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黄昏急行 ~昼が来れば焼け死ぬ星で僕は仲間と旅をする~  作者: わけあり団子


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缶詰

はじめまして、本作を開いて頂きありがとうございます。

本作品はカクヨムでも投稿しています。小説の内容は一切差はありません。

https://kakuyomu.jp/works/2912051599391516896

「長くなってしまいましたね。少し休憩にしましょう」


頭の中はまだ整理ができていない。アリア、ミラ、コールドスリープ、68年、受け取った情報を何から咀嚼すればいいのか。


深呼吸をすると、冷たい空気が肺に入ってくる。火照った体が少しだけ冷めた気がした。


「今、お湯をわかしますね」


ルナが立ち上がり、車両の隅へと向かう。


列車は変わらずに、ガタンゴトンと一定のリズムを繰り返していた。


おそらくもう地球には戻れない。この荒野が新しい日常になるのだろうか。そんな予感が頭をよぎった。


「ルナ、帰った!」


突然、弾むような声が車両に飛び込んでくる。


ウサギを模した小柄なオートマタ。長い耳、丸い目、ふさふさの尻尾、それ以外の部分は金属でできていることがわかる。


「あら、ラビ、おかえりなさい。何か見つかりましたか?」


「捜索隊の古いキャンプで、3つだけ開いてない缶詰を見つけた!」


ラビと呼ばれたオートマタは、手にもっていた缶詰をテーブルの上に、押しやるように丁寧に並べた。


すべての缶詰をテーブルに乗せると体をこちらに向け、丸い目をさらに丸くしてじっと見つめてくる。


「それは嬉しい報告ですね。


 ツカサさん、今夜は普通の食事が取れそうですよ」


「えっ、その缶詰は僕のために?」


思わず声が出た。ラビの耳がぱっと立った。


「そう!褒めて!」


本当に小動物が喋っているかのような少し高い声だった。


両手をあわせて体の前に、その仕草に思わず口元がほころんだ。


「ラビは重たいものは運べませんが、グリムより足が速く、ソナーによる探索が得意なんです。


 昨日からツカサさんの食料調達をお願いしていたんですよ」


「昨日から・・・。ありがとう」


「どういたしまして!」


ラビが胸を張った。耳がぴんと立っている。


「よう」


今度は低い声が、入口から聞こえた。


グリム、という名前だったと思う。熊型のオートマタが立っていた。肩には鳥形のオートマタ、エドガーが留まっている。


「グリムも帰っていたのですね、おかえりなさい」


「帰る途中、ラビに待ち伏せされてな。荷物持ちをさせられた。


 あと、わかっちゃいたがこの辺りはいいタングステン鉱石が取れるな。なので、持てるだけ持ってきた」


ぶっきらぼうな口ぶりだったが、どこか温かみのある声だ。


「いい値段で売れそうですか?」


「おそらくな」


「それは何よりですね」


「で、こいつが持たされた荷物だな。


 ラビが見つけた捜索隊のキャンプにあったもんだが、ツカサが着れそうな服と靴。


 どれが似合うかわからんから、着替えも含め適当に何着か持ってきた」


どさりとテーブルの上に置かれた荷物は、折り畳まれた下着にパンツ、シャツ、靴下、それに靴。


「あ……。


 ポッドを見つけたのも、ここまで運んでくれたのもグリムさんだと聞いています。


 本当にありがとうございます」


グリムは視線をわずかに逸らして、片腕を上げる。


「おう……」


「ラビも頑張った!」


「うん、ラビも本当にありがとう」


「カァ」


「えっと、エドガーもありがとう」


お湯が沸く音がした。ルナがこちらへ振り返り、静かに微笑む。


窓の外には、荒野がいつものように流れていく。太陽の高さは変わらない。


昔のことを思い出そうとしても、まだ記憶はもどらないままだ。自分は誰なのか。どうしてミラに搭乗したのか。


自分はこの後、どうなるのか。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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