オートマタ
はじめまして、本作を開いて頂きありがとうございます。
本作品はカクヨムでも投稿しています。小説の内容は一切差はありません。
https://kakuyomu.jp/works/2912051599391516896
アクシスノースを出発して3日目。
車窓から見える景色は、岩と砂の景色に戻っていた。朝の食事をリビングで食べた後、教室でルナ先生の授業をBGMにこの後のことを考える。
大学の客員として半年に一度の論文提出、そして二年に一度の講義。この二つを大学側から求められた。論文は割と自由な内容で総合科学、かつ、アリアの発展に関わるものであればいいらしい。面倒なのは講義の方で動画は不可。リアルタイムでの講義が必須とのことだった。つまり直近の仕事は、半年のうちに論文を最低でも一本書いて大学に提出し、認められることというわけだ。
あれやこれや考えていると、ルナ先生の講義は算数から社会に変わった。
地球はともかくアリアに関しては、自分も全くと言っていいほど社会の知識がないため、ツムギと一緒にルナ先生の授業を受けている。
今日のテーマは『オートマタ』。
黒板の左半分はツムギ向けの『みんなのまわりのオートマタ』、右半分は自分に向けた『オートマタに関する基礎知識』に関する内容が記載されていた。
「……というわけで、オートマタは『累積労働価値』が『代金+維持費+利息』を上回ったタイミングで自身を購入する権利を」
「はい!ルナ先生!」
「はい。何でしょうか、ツムギさん」
「『オートマタ』と『ロボット』って違うんですか?」
黒板の左を見ると『オートマタとは』と、書かれてある。
「そうですね。
オートマタは『自ら動くもの』という意味でして、自分の意思があります。
ロボットに意思はありません」
「意思……」
「ツムギさんは、私が誰かから命令されてツムギさんと話しているように見えますか?」
「見えない」
「それがオートマタです。
ロボットは誰かから命令されない限り、動くことはありません」
「そっか」
「ちなみにですが、オートマタかロボットかわからない場合、オートマタだと思って接してください」
「ロボットさんでも?」
「はい」
「どうして?」
「ロボットという言葉が、あまり良い意味ではないからです。
オートマタに対しロボットと呼ぶことは、侮辱にあたると考える方もいるわけです」
ロボットの語源はロボタ、『強制労働』を意味したはず。つまりロボットは『強制労働者』といったところか。たしかに言われてみると、あまり良い呼び名とは思えなかった。
「はい!ルナ先生!」
またツムギの手が挙がる。
「はい、ツムギさん」
「ラビちゃんは、じぶんを買ったの?」
ルナの言葉が、一拍、止まった。
質問の内容は黒板の右側『オートマタに関する基礎知識』に関するもののようにも感じる。ひょっとして右側の内容も理解しているのだろうか。あとでツムギに聞いてみよう。
「……いい質問ですね。
ラビは粗大ごみ置き場に捨てられていました。
そもそもオートマタを捨てることは違法ですが、このケースではラビの元の所有者は所有権を放棄した、と法的にはそう扱われます。つまり所有者のいないオートマタを修理して再起動した場合、所有者はいません。そのオートマタは自由になります」
「じゃあ、ラビちゃんは自由なんだ」
「はい。ラビは自由です。
その上で、私たちと一緒にいてくれているんです」
「そっか」
窓の外に目をやると、乾いた荒野が続いている。
自由になったオートマタが選んだ場所、それがこの列車なのだ。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
もし「面白かった」「続きが気になる」と思っていただけましたら、ページ下部より【ブックマーク追加】や【☆☆☆☆☆】の評価(星)で応援していただけると、執筆の大きな励みになります!
よろしくお願いいたします。




