的に司が見つかったと連絡がありました。捜索隊が解散されて以降、ミラ避難民が発見されたケースは一例もありません。本当に驚きました。
会いたいです。話したいことが手紙に書ききれないほど沢山あります。
私はアクシスノース1番街、第3区画、11号に住居を構えています。いつでも会いに来てください。
山城 匠
追伸:父さん達の残した資料によると、司と紬が入ったコールドスリープポッドは同じ空洞に格納された、と記載がありました。今回連絡があったのは司だけですが、紬も一緒に救助されていたりするでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
どういう文章にしようか悩みました。みなさんを引きつける何かを、用意したつもりです。
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